【2025年4月スタート】木造戸建ての大規模リフォームで必要となる建築確認とは?不要な工事や手続きの流れを解説
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令和4年6月の建築基準法の改正により、2025年4月から木造戸建ての大規模リフォームでも建築確認が必要となります。では、どのようなリフォームが対象になるのでしょうか。
この記事では、変更が加わった建築確認の概要を説明したのち、対象となる大規模リフォーム工事や手続きの流れを解説します。
目次
木造戸建てのリフォームが対象となる建築確認とは?
2025年4月から木造戸建ての大規模リフォームで必要となる「建築確認」は、工事の計画が次の内容に適合しているのかを確認する手続き・検査のことです。
- 建築基準法
- 建物がある市町村の条例
正しいルールのなかで建築されたのかを判断する手続きや検査であり、建物の安全性や品質(シックハウス対策など)、数量(建ぺい率や採光率など)を確認します。なお建築確認は、建物があるエリアを管轄する自治体、また自治体から委託された民間検査機関で確認するのが一般的です。
ちなみに建築確認を無視して申請をしないと、違法建築物にされてしまいます。最大3年以下の懲役刑もしくは300万円以下の罰金刑が科される可能性があるので、2025年4月以降に木造戸建てのリフォームを検討している方は注意してください。
木造戸建てが対象となる建築確認はいつから?
建築確認が必要となる木造戸建ての大規模リフォームですが、対象となるのは2025年4月以降に「工事に着手」する場合です。
工事着手日 | 2025年3月30日 | 2025年3月31日 | 2025年4月1日 | 2025年4月2日 |
建築確認の必要性 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
つまり、2025年3月31日までに工事に着手する場合には、後述する建築確認の対象条件に該当していたとしても確認申請が不要となります。
建築確認の対象となる木造戸建ての種類
出典:国土交通省「建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直し」
2025年4月からスタートする木造戸建ての建築確認ですが、すべての木造戸建てが対象というわけではありません。参考として以下に、建築確認の対象となる条件を整理しました。
【大規模リフォームにおいて建築確認が必要な建築物(新2号建築物)】
- 1階建て(平家)かつ延べ面積200㎡超えの木造戸建て
- 2階建て以上の戸建て
なお改正前までは、平家・2階建てともに延べ面積500㎡超えの場合に建築確認が必要でした。改正されたことで以前より規模の小さい建物も建築確認の対象に含まれるようになったことに注意してください。
新3号建築物は建築確認が不要
木造戸建てのうち、1階建て(平家)かつ延べ面積が200㎡以下の建物(新3号建築物)の場合は、大規模リフォームを実施しても建築確認が不要です。
ちなみに200㎡を坪数に換算すると、およそ60坪です。日本の平屋の坪数は30~40坪が平均になると言われているため、規模の大きな平家ではない限り、リフォームで建築確認が必要にならないと覚えておきましょう。
建築確認が必要な大規模なリフォームとは
建築確認が必要となる木造戸建てですが、もうひとつ「大規模」なリフォームというポイントが条件に含まれます。参考として以下に、大規模リフォームに該当する工事の具体例を整理しました。
- 家全体をきれいに改修するリフォーム工事
- 建物の増築をするリフォーム工事
- 建物のスケルトン解体をするリフォーム工事
- 階段の架け替え工事
- 屋根の全面改修工事
一般的には「建築物の主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の一種以上についておこなう過半の改修等」が大規模リフォームに該当します。ただし、主要構造部に触れない屋根や壁の仕上げ材の改修工事などは大規模リフォームに該当しないため、どこから大規模になるのかの線引きに注意しなければなりません。
なお、工事内容によっては、上記の条件から外れていても大規模リフォームに該当する場合があります。ミスが起きないようにするためにも、あらかじめ建築を依頼する設計事務所や指定の建築確認の検査機関に相談しておきましょう。
建築確認が不要な小規模なリフォームとは
前述とは逆に、工事規模が小さい「小規模」なリフォームの場合には、建築確認が不要です。以下に小規模なリフォームに該当する工事の一例をまとめました。
- 水まわり(キッチン・トイレ・浴室など)のみのリフォーム
- バリアフリー化のための手すりやスロープの設置工事
ただし、上記に付随して主要構造部の工事が必要になる場合などは、大規模リフォームに該当するケースがあるかもしれません。前述と同様にリフォーム工事を実施する際には、設計事務所や指定の建築確認の検査機関に相談しておくことをおすすめします。
また建築確認が不要な小規模リフォームについて詳しい事例を知りたい方は、国土交通省が公開している「リフォームにおける建築確認要否の解説事例集」をチェックしてみてください。
建築確認の手続きの流れ
2025年4月からスタートする建築確認に該当する方向けに、建築確認の手続きの流れを整理しました。
- 建築事務所・設計事務所等にリフォームを相談する
- 設計図面・必要書類を準備する
- 建築確認申請書を指定の検査機関に提出する
- 建築主事または指定確認検査機関から審査を受ける
- 審査に合格すると「建築確認済証」が交付される
- 工事を着工する
- 工事中に中間検査を受ける(受けないケースもあり)
- 工事完了後に完了検査を受ける
- 完了検査に合格すると「検査済証」が交付される
特に重要なのが「建築確認申請書の提出・審査」「中間検査」「完了検査」です。工事着工前はもちろん、着工後にも審査や検査が実施されると覚えておきましょう。
また基本的に建築確認申請は、建築事務所・設計事務所等が主体となって手続きを進めてくれます。ただ、建築基準法の改正するタイミングは手続きのミスが発生しやすい時期でもあります。手続きのし忘れを防止するためにも、依頼者側としても、手続きの流れを覚えておくと安心です。
木造戸建て所有者が建築確認で注意すべきポイント
これから木造戸建ての大規模リフォームをする予定がある方は、本項で紹介する3つのポイントに注意してください。
建築確認には費用がかかる
建築確認申請には、平均5〜10万円程度の費用がかかります。改正された建築基準法の建築確認の条件に該当する場合には、リフォーム工事の費用だけではなく建築確認申請の費用が追加で発生すると覚えておきましょう。
建築確認申請に1~2ヶ月程度かかる
建築確認申請には、約1〜2ヶ月間の審査期間が発生します。改正前と比べて工事完了までにかかる時間が1~2ヶ月分プラスになる点に注意しましょう。
なお申請内容に不備があると、審査に2ヶ月以上かかるかもしれません。スムーズに審査を通過するためにも、必要書類の準備を早めに済ませておくことをおすすめします。
建築士による設計・工事監理が必要
延べ面積が100㎡を超える建物の大規模リフォームについては、国家資格である建築士を所有する人が設計・工事監理をしなければなりません。無資格者が対応した場合には、法令違反となる点に注意してください。
まとめ
2025年4月からスタートする木造戸建ての大規模リフォームにおける建築確認は、改正前よりも規模が小さい建築物も対象となる点に注意しなければなりません。
建築確認には費用が発生するほか、審査期間もかかります。これからリフォーム工事を検討している方は、まず自身がイメージするリフォーム工事の内容が建築確認の条件に該当するか、プロに相談することから始めてみましょう。