国土交通省、10月の建設工事統計を発表 公共建築11.4%増など全体で好調維持
国土交通省は令和6年12月17日、10月の建設総合統計を発表しました。全体の工事出来高は5兆3,592億円となり、前年同月と比べて3.1%増加しました。民間工事、公共工事ともにプラス成長を維持し、建設市場は底堅い動きを見せています。
総額5兆円超え、民間・公共がともに増加
建設工事の内訳を見ると、民間工事が3兆684億円(前年同月比2.9%増)、公共工事が2兆2,909億円(同3.4%増)となっています。両部門とも前年を上回る実績となり、建設市場全体の活況を裏付ける結果となりました。
民間部門の詳細 建築工事が牽引
民間部門の中で最も大きな割合を占めるのが建築工事です。その総額は2兆4,486億円で、前年同月と比べて1.7%増加しました。建築工事の内訳を見ると、以下の特徴が浮かび上がります。
・居住用建築:1兆4,586億円(前年同月比0.7%増)
住宅建設は緩やかながらも増加傾向を維持しており、住宅需要の底堅さを示しています。
・非居住用建築:9,900億円(同3.1%増)
オフィスビルや商業施設などの建設が好調で、企業の設備投資意欲の高まりを反映しています。
・土木工事:6,198億円(同7.9%増)
民間の土木工事は前年同月比で大きく伸長し、インフラ整備への民間投資が活発化していることを示しています。
公共部門の動向 建築工事が大幅増
公共工事では、特に建築分野での伸びが顕著でした。
・建築工事全体:5,415億円(前年同月比11.4%増)
公共建築工事は二桁の伸び率を記録し、行政による施設整備が積極的に進められていることがわかります。
・非居住用建築:4,818億円(同13.1%増)
学校や公共施設などの建設が大きく増加し、公共サービスの充実に向けた投資が進んでいます。
・居住用建築:597億円(同0.7%減)
公営住宅などの住宅向け建築はわずかに減少しましたが、全体に与える影響は限定的でした。
・土木工事:1兆7,494億円(同1.2%増)
道路や橋梁などのインフラ整備は着実に進展し、前年を上回るペースを維持しています。
統計の特徴と今後の注意点
この建設総合統計は、建築着工統計調査と建設工事受注動態統計調査のデータを基に、工事の進捗状況を金額ベースで示したものです。工事の進み具合を月次で把握できる重要な指標として活用されています。
ただし、以下の点に注意が必要です。
毎年6月(4月分公表時)には、確定した建設投資額の実績値に基づいて過去3年分のデータが見直されます。
基礎となる統計の品質改善に応じて、過去のデータが遡及して修正される可能性があります。
今回発表された数値は暫定的なものであり、今後の確定作業で変更される可能性があります。
このように、建設総合統計は建設市場の動向を把握する上で重要な指標ですが、データの特性を理解した上で活用することが求められます。今回の統計からは、民間・公共ともに建設投資が堅調に推移していることが読み取れ、日本の建設市場が安定的な成長を続けていることを示しています。
出典情報
国土交通省リリース,建設総合統計(令和6年10月分),https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001268.html