工事写真をビッグデータ化|「記録」から現場情報の連携を高度化
国土交通省が推進するi-constructionやBIM/CIM及び内閣府が提唱するSociety5.0などの建設現場の生産性革命を施工管理ソフトウェアの側面より支援する、一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会(J-COMSIA)は、第三世代の工事写真フォーマット(工事写真3.0)の標準規格として推進する「レイヤ化」に対応したアプリを認定、公開しました。
【画像】J-COMSIA認定「工事写真レイヤ化」アプリと認定ロゴ
工事写真レイヤ化とは、「写真レイヤ」「黒板レイヤ」「注釈レイヤ」の3つのレイヤで構成された第三世代(工事写真3.0)の工事写真フォーマットです。ファイルの形式は「SVGファイル」(拡張子は.svg)です。「写真レイヤ」には従来の工事写真、「黒板レイヤ」には電子小黒板の情報、「注釈レイヤ」にはマグネットや寸法線といった電子マーカーや文字、手描き線などの情報を格納。従来と比べて配筋写真の撮影業務を省力化できたり、写真が持つ情報をクラウドやAIを介して他のアプリと連携できます。
目次
単純な施工記録写真から、現場情報の連携を高度化するビッグデータへ進化した「工事写真3.0」
フィルムカメラ(第1世代)やデジタルカメラ(第2世代)の工事写真は、あくまで「ビジュアルの記録」が目的でした。これに対し第3世代、いわゆる「工事写真3.0」はスマートフォンやタブレットのアプリで撮影、従来の「記録」に加え「データとして活用する」ことを目的としています。
工事写真3.0では、写真のほか場所や工種、材料や設計値、実測値といった「ビジュアル+現場情報(データ)」を記録。台帳の自動作成など省力化から、クラウドにビッグデータとして蓄積、AIと組み合わせて多角的な参照や分析を実現するなど、大きなポテンシャルを秘めています。工事写真3.0は、建設DXを強力に支える基盤となる技術であり、J-COMSIAはこれを積極的に規定、推進していきます。今回の「レイヤ化」アプリ認定は、その一環として行うものです。
【画像】工事写真3.0の概念図
J-COMSIA認定「工事写真レイヤ化」アプリ一覧
J-COMSIA認定「工事写真レイヤ化」アプリはすべて、以下の要素を満たしています。
- J-COMSIAが定義する3つのレイヤに準じて構成される「SVGファイル」に対応
- J-COMSIAの信憑性確認(改ざん検知)ライブラリに対応
- J-COMSIAの「デジタル工事写真の信憑性確認(改ざん検知機能)検定」および「デジタル工事写真の小黒板情報連携機能検定」に合格
なお、デジタル工事写真の信憑性確認(改ざん検知機能)検定とは「電子政府における調達のために参照すべき暗号のリスト(CRYPTREC 暗号リスト)」の電子政府推奨暗号リストに掲載されている技術「信憑性確認機能(改ざん検知機能:ハッシュ値(SHA-256))」を検証するものです。写真撮影アプリケーションの場合は小黒板情報の電子的記入と信憑性確認(改ざん検知機能)、写真管理ソフトウェアまたは工事写真ビューアソフトの場合はチェックシステム(信憑性チェックツール)を検証します。
「レイヤ化」(SVGファイル)のビューワ(無償)で工事写真3.0を体験
J-COMSIAの公式サイトにて、工事写真レイヤ化(SVGファイル)に対応したビューワアプリの無償提供を開始しました。サンプルのSVGファイルを使って各レイヤの内容確認や切り替えなど、工事写真レイヤ化の体験に加え、発注者への説明や提出写真の確認にも利用できます。同じく無償で利用できる「信憑性チェックツール」で改ざんチェックも行えます。
【画像】SVGビューワキャプチャ
関連リンク
J-COMSIA HP: https://www.jcomsia.org/
「工事写真レイヤ化」公認アプリの一覧: https://www.jcomsia.org/layer/