鹿島建設、音楽ホールなどの防振天井の耐震性を容易に向上
鹿島(社長:天野裕正)は、音楽ホールなどで採用されている防振天井の耐震性を容易に高めることができるデバイス「RESI-CUBE」(レジキューブ)※を開発し、工事への採用を進めています。
「RESI-CUBE」は、耐震と防振の性能を兼ね備えており、これらが同時に求められる複合施設内の音楽ホールや体育館直下の講堂などの天井に有効です。新築工事はもとより耐震改修工事にも採用することができます。
今後、「RESI-CUBE」を様々な工事に提案、展開することで、安全・安心な空間の創出に寄与していきます。
※鹿島と株式会社昭和サイエンス(本社:川崎市川崎区、代表取締役社長:廣田敦司)の共同開発(特許出願済み)
耐震防振デバイス「RESI-CUBE」
目次
開発の背景
近年、地震による音楽ホールの天井落下事故の発生を受け、天井の耐震改修工事のニーズが高まっています。
中でも、複合施設内の音楽ホールは高い遮音性能が要求されるため、耐震改修工事では、天井の荷重を受ける鉄骨梁(小梁)の端部を防振ゴムで支え、その先を準構造天井(ぶどう棚)とする構成が多く採用されます。
この場合、防振ゴムが音の振動伝達を抑制することで遮音性能は高まりますが、地震時の水平方向の変位を拘束できないため、鉄骨梁の水平変位を拘束するストッパー等の部材を取付けるなど複雑な工事が必要でした。
従来の防振天井の構成(鉄骨梁を防振ゴムで支える「ぶどう棚」構造)
RESI-CUBEの特長
当社は、従来の防振ゴムに代わる部材として、防振性能は損なわず、水平方向の動きを適度に拘束できる防振耐震デバイス「RESI-CUBE」を開発しました。「RESI-CUBE」の特長は以下のとおりです。
・内部に丸型の防振ゴム、周辺部に防振性能を損なわないゴムパット付きのストッパーを配置。このストッパーが水平方向の動きを拘束するため、天井の耐震と防振性能を併せ持つ。
・「RESI-CUBE」を使用することで、従来の防振天井と遜色のない遮音性能を実現するとともに、特定天井※としての耐震性能を有するものとして日本建築センターの評定を取得することが可能。
・各部材をユニット化したため、上部のボルトに天井用の鉄骨梁を固定するだけで設置が完了。
※人が日常利用する場所で、かつ天井高さ6m、面積200m²、質量2kg/m²を超える吊天井
「RESI-CUBE」の設置イメージ
工事への適用
これまでに、「RESI-CUBE」を王子ホール(東京都中央区)やみなとみらいホール小ホール(横浜市西区)などの天井耐震改修工事に採用しました。
いずれのホールにおいても、改修工事完了後の測定では、新築時と同等の遮音性能を確保できていることを確認しました。
「RESI-CUBE」の取り付け状況(みなとみらいホール小ホール)
今後の展開
鹿島は今後も、音楽ホールなどの新築・耐震改修工事に「RESI-CUBE」を提案し、安全・安心な社会の実現に貢献してまいります。