国土交通省、令和7年2月の調査結果公表、建設労働者の不足率が前年より大きく改善

国土交通省は、令和7年2月分の「建設労働需給調査」の結果を、3月25日に公表しました。この調査は、全国の建設現場における技能労働者の過不足状況を明らかにするもので、建設業界の人手の動向を把握するために毎月実施されています。

今回の調査では、令和7年2月10日から20日の間で、日曜日や祝日を除いた1日を対象として実施されました。調査の対象は、全国約3,000社の建設業者です。

全国の人手不足は0.3%に

令和7年2月の全国における建設技能労働者の過不足率(8職種計)は、0.3%の不足という結果でした。これは前月の0.6%の不足から0.3ポイント改善しており、わずかながら人手不足の緩和が見られます。

また、前年同月の1.7%の不足と比較すると、1.4ポイントも改善されており、労働力の供給状況は確実に好転していることがわかります。

東北地域では人手がやや余る状態に

一方、東北地域では0.9%の過剰となり、前月の0.6%の過剰からさらに0.3ポイント過剰度合いが拡大しています。前年同月には0.7%の不足であったことから、1.6ポイントの大幅な改善が見られ、東北では必要な人員を確保しやすい状況が続いています。

今後の労働力確保の見通し

調査では、2ヶ月先までの見通しについても尋ねています。令和7年4月および5月における建設労働者の確保のしやすさについては、全国・東北地域のいずれも「普通」との評価となりました。

これは、現在の人手不足が深刻な水準ではないと捉えられていることを示しており、今後も急激な悪化は予想されていないようです。

職種別では一部に大きな変動も

職種別に見ると、「型わく工(建築)」の過不足率が前年同月の4.2%の不足から0.1%の過剰に変化しており、4.3ポイントの改善が見られました。

一方で、「型わく工(土木)」では逆に不足率が拡大しており、地域や職種によってばらつきがあることも明らかになりました。

地域による違いも明確に

地域別に過不足率の変化を比較すると、北陸地方では前年比1.4ポイントの増加と、人手の余りが進んでいることがわかります。反対に、九州地方では2.7ポイントの減少となっており、人手不足がより深刻化している様子がうかがえます。

建設業界にとっての意義

この調査は、建設業における人材の需給バランスを明らかにし、事業者や行政が人手確保や対策を立てるうえでの重要な指標となっています。特に公共事業の円滑な執行や、労働環境の改善に活用されることが期待されています。

今回の調査結果からは、全国的に見て労働力の不足は緩やかに改善傾向にあり、地域や職種ごとの偏りもあることがわかりました。建設業界が持続的に発展していくためには、こうした実態の把握ときめ細やかな対応が欠かせません。今後の調査結果にも注目が集まります。

出典情報

国土交通省リリース,建設労働需給調査結果(令和7年2月分調査)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00270.html