大成建設が省エネ改修診断ツールZEBリノベ@診断を開発、既存ビルのZEB化を効率的に支援
大成建設株式会社は、既存の建物を環境に優しく生まれ変わらせるための新しい診断ツール「ZEBリノベ@診断」の運用を開始しました。このツールを使うことで、建物の改修工事を始める前に、どれくらいの省エネ効果が得られるのかを予測できます。また、建物をゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)に転換できる可能性についても、短時間で判断することが可能になりました。
目次
従来の建物診断における時間的課題
これまでの建物の省エネ改修では、建物の場所や形、用途によって条件が大きく異なるため、最適な改修プランを作るのに数カ月もの時間がかかっていました。改修方法の選択や、費用対効果の検討項目が多岐にわたることも、時間がかかる原因でした。
「ZEBリノベ@診断」の5つの特長
1.短時間での最適プラン提案
建物の形や向き、窓の位置、設備の状態など、建物ごとの特徴を細かく分析します。その上で、入居者の快適さも考慮しながら、最適な省エネ改修プランを短期間で提案します。
2.改修効果を数値で確認
国が定めた計算プログラムを使って、改修後の省エネ効果を具体的な数値として示すことができます。これにより、ZEB化の実現可能性を正確に判断できます。
3.図面が不完全でも診断可能
古い建物では、過去の修繕履歴が不明だったり、図面が一部失われていたりすることがあります。このツールは、そのような場合でも省エネ改修の検討や診断が可能です。
4.費用対効果を事前に把握
改修工事による電気代の削減額や二酸化炭素排出量の削減効果を、工事前に概算できます。過去の電気使用量などのデータがある場合は、より正確な予測が可能です。
5.工事数量を自動計算
窓の交換、断熱材の施工、空調設備の更新、LED照明への切り替えなど、改修に必要な工事の数量を自動で算出します。これにより、工事費用の概算も容易になります。
環境に優しい建物づくりへの取り組み
大成建設では、環境に配慮した建物の改修工事を「グリーンリニューアル」と名付けて推進しています。これは、「省エネ」「創エネ」「脱炭素」「健康」「スマート化」「安心」という6つの視点から、既存の建物を現代のニーズに合った環境配慮型の建物に生まれ変わらせる取り組みです。
特に、既存建物のZEB化を目指す取り組みは「グリーン・リニューアルZEB」として展開しており、今回開発した診断ツールにより、この取り組みをさらに加速させていく予定です。
今後の展望
大成建設は、この新しい診断ツールを活用して、より多くの建物の環境配慮型改修を実現していく考えです。また、これまで培ってきた省エネ技術や創エネ技術を既存の建物に積極的に取り入れることで、カーボンニュートラルの実現にも貢献していきます。
このように、「ZEBリノベ@診断」の開発により、既存建物の省エネ改修がより効率的に進められるようになりました。これは、環境に優しい持続可能な社会の実現に向けた、大きな一歩となることが期待されています。
専門用語の解説
・ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル):
省エネと創エネの工夫により、エネルギー消費量を極力減らした建物のことです。
・WEBプログラム:
建築研究所が提供している、建物のエネルギー消費性能を計算するためのプログラムです。
・BPI(ビーピーアイ):
建物の断熱性能を評価する指標です。数値が小さいほど断熱性能が高いことを示します。
・BEI(ビーイーアイ):
一般的な建物と比べた時の省エネ性能を示す指標です。数値が小さいほど省エネ性能が高いことを意味します。
出典情報
大成建設株式会社リリース,既存建築物の省エネ改修診断ツール「ZEBリノベ@診断」を開発し運用開始-改修後の省エネ性能を事前評価し、ZEB化の可能性を短期間で診断-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/241206_10248.html