大成建設が切り拓く次世代医療施設の設計手法 病院と地域が共創する健康・幸福環境の実証

大成建設株式会社、早稲田大学創造理工学部、社会医療法人愛仁会千船病院は、地域住民や医療従事者、患者の健康と幸福を高める拠点となる次世代医療施設の設計手法について、実証を開始しました。この取り組みでは、病院関係者と地域住民が交流する場づくりやイベント活動を通じた共創活動を展開し、その効果を検証します。

地域社会の課題と医療施設の新たな役割

少子高齢化が進む現代社会では、地域の担い手減少や人々のつながりの希薄化、多様なニーズへの行政サービス維持の困難さなど、様々な課題が生じています。このような状況下で、医療福祉施設には通常の医療・介護機能に加え、地域住民の健康と幸福を高める拠点としての役割が期待されています。

15年の共同研究から生まれた新たな医療施設モデル

大成建設と早稲田大学は、医療施設の高度専門化や社会との接点、少子高齢化、ウェルビーイング、医療従事者不足など様々な将来課題に対応できる新しい医療施設のあり方を15年間共同研究してきました。この研究成果は実際の医療福祉施設の建築設計に反映され、医療施設を中心としたまちづくりに活かされています。

千船病院の地域交流の取り組み

千船病院(大阪市)では、病院前広場を開放した「福ハッピーフェスタ」や西淀川区の魅力や課題を市民と探る「イネーブリングシティ・ウォーク西淀川」など、病院主催の地域交流イベントを積極的に実施しています。これらの取り組みを通じて、医療福祉施設が地域活動の拠点として有効であることが再認識されました。

共創活動の内容 2つの主要な取り組み

1. 健康・幸福向上のイベント発信拠点の展開

病院のパブリックエリアに新たなイベント・プログラム発信拠点「Happy&Healthy」を設置します。ここでは病院関係者や地域住民が集まり、多世代・多様な人々がコミュニケーションを深められる場として、交流活動やワークショップを開催します。また、病院内に職員向けコミュニケーションラウンジも整備し、屋外スペースと連動させて職員の参加も促進します。

2. 地域の健康・幸福を高める新プログラムの実施

病院内の発信拠点では、機能的なツールを集めた「倉庫」的な役割と、様々なものを展示する壁面ディスプレイを設置します。こうした環境づくりによりアクティビティを誘発し、交流の場づくりワークショップ、街路樹アート化、緑道ウォーニック(ウォーキング+ピクニック)などの新しい健康プログラムを実施します。これらの活動を通じて、関係者の健康・幸福度と地域環境改善効果を検証します。

今後の展望 共創活動の発展と環境整備の加速

3社は今後、病院関係者と地域住民が一緒に参加するワークショップや健康イベントを通じて、お互いの交流を深めていきます。これらの活動を通して、未来の病院づくりに必要な要素を見つけ出し、さらに発展させる計画です。

千船病院での取り組みをモデルケースとして、病院らしさだけでなく、地域の人々が集い、健康について学び、交流できる場所づくりを進めます。これにより、医師や看護師などの医療スタッフだけでなく、地域に住む全ての人々が健康で幸せに暮らせる環境づくりを、より早いペースで進めていきます。

※「福ハッピーフェスタ」:千船病院中心の地域活性化イベント。病院の公開空地でキッチンカー、物販、ワークショップ、健康相談などを実施。

※「イネーブリングシティ・ウォーク西淀川」:大成建設、横浜市立大学等が開発したアプリを使い、地域のウェルビーイングに関する魅力や課題を探索・可視化する活動。

出典情報

大成建設株式会社リリース,地域住民の健康と幸福を高める拠点となる次世代医療施設の設計手法を実証-豊かな医療現場を創出するための共創活動を展開し、その効果を検証-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250225_10349.html