IoT×住宅・建築とは|メリットや事例紹介

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著者:小日向

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IoT」についてピックアップします。モノ同士がインターネットで繋がることによる、デジタル社会の実現が期待されています。本記事では、住宅建築分野でのIoT活用事例について詳しくご紹介します。

https://news.build-app.jp/article/1430/

IoTとは|分かりやすく解説

IoT(アイオーティー)とは「Internet of Things」の頭文字を取った言葉で、直訳すると「モノのインターネット」という意味です。これまでインターネットに接続できるのはPCやサーバー等のIT関連機器だけでしたが、技術の発達によりさまざまなモノがインターネットに接続できるようになりました。

モノ同士が直接情報をやり取りすることで、これまでに無かった高付加価値やサービスへの活用が期待されています。身近な所では、スマートスピーカーやスマートホーム、自動運転技術などに応用されています。

IoT×住宅

ここでは、IoTを住宅分野で活用しているケースについてご紹介します。事例やメリット・デメリットをチェックしておきましょう。

IoT住宅の事例

ここでは、IoT住宅の事例をまとめています。

①パナソニック|AiSEG2

AiSEG2(アイセグツー)とは、パナソニックが開発しているホームIoTです。住宅にある様々な機器と連携することで、暮らしを便利にします。具体的には、下記のような使い方が可能です。

  • 照明・エアコン・シャッター等を遠隔操作
  • スマートスピーカーにより声で操作
  • 電気自動車の充電
  • 火災報知器と連動してお知らせ
  • 電気錠と連動して戸締り検知
  • 子どもの帰宅をスマホ通知
  • 電気使用量の見える化
  • 家電を自動省エネ制御

「時短・便利、安心、自家消費」の面で、暮らしをサポートしてくれる機能が充実しています。またパナソニック製の家電製品と連動できるのはもちろんですが、他社製品との連携も随時拡充しています。

②積水ハウス|プラットホームハウス(PFH)

積水ハウスでは「プラットフォームハウス構想」という住まいを提案しています。具体的には、家の状況確認や機器の操作をスマホ操作できる「PLATFORM HOUSE touch(プラットフォームハウスタッチ)」というホームIoTシステムのことを指します。主な機能は、下記の通りです。

  • 住環境モニタリング
  • わが家リモコン
  • セルフホームセキュリティ
  • 帰宅・外出の通知

プラットフォームハウスタッチは、専用のスマホアプリで管理します。システムの月額料金は2,200円で、別途初期費用が必要です。またIoT対応の照明器具等、指定の設備を各自で備える必要があります。プラン、建築地などに一部条件がある他、2023年8月現在ではリフォームには非対応となっています。

IoT住宅のメリット

IoT住宅のメリットとしては、下記の点が挙げられます。

  • 快適な暮らしに繋がる
  • 防災・防犯対策になる
  • 節電効果がある

IoT住宅では、家中の家電製品や設備をインターネットで連携できます。そのため「鍵を閉め忘れたかな…」「帰宅前にエアコンを付けておきたい」と思った時でも、外出先からすぐ対応できるのがメリットです。

また気象情報や鍵と連動することで、防災・防犯効果も高まります。ホームセキュリティサービスに加入するよりも安く済むため、セルフ防犯対策で十分という方にはおすすめです。

太陽光パネルや蓄電池と連動すれば、電力使用量の把握も簡単に行えます。また室温のモニタリングによりエアコンを自動制御できるので、節電効果も高まるでしょう。

IoT住宅のデメリット・課題

IoT住宅にはメリットが大きいですが、デメリットや課題もあります。

  • サイバー攻撃のリスクがある
  • 初期費用が高額
  • メンテナンス費用が随時掛かる

IoT住宅では、多くの住宅設備がインターネットに接続します。そのため便利な反面、ハッキングされると安全性が脅かされる可能性があるでしょう。

また専用の設備が必要になるので、初期費用が比較的高額です。数年単位で機器のアップデートが必要になるため、メンテナンス費用も掛かります。

IoT住宅の補助金

IoT住宅は初期費用が高額なため、導入には足踏みしてしまうという方も多いです。そのため国土交通省では、市場化を促進するための補助金制度を実施しています。

国土交通省|次世代住宅プロジェクト2023

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001162.html

国土交通省では、「次世代住宅プロジェクト2023」を実施しています。これは、IoT技術を活用した住宅等のリーディングプロジェクトを支援する事業です。事業のタイプは、下記2種類が設けられています。

  • 先導タイプ:先導的なIoT住宅の実用化に向けた課題・効果の検証を行う取組
  • 市場化タイプ:実用段階に至っているIoT住宅について、市場への供給に向けた課題・効果の検証を、実際に供給される住宅において行う取組(令和5年度より新たに創設)

補助金額は、先導タイプが「1プロジェクトあたり5億円」、市場化タイプが「1戸あたり50万円(省エネ性能がZEHレベルの場合は75万円・1プロジェクト3年以内かつ100戸以内)」となっています。

これらの事業を通して、住生活関連の新たなビジネスの創出や、IoT技術の実用化・市場化の実現が期待されています。

IoT×建設業

IoT技術は、建設業でも活用されています。主なメリットとしては、下記が挙げられます。

建設業では危険な作業が多く、労災事故が多発しています。IoT技術を活用すれば作業を機器に任せられるため、安全性が向上するでしょう。またビル管理業務では、大幅な業務効率化・省人化が図れます。

建設業でのIoT活用事例

①鹿島建設|鹿島スマートBM

「鹿島スマートBM」は、鹿島建設によるIoT・AIによる建物管理プラットフォームです。IoTセンサーからのビックデータ情報をクラウドへ収集し、エネルギーの無駄を見つけるシステム「EF Detector」など、鹿島建設が保持する技術とAIエンジンが分析します。機器故障の検知、人件費の削減等に役立っています。

②清水建設|Shimz-Smart-Site Analyzer

清水建設では、「Shimz-Smart-Site Analyzer」を開発しました。これはAIやIoTを活用して、造成工事の施工管理を効率化するシステムです。

ダンプトラックでの土砂の運搬量をデジタル上でリアルタイムに一括管理することにより、広大な敷地内の複数箇所で同時に行われる造成工事の施工管理を効率化します。トラックの位置情報や荷下ろし状態の解析には、アマゾン社のクラウドコンピューティングサービスである「AWS」が活用されています。工事は遠隔管理可能なので、省人化に貢献できます。

まとめ|IoTで建設・住宅を効率化

IoT技術の活用は、幅広い分野で広がっています。すでに住宅ではIoT家電が広まりつつあり、快適な暮らしをサポートしてくれると人気です。建築分野でも安全性の向上や人手不足解消に貢献できるため、さらなる広がりが期待されます。