国土交通省発表、新設住宅着工戸数4.6%減、9ヶ月連続のマイナス、全カテゴリーで減少傾向

国土交通省が公表した2025年1月の建設工事統計データによると、新築住宅の着工数は前年同月と比較して4.6%減少し、56,134戸となりました。持家、貸家、分譲住宅のすべてのカテゴリーで減少が見られ、全体として9ヶ月連続のマイナス傾向が続いています。季節要因を調整した年換算値でも、前月比1.2%の減少となり、前月の増加から再び下降に転じました。

新築住宅の総戸数と延床面積の状況

1月の新築住宅着工戸数は56,134戸で、前年同月と比べて4.6%減少しました。また、新築住宅の延床面積も4,273千㎡となり、前年同月比で4.9%の減少となりました。これにより、着工戸数と延床面積はともに9ヶ月連続で減少を続けています。季節調整後の年換算値は774千戸で、前月と比較して1.2%減少しました。

住宅種別ごとの建設状況

・持家(自己所有住宅)

持家の着工戸数は13,525戸で、前年同月比8.6%の減少となり、4ヶ月ぶりに減少に転じました。内訳を見ると、民間資金による持家は12,312戸(前年同月比9.2%減)、公的資金による持家は1,213戸(前年同月比2.7%減)となっており、民間・公的の両資金で減少したことが影響しています。

・貸家

貸家の着工戸数は24,387戸で、前年同月比1.2%の減少となりました。民間資金による貸家は22,010戸(同5.0%減)と、前月の増加から再び減少に転じました。一方、公的資金による貸家は2,377戸(同56.9%増)と4ヶ月連続で増加しましたが、民間資金の減少が影響し、全体としては減少傾向にあります。

・分譲住宅

分譲住宅の着工戸数は17,899戸で、前年同月比6.0%減少し、9ヶ月連続のマイナスとなりました。マンションは9,051戸で前年同月比0.3%増とわずかに増加しましたが、一戸建て住宅は8,715戸で同11.7%減となり、27ヶ月連続で減少が続いています。

地域別の建設動向

・首都圏

首都圏では、総戸数が前年同月比5.7%減となりました。持家は14.8%減、貸家は10.1%減と大きく落ち込みましたが、分譲住宅は2.4%増加しました。特にマンションが24.1%増加した一方で、一戸建て住宅は18.8%減少しました。

・中部圏

中部圏では、総戸数が前年同月比4.7%減少しました。持家は5.2%減、貸家は16.3%増と好調でしたが、分譲住宅が27.6%減少しました。マンションの減少幅が特に大きく、前年同月比60.3%減となりました。

・近畿圏

近畿圏では総戸数が前年同月比9.4%増と、他地域と異なり増加傾向を示しました。持家は4.3%減でしたが、貸家は32.3%増と大幅に伸びました。しかし、分譲住宅は14.6%減となり、マンションが13.9%減、一戸建て住宅も16.1%減と苦戦しました。

・その他の地域

その他の地域では、総戸数が前年同月比9.9%減となりました。持家は8.0%減、貸家は13.2%減、分譲住宅は6.1%減と、全体的に低迷が続いています。

建築工法別の状況

プレハブ工法の着工戸数は6,730戸で、前年同月比1.2%増となり、2ヶ月連続で増加しました。一方、ツーバイフォー工法は6,450戸で前年同月比6.0%減となり、前月の増加から再び減少に転じました。

市場動向の分析と今後の見通し

2025年1月の新築住宅着工戸数は、持家・貸家・分譲住宅のいずれも減少し、9ヶ月連続の減少となりました。特に持家の減少が目立ち、民間資金による住宅建設の落ち込みが全体の減少に影響しています。地域別では近畿圏が増加傾向を示しましたが、その他の地域では依然として低迷が続いています。建築工法別ではプレハブ工法が増加した一方で、ツーバイフォー工法が減少するなど、工法による違いも見られました。

今後の住宅市場の見通しを考える上では、住宅ローン金利や建築資材の価格動向、政府の住宅政策などが重要な要素になると考えられます。

出典情報

国土交通省リリース,建 築 着 工 統 計 調 査 報 告 令和 7 年 1 月分,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha701.pdf