大林組が省エネ型の超局所冷暖房システムComfy TOUCHを開発、消費電力90%削減

大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)とピーエス(本社:東京都渋谷区、代表取締役:平山禎久)は12月16日、人が直接触れることで冷暖房効果を得られる新しいシステム「Comfy TOUCH(コンフィタッチ)」を共同開発したと発表しました。このシステムは、冷温水パネルによる熱伝導と輻射熱を利用することで、従来型の空調設備と比べて約90%の電力削減を実現します。

人と直接ふれあう、新発想の冷暖房システム

Comfy TOUCHの最大の特徴は、約30度に温度調節された水(冷温水)を流すパネルを使用する点です。このパネルをベンチや床などに設置し、利用者が直接触れることで、夏は涼しさを、冬は温かさを体感できます。

パネル自体は鋼製ですが、木材などの素材と組み合わせることで、さまざまなデザインの家具として利用できます。また、パネルと家具を一体化させたモジュール方式を採用することで、半屋外空間でも快適に寝転んだり、もたれかかったりして過ごすことができます。

コロナ禍で見直される半屋外空間の活用

この新システムが開発された背景には、新型コロナウイルス感染症の流行があります。感染対策として換気の重要性が認識される中、商業施設のテラスやガレリア(屋根付きの通路空間)といった半屋外空間が注目を集めています。

これらの空間は、自然光や風を取り入れられる快適な環境として評価される一方で、夏と冬の温度管理が課題となっていました。従来の空調設備では多くのエネルギーを必要とし、また1台の機器で冷暖房の両方に対応できないという問題もありました。

画期的な省エネルギー性能を実現

Comfy TOUCHは、利用者が直接パネルに触れることで効果を得られる局所冷暖房システムです。空間全体を冷暖房する必要がないため、エネルギー効率が極めて高くなっています。

さらに、パネルに流す水の温度が30度前後と比較的穏やかなため、井戸水や地下水といった自然エネルギーの活用も容易です。これにより、さらなる省エネルギー運用が可能となります。

商業施設の価値向上に期待

商業施設において、来場者の滞在時間は売上高と密接な関係があることが知られています。Comfy TOUCHの導入により、これまで十分に活用されていなかった半屋外空間でも快適に過ごせるようになり、施設全体の魅力向上につながることが期待されています。

また、従来は難しかった半屋外空間での長時間滞在が可能になることで、新しい空間活用の提案も期待されています。例えば、屋外テラスでのワークスペース設置や、開放的なカフェスペースの年間を通じた活用など、様々な可能性が広がります。

今後の展望

現在特許出願中のこのシステムは、環境に配慮した新しい空間づくりの選択肢として注目を集めています。大林組は今後、Comfy TOUCHの導入を通じて、省エネルギーと快適性を両立させた空間づくりを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していく方針です。

なお、このシステムで比較対象とされている従来型空調設備は、冷房では屋外型ヒートポンプエアコン、暖房では遠赤外線電気ヒーターを指します。Comfy TOUCHは、これらの設備と比較して大幅な省エネルギー効果を実現しています。

同社の技術開発は、環境負荷の低減と快適性の向上を同時に実現する新しいアプローチとして、建設業界からも大きな注目を集めています。今後は、オフィスビルや商業施設、公共施設など、幅広い分野での導入が検討されることが予想されます。

出典情報

株式会社大林組リリース,冷温水パネルの熱伝導と輻射熱を用いた、ふれる超局所冷暖房「Comfy TOUCH™」を開発 従来型空調の約10%の消費電力で半屋外空間での快適性を提供、新たな空間活用を提案,https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20241216_1.html