タイ・バンコク大林組の次世代オフィスビルO-NES TOWER、国際認証でダブル快挙
大林組グループのタイ法人が手掛けた大型オフィスビル「O-NES TOWER(オーネスタワー)」が、世界的に権威ある2つの認証制度において「ゴールド」ランクを獲得しました。これは、オフィスワーカーの健康や快適性を重視する「WELL認証」と、環境への配慮を評価する「LEED認証」の両方で高い評価を得たことを意味します。タイ国内での同時取得は2例目という快挙で、大林グループの海外プロジェクトとしても初めての事例となりました。
目次
健康と快適性を追求したオフィス空間の特徴
バンコクでは近年、都心部におけるPM2.5(微小粒子状物質)による健康被害が深刻な社会問題となっています。こうした背景から、O-NES TOWERでは働く人々の健康と快適性を最優先に考えた設計を採用しました。具体的な特徴は以下の3つの観点から整備されています。
1.先進的な空気質管理
・最新の高性能フィルターを備えた空調システムを導入
・PM2.5などの有害物質の室内侵入を効果的に防止
・清浄な空気環境の維持管理
2.快適な執務環境の実現
・照度センサー付き電動ブラインドを標準装備
→時間帯や天候に応じて最適な明るさを自動調整
・目の疲れを軽減するグレアレス照明の採用
→長時間のデスクワークでも快適な視環境を確保
・各階への浄水器設置による安全な飲料水の提供
・高性能遮音材の効果的な配置による静かな執務空間の確保
3.心身の健康増進施設の充実
・緑豊かな屋上庭園の整備によるリフレッシュ空間の提供
・定期的な健康増進プログラムの開催
-フィットネスプログラム
-ヨガクラスの実施
・コミュニティ形成を促すマーケットイベントの定期開催
これらの総合的な取り組みにより、O-NES TOWERは単なるオフィスビルを超えて、働く人々の健康と快適性を全方位的にサポートする次世代型のワークプレイスを実現しています。
環境に配慮した先進的な設備システム
LEED認証の取得にあたっては、以下の環境配慮型設備が高く評価されました。
【省エネルギー対策】
・建物の南北面に日射を遮るルーバーを設置
・タイのオフィスビルでは珍しい個別空調システムを導入
・照明・空調・ブラインドのセンサーによる自動制御
・エントランスロビーに床冷房システムを採用
【エネルギー管理】
・モバイル端末で消費エネルギーを確認できるシステム
・効率的なエネルギー利用を促進
建物の基本情報
【規模と構造】
・延床面積:85,000平方メートル
・階数:地下5階、地上29階、塔屋2階
・構造:RCコア壁と鉄骨フレームのハイブリッド構造
・一部の柱にCFT(コンクリート充填鋼管)工法を採用
【オフィス空間の特徴】
・天井高:3メートル
・無柱空間:奥行き20メートル以上
・地下1階に車寄せを設置し、歩車分離を実現
【立地】
・BTSナナ駅に直結
・バンコク都心部のクローントゥーイ区に位置
国際認証の取得状況
【WELL認証】
・取得時期:2024年6月
・認証区分:WELL Core v1
・認証ランク:ゴールド
・評価対象:オフィスおよび商業区画の共用部
【LEED認証】
・取得時期:2023年8月
・認証区分:LEED v.4 BD+C:Core and Shell
・認証ランク:ゴールド
今後の展開
タイ大林は、このO-NES TOWERでの成功を基に、新たな不動産開発にも着手します。BTSラチャダムリ駅前における約9,000平方メートルの敷地を活用した大型複合ビル開発が、次のプロジェクトとして計画されています。
大林グループは「中期経営計画2022」において、カーボンニュートラルとウェルビーイングを重要な経営課題として位置づけています。今回のO-NES TOWERでの実績を活かし、以下の目標達成を目指しています。
・不動産開発事業の積極的な取り組み
・安定的な収益確保
・グローバル市場での優良資産獲得
社会的意義
本プロジェクトは、都市環境の課題に直面するバンコクにおいて、以下の点で重要な意義を持っています。
・PM2.5対策の新たなモデルケース提示
・働く人々の健康増進への積極的な貢献
・環境負荷低減と快適性の両立
・企業価値向上につながるオフィス環境の実現
竣工以来、大学や行政機関、設計事務所など、様々な関係者に対して100回を超えるビルツアーを実施し、健康・環境配慮型建築の普及啓発にも貢献しています。
このように、O-NES TOWERは単なるオフィスビルを超え、健康・環境・快適性を統合的に実現する次世代型建築として、アジアの不動産開発における新たな指標となることが期待されています。
出典情報
出典:株式会社大林組リリース情報,タイ・バンコクで開発した大型賃貸オフィスビル「O-NES TOWER」 タイ国内で2例目のWELL・LEED両認証取得,https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20241030_1.html