コロナ禍を克服し、ほぼ全業種が増益 来期は空運が黒字化も、全体では鈍化

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3月期決算会社の2022年3月期第2四半期決算が出そろいました。株式会社東洋経済新報社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:駒橋憲一)では、業界担当記者が決算発表を受けて取材を行い、全上場会社について独自に今期、来期の業績予想を見直しました。
 四季報予想を集計した結果、今期(21年10月期~22年9月期、対象3481社)の予想営業利益は、全産業で営業利益が23.7%増加する見通しとなりました。製造業が前期比50.6%増加。非製造業も、投資評価益が急落するソフトバンクグループが属する情報・通信のマイナスを補い、同2.1%増加となります。

業種別

業種別では、建設と電気・ガスが連続減益の予想です。特に原料高が響く電気・ガスの減益率は45.4%と大きくなっています。情報・通信は前期の増益から反落、また空運は連続赤字の見通しです。
 一方、前期に赤字転落した陸運は黒字転換します。残り 26業種は営業増益の見通しです(銀行業、保険業を除く)。中でも802.7%増と増益率が大きいのは鉄鋼です。前号(2021年秋号)時点の689.9%増見通しから、さらに増益率が拡大しました。出荷数量が復調し、価格も上昇していることが主因です。463.6%増と次に増益率が大きいのは海運業です。ばら積み船や自動車船が好調です。
 市場別に見ますと、1部、2部、JASDAQ、新興市場すべてで営業増益となる予想です。前期比では2部とJASDAQが増益に転じます。新興市場は前期に続き高い伸びが続く予想で、通販やネット広告、医療健康情報など幅広い分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)化の需要を追い風にした会社が目立ちます。
 新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」への懸念が高まっています。一方、これまで幾度も感染拡大の波に見舞われながら、多くの上場企業は好業績を維持してきました。四季報では、来期も全産業の営業利益予想を11.6%の増益としています。ただ増益率は鈍化、業種別でも空運は黒字化の一方、減益が7業種に増える見通しです。

(注)業種別、市場別業績集計の算出方法

『会社四季報 2022 年1集』掲載会社で、今期・来期の予想および実績2期分がある企業の業績を集計。実績・予想とも連結決算の数値を優先。ただし、決算期変更企業、連結決算方式変更企業、上場企業の子会社は除く。銀行、保険の営業利益は集計していない