大成建設、巡回監視システム「T-InspectionX」開発 遠隔・自律制御の四足歩行ロボット
大成建設株式会社(相川善郎社長)は、建設現場のデジタル化を進める取り組みの一環として、TechShare株式会社(重光貴明社長)と共同で、新しい監視システム「T-InspectionX」を開発しました。このシステムは、犬型の四足歩行ロボットを活用し、建設現場の品質管理や安全確認を自動で行うものです。
システムの特徴と活用方法
「T-InspectionX」は、ロボットを遠隔で操作して監視を行う方法と、あらかじめ設定したルートを自動で巡回する方法の2種類の運用が可能です。すでに首都圏の建設現場で試験導入され、その実用性が確認されています。
開発されたシステムは、建設現場での利用だけでなく、以下のような幅広い分野での活用が期待されています。
・完成した建物の管理業務
・病院や介護施設の見回り
・工場やプラントの定期点検
・インフラ施設の保守点検
・危険な場所や人が入りにくい場所の点検
技術の進化
このシステムは、2021年5月に発表された遠隔操作システム「T-iRemote Inspection」を更に発展させたものです。今回採用されたUnitree社製の四足歩行ロボットは、以下の特長を備えています。
・手頃な価格設定
・コンパクトな設計
・高い運動性能
・環境変化への柔軟な対応力
主要な機能と特長
1.高性能な監視機能
・4K画質の前方カメラを搭載
・3DLiDARによる360度の周囲確認
・光学3倍、デジタル5倍のズーム機能
・赤外線カメラの追加
これらの機能により、建設現場の様々な状況を詳細に確認できます。
2.スマートな自律巡回
・指定したポイントを自動で巡回
・全方位カメラによる現場情報の収集
・遠隔操作との柔軟な切り替え
建設現場の状況に応じて、最適な監視方法を選択できます。
3.スムーズなコミュニケーション
・高品質な映像伝送
・遅延の少ない音声通話
・現場と管理事務所間の円滑な情報共有
リアルタイムでの状況確認と指示が可能です。
4.実用的な運用機能
・専用ケースによる簡単な運搬
・容易な設置と操作
・自動充電システム「T-ChargeX」との連携
・階間移動システム「T-MoveX」との連動
5.システムの拡張性
現在、5種類の四足歩行ロボットに対応しており、今後も様々な機種への展開を進めていく予定です。また、システムの安全性と使いやすさの向上にも継続的に取り組んでいきます。
今後の展開
大成建設は、本システムの更なる進化を目指し、以下の開発を進めています。
・建物設備との連携
・自動ドアとの連動
・エレベーターの自動利用
・フロア間の自由な移動
・統合管理システムとの連携
・「LifeCycleOS」との接続
・建物の施工から維持管理までの一元化
・管理業務の効率向上
技術認定
本システムは、経済産業省が定めるDX認定を取得しています。これは「情報処理の促進に関する法律」に基づき、デジタル技術を活用した経営革新に取り組む企業を国が認定する制度です。
大成建設は、この革新的なシステムを通じて、建設現場の安全性向上と業務効率化を推進し、建設業界のデジタル化を先導していきます。建物のライフサイクル全体を通じた統合的な管理の実現に向けて、さらなる技術開発と改良を続けていく方針です。
出典情報
出典:大成建設株式会社リリース情報,四足歩行ロボットの遠隔操作・自律制御による巡回監視システム「T-InspectionX」 を開発
-建設現場への多機能ロボット活用により、現場管理の効率化を実現-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/241028_10189.html