大林組が国内初、20t級バッテリー式油圧ショベルを導入 バイオ燃料活用で完全グリーン化達成
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、建設現場における環境負荷の低減を目指し、画期的な取り組みを開始しました。2024年10月、国内で初めてとなる20トン級のバッテリー式油圧ショベルを実際の建設現場に導入することに成功。この取り組みは、建設業界における脱炭素化への大きな前進として注目を集めています。
環境配慮型建機導入の背景
近年、建設業界においても環境への配慮が強く求められており、大林組はその対応策として、GX(グリーントランスフォーメーション)建設機械の普及促進に力を入れています。特に重機類の電動化は、現場での二酸化炭素(CO2)排出削減に大きな効果が期待されています。
これまでの課題
建設現場、特に山間部などでの重機の電動化には大きな課題がありました。そうした場所では商用電源の確保が困難なため、重機の充電には発電機が必要となります。従来の発電機は軽油を燃料としており、充電時にCO2を排出してしまうという問題がありました。これは、建設機械の電動化による環境負荷低減効果を減じる要因となっていました。
画期的な解決策
この課題に対し、大林組は革新的な解決策を見出しました。100%バイオディーゼル燃料(B100燃料)のみを使用する専用エンジン発電機を導入し、これを電動式油圧ショベルの充電に活用。バイオディーゼル燃料は植物由来の燃料であり、燃焼時に排出されるCO2は、植物の成長過程で吸収したCO2と相殺されるカーボンニュートラルな特性を持っています。
実証実験の成果
首都圏のトンネル建設現場での実証実験では、10時間の充電で約4.5時間の連続稼働が可能であることが確認されました。これは実用に十分な性能といえます。さらに、従来の軽油式の油圧ショベルと比較して、1日あたり約220キログラム、年間では約53トンものCO2排出量を削減できることが実証されました。
環境への貢献
この新システムの導入により、これまで課題とされてきた商用電源のない建設現場においても、環境に配慮した施工が可能となりました。建機の稼働時におけるCO2排出量ゼロという目標に向けて、確かな道筋をつけることに成功したといえます。
今後の展開
大林組は、この成功を足がかりとして、さまざまな建設現場においてGX建設機械の導入を積極的に進めていく方針です。これにより、建設業界全体の脱炭素化を加速させ、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
技術的優位性
なお、この20トン級バッテリー式油圧ショベルの建設現場への導入は、日本国内で販売またはレンタル提供されている同規模機種としては初めての事例となります(同社調べ)。この先進的な取り組みは、建設業界における環境技術のさらなる発展を促すものと期待されています。
出典情報
株式会社大林組リリース,20t級バッテリー式油圧ショベルを建設現場に国内初導入 バイオディーゼル燃料専用発電機を充電に使用し、建機稼働時のカーボンフリーを実現,https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20241211_1.html