国土交通省が建設統計を発表、2024年9月の総出来高は5.1兆円で増加傾向

国土交通省は2024年11月18日、建設総合統計の9月分データを発表しました。この統計は、国内で行われているすべての建設活動を実際の工事進捗(出来高)ベースで金額化した重要な経済指標です。今回の報告では、建設工事全体で着実な進展が見られ、特に公共工事分野での伸びが目立つ結果となりました。

総工事出来高の概況

2024年9月期の建設工事出来高の総計は5兆1,592億円に達し、前年同月と比較して1.5%の増加を記録しました。この数値は、建築着工統計調査および建設工事受注動態統計調査から得られた工事費額を基に、工事の進捗状況に合わせて月次で算出されたものです。

民間工事の詳細分析

■全体概況

民間部門における工事出来高の総計は3兆163億円となり、前年同月比で0.8%の増加となりました。

■建築工事の内訳

民間建築工事は以下の区分に分類されます。

・居住用建築

総額:1兆4,264億円

住宅需要の動向を反映

・非居住用建築

総額:9,749億円

前年同月比2.7%増

オフィスビルや商業施設などの建設状況を示す

■土木工事

総額:6,151億円

民間の土木工事については、産業インフラの整備や更新需要に応じた工事が進められています。

公共工事の分析

■全体概況

公共工事の出来高総計は2兆1,429億円を記録し、前年同月と比較して2.5%の増加となりました。この伸びは、政府のインフラ整備計画や防災・減災対策の推進を反映しています。

主要区分の内訳

■建築工事

総額:5,212億円

前年同月比10.8%増

公共施設の新設・改修工事を含む

■土木工事

総額:1兆6,217億円

インフラ整備や防災工事が主な内容

統計データの精度向上への取り組み

■定期的な見直しと改定

国土交通省では、統計の精度と信頼性を確保するため、以下の取り組みを実施しています。

・年次改定は毎年実施

・確定した建設投資額の実績値から算出される最新の補正率を適用

・直前の3月分から過去3カ年分のデータを遡及改定

■品質改善対応

・基礎統計等の品質向上に応じた改定

・より正確なデータ提供を目指した継続的な見直し

今後の展望と留意点

本統計は、建設業界の動向を把握する上で重要な指標となっています。しかし、以下の点に留意が必要です。

・データの暫定性

公表値は今後の改定により変更される可能性あり

最新の改定情報の確認が推奨

・補完的な指標の活用

他の経済指標と併せた総合的な分析が有効

建設投資の動向把握には複数の視点が必要

情報アクセス

詳細なデータについては、政府統計の総合窓口「e-Stat」で確認することができます。また、使用上の注意事項や過去の資料についても、同ポータルサイトで参照可能となっています。

本統計は、国内の建設活動の実態を客観的に把握し、政策立案や経済分析の基礎資料として活用されています。定期的な改定と品質向上への取り組みにより、正確で信頼性の高いデータの提供を目指しています。

出典情報

国土交通省リリース,建設総合統計(令和6年9月分),https://www.mlit.go.jp/report/press/joho04_hh_001263.html