国土交通省発表、住宅・非住宅リフォーム工事の最新動向と市場の成長傾向

国土交通省は2025年3月12日、令和6年度(2024年度)第3四半期(10~12月)における建築物リフォーム・リニューアル工事の受注状況調査結果を発表しました。調査によると、第3四半期の受注高は3兆2,552億円となり、前年同期比で5.9%増加しました。
住宅・非住宅ともに増加傾向
住宅と非住宅建築物の両分野で受注増加が確認されました。
・住宅リフォーム工事:1兆46億円(前年同期比 8.0%増)
・非住宅建築物リフォーム工事:2兆2,506億円(前年同期比 5.0%増)
この結果から、リフォーム・リニューアル市場が堅調に推移していることが分かります。
工事種類別の状況
工事種類別では、住宅・非住宅建築物ともに、改装・改修工事、維持・修理工事は増加傾向にあります。特に住宅分野の「一部改築工事」は前年同期比 +56.7% と大幅に増加。一方で、「増築工事」は住宅・非住宅ともに減少し、非住宅の「一部改築工事」も大きく落ち込んでいます。
■住宅分野
・一部改築工事:409億円(前年同期比56.7%増)
・増築工事:118億円(前年同期比9.1%減)
・改装・改修工事:7,572億円(前年同期比4.6%増)
・維持・修理工事:1,948億円(前年同期比16.7%増)
■非住宅建築物
・改装・改修工事、維持・修理工事:2兆1,079億円(前年同期比7.6%増)
・増築工事:1,000億円(前年同期比18.5%減)
・一部改築工事:427億円(前年同期比31.4%減)
業種別の受注状況
住宅分野では「建築工事業」の受注高が6,541億円(前年同期比30.5%増)と大きく伸びた一方、「職別工事業」は2,295億円(同31.1%減)と減少しました。
非住宅建築物では「建築工事業」が9,186億円(前年同期比13.7%増)、「電気、機械器具設置工事業」が4,132億円(同12.2%増)と増加しています。
発注者別の動向
住宅リフォームでは個人からの発注が6,616億円(前年同期比9.7%増)と最も多く、次いで管理組合からの発注が1,647億円(同9.7%増)となっています。
非住宅建築物では民間企業等からの発注が1兆7,528億円(前年同期比0.3%増)と最多で、公共からの発注は4,148億円(同22.3%増)と大幅に増加しました。
工事目的と部位
工事目的別の受注件数(複数回答)を見ると、住宅・非住宅ともに「劣化や壊れた部位の更新・修繕」が最も多く、住宅では1,707,434件(前年同期比8.6%増)、非住宅では549,080件(同3.7%減)となっています。
工事部位別では、住宅は「給水給湯排水衛生器具設備」が570,157件(前年同期比15.3%増)と最多で、非住宅は「電気設備」が155,758件(同11.5%減)で最も多くなっています。
今後の展望
今回の調査結果から、リフォーム・リニューアル市場は全体として成長傾向にあることが確認されました。特に住宅の一部改築工事や非住宅の改装・改修工事が増加しており、建築物の維持・修繕のニーズが引き続き高まることが予想されます。
国土交通省の市場調査について
国土交通省は、建築物のリフォームやリニューアル工事の市場規模や動向を把握するため、平成20年度から「建築物リフォーム・リニューアル調査」を実施しています。この調査は、建設業許可を持つ業者を対象とし、元請けとして受注した工事の状況を詳しく調べるものです。
今回、令和6年度第3四半期(10月~12月)に受注された工事について、全国5,000の建設業者を対象に調査を行い、その結果が取りまとめられました。調査結果は四半期ごとに発表されており、より迅速な情報提供が行われています。
出典情報
国土交通省リリース,建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和6年第3四半期受注分),https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001286.html