「地面師」を簡単に解説|DXで被害防止

掲載日:

著者:小日向

トレンドワード:地面師

「地面師」についてピックアップします。巨額詐欺事件が話題となる中で、放置されている空き家の問題にも注目が集まっています。本記事では地面師の概要や詐欺の手口、DX技術を用いた被害防止策についてご紹介していきます。

地面師とは|簡単に解説

地面師(じめんし)とは、他人の土地を不正に売却する詐欺を行う犯罪者や詐欺グループのことを指します。主に不動産取引において偽造書類や成りすましなどを駆使し、土地の所有者を装って高額な利益を得る手口が特徴です。

地面師による有名な事件としては、2017年に発生した「積水ハウス地面師詐欺事件」があります。地面師グループが東京都五反田にある高額な土地を標的とし、不法な取引で積水ハウスから約55億円をだまし取ったことで話題になりました。

その後2024年11月に行われた裁判で、地面師グループ5人に対して合わせて10億円の支払いを命じる判決が出されています。

地面師の主な手口

ここでは、地面師たちが行う主な手口についてご紹介します。具体的な手口を理解することで、被害に遭うリスクを減らしましょう。

所有者に成りすます

偽造された身分証明書や印鑑証明書を使って、本物の土地所有者になりすますのが主な手口です。特に土地所有者が遠方に住んでいる場合や、高齢で本人確認が難しい場合を狙うことが多いです。

公的書類・不動産登記簿の偽造

地面師は、住民票、戸籍謄本、印鑑証明書などの公的書類を偽造することに長けています。  偽の書類を用いて、信頼性のある取引を装うのが特徴です。

また以前までは、不動産登記簿の内容を不正に改ざんするケースもよく見られました。しかし現在はオンラインによる交付請求等が誰でも簡単にできるので、リスクが減少しています。

【参考】登記情報提供サービス

代理・仲介業者を挟む

地面師は、弁護士や司法書士を偽装した「協力者」を登場させることがあります。偽の代理人や仲介業者を通じて取引を進めることで、購入者や実際の所有者に気付かれにくくするのが狙いです。

契約手続を急がせる

取引を急かすことで、購入者が細かい確認作業を行う時間を取らせない目的があります。「他の買い手がいる」「早くしないと機会を逃す」といった言葉で焦らせ、冷静な判断を妨げます。地面師の手口は年々巧妙化しているため、細心の注意を払いながら取引を進めることが大切です。

地面師に狙われやすい土地とは

ここでは、地面師に狙われやすい土地の特徴をご紹介します。もし該当する項目があれば、注意しましょう。管理が手薄な土地ほど狙いやすいと考えるため、意識的な管理を心がける必要があります。

空き家・更地の期間が長い

長期間にわたり管理されていない土地や建物は、地面師にとって「所有者が不在の可能性が高い」と判断されやすいです。日常的に誰も出入りしないため、地面師が偽の所有者を装っても近隣住民から怪しまれるリスクが低いことも理由です。都市部や駅近など価値の高い土地は、特に注意が必要になります。

所有者が高齢

高齢の方が所有する土地は、管理が行き届いていないケースが多く見られます。また所有者が詐欺の手口に気づきにくいと考えられる場合、標的にされやすいです。特に施設に入居していたり、遠方で暮らしていたりする場合、地面師に狙われるリスクが高くなります。

相続登記があいまい

相続後の登記が未処理の土地や、名義変更が行われていない土地も狙われやすいです。相続人が複数いる場合や、所有者が死亡した後の相続手続きが行われず放置されている場合には、地面師が介入しやすくなってしまいます。

地面師による被害を防ぐ方法|DX活用

ここでは、地面師による被害を防ぐ方法をご紹介します。DX技術を活用することで、安全性を高めましょう。

空き家管理サービスを活用する

出典:大和ハウス,リブネス,https://www.daiwahouse.co.jp/stock/kanri/akiya.html,参照日2024.12.3

空き家や未使用の土地の管理を代行するサービスを活用することで、地面師による詐欺のリスクを軽減できます。例えば大和ハウスは空き家管理サービス「リブネス」を提供しており、空き家の点検や管理作業を代行しています。

警備会社のALSOKと業務提携を行い、機械警備による24時間監視や有人巡回によるサービスを実施しています。さらに希望に応じて、不動産活用のコンサルティングを行うことも可能です。

デジタル契約を導入する

出典:クラウドサイン,不動産契約にもクラウドサイン,https://www.cloudsign.jp/realestate/,参照日2024.12.3

2022年の法改正により、IT重説と電子契約を活用すれば、不動産取引の申込から締結までの手続きをオンラインで完結できるようになりました。電子契約サービスを手掛けるクラウドサインでも、不動産業向けのプランを提供しています。

契約交渉済の契約書をアップロードすれば、相手方が承認するだけで契約を結べるのが特徴です。紙の契約書だと偽造のリスクがありますが、電子契約だと契約履歴が記録されるためトラブル発生時の追跡ができて安全です。また遠方の所有者との契約もスムーズに進められるため、導入が広がっています。

まとめ

最近では少子化や過疎化の影響で、空き家が増加しています。管理が行き届いていない土地は地面師に狙われるリスクが高まるので、注意が必要です。適切なDX取引を導入することで、被害を防ぎましょう。