LODとは|BIM用語集
LODとは、BIM/CIMモデルの詳細度を表す言葉です。適切にLODを設定することでより効率的にBIMを活用できます。今回は、LODについて詳細度ごとの定義を含めて解説していきます。
目次
LODとは
LODには、「Level Of Detail」と「Level Of Development」の2つの種類があります。
順番に解説していきます。
①Level Of Detail
Level Of Detail(LOD)とは、モデルの「形状」の詳細度を示す言葉です。BIM/CIMモデルのうち、3次元モデルの形状をどれくらい正確、または詳細に表現しているかを表しています。
②Level Of Development
同じLODでも、Level Of Development は、モデルの作り込みの「進捗度」や「情報の確定度合い」を示した言葉です。
LODと似た言葉で「LOI」という言葉がありますが、こちらはモデルに付与する「属性情報」の進捗度を指す言葉です。
英国では上記の詳細度に関する言葉をまとめて「LOD」と扱います。
従来からの建築の施工図作成の目的
LODはBIM施工図に利用されます。LODを活用していく上で、まずは施工図が従来から達成すべきとされている目的について解説していきます。
施工図の従来からある目的は下記の通りです。
①建築、構造、設備の整合調整
②各種基準寸法の確定
③現場での墨出し
以上の目的とLODがどう関わるのかも含めて順番に解説します。
①建築、構造、設備の整合調整
施工図の重要な目的が建築物の構造、設備の整合調整です。施工図時点で構造や設備の整合調整を漏れなく行うことで部材の発注や工事のミスが減ります。
②各種基準寸法の確定
施工図には、部材の寸法などの情報も記載されています。それらの基準が確定していない施工図では、その後の工事でミスも発生してしまいます。そのため施工図で各種基準寸法の確定が必要になります。
③現場での墨出し
建築における墨出しとは、地面に工事の進行に必要な線・形や寸法を書き出す作業のことです。質の高い施工図の情報を基に墨出しを行うことで工事を
以上が建築の施工図が達成すべき目的です。これらを踏まえると工事の初期段階では高いLODは必要がないことがわかります。しかし、工事が進むにつれ、建築物の情報や完成イメージの共有をするために高いLODが必要になります。よってLODは工程の進捗度合いによって必要な詳細度が変わっていきます。
BIM/CIMモデルの詳細度ごとの定義
LODは工事の段階ごとに必要な詳細度が上がっていき、詳細度を100、200、300、400、500と表します。
詳細度ごとの工種共通の定義は下記の通りです。
BIM/CIMモデルの詳細度の定義(山岳トンネルの例)
詳細度 | 共通定義 | 山岳トンネルの例 |
100 | 対象を記号や線、単純な形状でその位置を示したモデル | トンネルの配置がわかる程度の矩形形状もしくは線状のモデル |
200 | 対象の構造形式がわかる程度のモデル | 計画道路の中心線形とトンネル標準横断面でモデル化。 トンネル坑口部はモデル化せず位置を示す。 |
300 | 主構造の外部形状を正確に表現したモデル | 検討結果を基に支保パターンや補助工法の範囲を記号などで示したモデル。 トンネル坑口部は外法寸法を正確にモデル化。その他に避難通路などの拡幅部の形状、舗装構成や排水工等の内空設備をモデル化。 |
400 | 細かい部分の構造や配筋も含め、正確に表現したモデル | トンネル本体やトンネル坑口部、箱抜き部の配筋、内装版、支保パターン、補助工法の形状を正確にモデル化。 |
500 | 現実の形状を正確に表現したモデル | 設計・施工段階で活用したモデルに完成形状を反映したモデル。 |
工事の各段階ごとに求められるBIMモデルのLODは異なります。各段階ごとの目的に合わせた適切なLODを設定します。必要以上に詳細に設定してしまうことで、かえってデータが重くなったり、必要な情報が得られなかったりするため、工事の段階ごとに適切なLODを設定しましょう。
BIMで今後実現したい目的
今後BIMで実現したい目的は下記の通りです。
- 施工計画の見える化
- 帳票との連携
- 数量積算の自動化
- デジタルファブリケーション
以上の目的は、「二次加工」が必要だったり「さらに高いLOD」が必要で、施工図という業務+αで実現しようとすると、施工図作成の手間が大きく増えてしまいます。そのため現段階では「BIM施工図の普及」に専念していくことが重要です。
適切なLODを設定してBIMでの効率化を図りましょう
今回はLODについて解説しました。LODはBIMモデルの詳細度を指す言葉で、工事の段階に応じて適切なLODを設定することで、より効率的にBIMを活用できます。適切なLODを設定してBIMでの効率化を図りましょう。