国土交通省発表、令和6年12月建設受注10兆円超え、総合工事業が28.1%増と大幅成長
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令和6年12月の受注高は10兆7,883億円(前年同月比19.1%増、9か月連続増加)となりました。この大幅な増加は、建設業界全体が力強い回復基調にあることを示しています。特に長期的な連続増加傾向は、市場の安定性と成長を反映しています。
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目次
元請・下請別の状況
・元請受注高:6兆9,771億円(前年同月比16.3%増、3か月連続増加)
・下請受注高:3兆8,112億円(同24.4%増、9か月連続増加)
元請よりも下請の伸び率が高いことから、大規模プロジェクトが増加し、それに伴う専門工事の需要が拡大していると考えられます。下請の9か月連続増加は業界の裾野の広がりを示唆しています。
業種別の状況
・総合工事業:6兆6,485億円(同28.1%増、10か月連続増加)
・職別工事業:1兆4,188億円(同2.2%減、6か月ぶり減少)
・設備工事業:2兆7,211億円(同12.4%増、4か月連続増加)
総合工事業の大幅増加は、大型開発プロジェクトが好調であることを示しています。設備工事業の堅調な増加は、省エネやデジタル化などの設備更新需要の高まりを反映しています。
元請受注高の内訳
■発注者別
・公共機関からの受注:1兆7,220億円(同4.6%増)
・民間等からの受注:5兆2,551億円(同20.8%増)
民間からの受注が公共を大きく上回る伸びを示しており、企業の設備投資意欲や不動産開発の活発化がうかがえます。公共投資も増加傾向ではあるものの、民間主導の建設需要が市場をけん引しています。
■工事種類別
・土木工事:1兆6,284億円(同19.4%増)
・建築工事:4兆3,880億円(同9.2%増)
・機械装置等工事:9,608億円(同56.5%増)
機械装置等工事の大幅増加は、工場の生産設備の更新やエネルギー関連施設への投資拡大を反映していると考えられます。土木工事も高い伸びを示しており、インフラ整備や災害復旧関連の需要が堅調です。
公共機関からの受注工事
令和6年12月の公共機関からの受注工事額は1兆6,290億円(前年同月比2.0%増)でした。公共投資全体としては緩やかな増加にとどまっています。
■発注機関別
・国の機関:4,937億円(同17.3%増)
内訳:国(1,714億円)、独立行政法人(554億円)、政府関連企業等(2,669億円)
・地方の機関:1兆1,353億円(同3.5%減)
内訳:都道府県(4,031億円)、市区町村(5,290億円)、地方公営企業(1,002億円)、その他(1,030億円)
国の機関からの発注が増加する一方で、地方の機関からの発注が減少しています。これは地方の財政状況の厳しさを反映している可能性があります。
民間等からの受注工事
・建築工事・建築設備工事
令和6年12月の建築工事・建築設備工事の受注額は1兆8,603億円(前年同月比24.1%増)でした。民間建築投資が非常に活発化しています。
■主な発注者別
・製造業:3,874億円(同42.0%減)
・不動産業:6,302億円(同92.5%増)
・サービス業:5,198億円(同141.2%増)
不動産業とサービス業からの発注が大幅に増加している一方、製造業からの発注は減少しています。
・土木工事及び機械装置等工事
令和6年12月の土木工事及び機械装置等工事の受注額は1兆1,555億円(前年同月比53.9%増)でした。この大幅増加は、民間企業のインフラ投資や設備更新が加速していることを示しています。
■主な発注者別
・製造業:4,942億円(同99.9%増)
・電気・ガス・熱供給・水道業:2,522億円(同8.9%増)
製造業からの発注が2倍近く増加しており、製造業の土木・機械分野への投資が急速に拡大していることを示しています。これはサプライチェーンの強化や生産設備の国内回帰の動きを反映しているものと考えられます。
市場動向の分析と今後の見通し(令和6年12月)
令和6年12月の建設市場は、民間セクターを中心に非常に活発な動きを見せました。
今後は12月の大幅増加傾向が続くかどうかが注目されます。機械装置等工事の56.5%増という高い伸びが示すように、企業の設備投資意欲は旺盛です。しかし、建設資材価格の高騰や労働力不足という構造的課題は依然として存在しており、これらの要因が受注動向に影響を与える可能性があります。また、地方自治体の財政状況の悪化が公共工事に与える影響にも注意が必要でしょう。
出典情報
国土交通省リリース,建設工事受注動態統計調査報告 令和6年12月分及び令和6年計分,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kakuho2412.pdf