熊谷組が新型グラウト材を開発、常温養生でも超高強度を実現する画期的新素材

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株式会社熊谷組(代表取締役社長:上田 真)と株式会社フローリック(代表取締役社長:横町 彰一)は、建設業界に革新をもたらす新しい材料を共同開発しました。この新材料は、通常の室温での養生でも極めて高い強度を実現できる画期的な建設用グラウト材です。

従来の常識を覆す、新材料の画期的な性能

この新材料の最大の特徴は、20度という常温での養生(コンクリートを固める過程)で、材料を打ち込んでから28日後に1平方ミリメートルあたり150ニュートン以上という驚異的な強度を発揮することです。これは、一般的なコンクリートの5倍以上の強度に相当します。

開発の社会的背景

近年、建設業界では以下のような社会的要請が高まっています。
・地球環境への配慮と新エネルギーの推進
・自然災害の増加に対応できる強靭な建造物の必要性
・建造物の長寿命化による維持管理コストの削減
・高齢化社会における建造物の安全性向上
これらの要請に応えるため、建設材料の高機能化、特に強度の向上と耐久性の確保が重要な課題となっていました。

従来の技術的課題

これまでの超高強度材料には、製造過程と実用面で大きな課題を抱えていました。最も基本的な問題は、高強度を実現するために水と結合材の配合比を極めて小さくしなければならない点です。この配合上の制約により、次のような問題が発生していました。

・材料の粘り気が必要以上に強くなる
・作業性が著しく低下する
・建設現場での充填作業が困難になる

また、十分な強度を確保するための技術的な課題も存在していました。
・高温での特殊な養生プロセスが必要
・施工現場での品質管理が複雑化

これらの制約は、材料の実用性に大きな影響を及ぼしていました。
・使用できる場所が限定される
・汎用的に使用可能な製品が少ない

このような状況から、建設業界では、より使いやすく、かつ高性能な材料の開発が強く求められていました。特に、常温での養生でも高強度を実現し、作業性にも優れた新しい材料の登場が待ち望まれていたのです。

新材料の詳細な特徴

■優れた流動性
・フロー値(材料の流れやすさを示す指標)が350mm以上
・狭い空間にも確実に充填可能
・作業効率の大幅な向上

■安定した品質
・工場でプレミックス(事前配合)された状態で提供
・セメント、シリカフューム、膨張材などの材料をあらかじめ最適配合
・品質のばらつきを最小限に抑制
・現場での品質管理が容易

■圧縮強度の性能
【普通セメント使用の場合】
・7日後:120N/mm2
・28日後:160N/mm2

【早強セメント使用の場合】
・7日後:150N/mm2
・28日後:180N/mm2

■その他の特徴
・空気量を3.5%以下に調整し、強度を確保
・ポリプロピレン繊維を添加し、剥落を防止
・水結合材比を16.0%(普通セメント)または17.0%(早強セメント)に最適化

用途と活用方法

この新材料は、特に以下のような場所での使用に適しています。
・高強度コンクリートの接合部分
・高い強度が要求される狭小部分の充填
・構造物の補強や補修

今後の展開と研究計画

開発チームでは、さらなる性能向上を目指して以下の研究を進めています。
・適用場所に応じた要求性能の最適化
・効率的な練混ぜ方法の確立
・引張特性の向上
・土木学会の指針に基づく耐久性評価
・第三者機関での性能検証
これらの検証を経て、一般販売の開始を検討していく予定です。

技術の波及効果

この技術の実用化により、以下のような効果が期待されます。
・建造物の長寿命化
・施工期間の短縮
・維持管理コストの削減
・環境負荷の低減

出典情報

出典:株式会社熊谷組リリース情報,20℃封緘養生で材齢28日圧縮強度150N/mm²以上が得られるプレミックス製常温硬化型超高強度グラウト材を開発,https://www.kumagaigumi.co.jp/news/2024/pr-20241016-003622.html