BIM objectとは|BIM用語集

BIM objectとは、BIMモデルの中の柱や壁、窓といったモデルを構成する1つ1つのオブジェクトのことです。BIM objectは建築の設計から施工、完成、維持管理において多くの情報を持っており、非常に重要です。そこで今回はこのBIM objectについて解説していきます。

BIM objectとは

BIM objectとは、BIMソフトの中のBIMモデルを構成する柱や壁、床といった建築専用のオブジェクトのことです。汎用性の高い、柱、壁、床、ドアなどのオブジェクトは最初から作られています。しかし、国産の建材メーカー品はまだ登録が進んでおらず、いちから作る必要があるのが現状です。国産の各メーカーの建材の登録が今後進んでいけば、BIMモデルを作成する際により効率がよくなっていくと予想されています。

BIM objectに付与できる情報

次は、BIM objectに付与できる情報について解説していきます。

BIM objectを作成する際にいくつかの情報を持たせることができます。

形状、サイズなどの数値情報や材質や性能などの属性情報です。

オブジェクトに情報を付与できるメリットは下記の通りです。

設計ミスの減少
建築物のイメージの共有化
資材管理への活用

1.設計ミスを減らすことができる

数値情報や属性情報をオブジェクトに予め付与することで、設計段階のミスを減少することができます。オブジェクトにサイズなどの情報が入っているため、図面は整合性が取れたものになり、ミスにも気づきやすくなります。またミスが発覚した際には、従来の設計手順とは異なり、手直しの手間も少なく済みますので、時間的効率もよくなります。

2.建築物のイメージの共有化

サイズ、形状、材質、性能などの情報が付与できることで、設計や施工の際に、建築物の詳細の情報を迅速に確認することができ、より具体的なイメージの共有化が図れます。

また、設計段階でのデザインのシミュレーションもできますから、より具体的なイメージを持って設計、施工を進めていくことができます。

3.資材管理への活用

資材管理へ活用することもできます。

オブジェクトに入っているサイズなどの情報ごとに資材を管理することができます。また建築設計の際に必要個数を瞬時に割り出すこともできます。

では次に付与できる情報について順番に解説します。

数値情報

まず数値情報に関してです。

数値情報には、形状やサイズなどの情報が含まれます。

形状

1つ目が形状の情報です。資材や製品がどのような形をしているかの情報です。情報の詳細度が高くなると、より鮮明な形状を表現することができます。企画段階では、資材の大体の形を表現するだけでよいですが、設計、施工と工程が進むにつれて、より細かい部分の形状を表現する必要があります。

サイズ

続いてサイズの情報です。これには長さだけでなく、幅、高さ、奥行、ピッチ、支持スパンなどの細かい数値情報を持たせることができます。

メリットでも記載しましたが、サイズ情報を付与することで、ピッチが合わないなどの設計ミスにいち早く気がつくことができ、ミスを減らすことができます。

属性情報

属性情報に関してです。

属性情報には主に材質や製品の持つ性能などの情報が含まれます。

材質

材質情報は、窓を例にすると、窓は基本的にはガラス材ですが、ガラス材の種類も多くあります。また窓枠には別の材料が使われていたりもします。

性能

性能情報では、部材ごとに必要な属性情報は異なります。ドアですと、右開きか左開きかという情報が必要ですが、照明には不要となります。

これらの情報は一部、建築の企画、設計段階では、不要とされることがあります。そのため、設計段階では、形状やサイズ、機能性など大枠を決めた状態でBIMモデルの作成を進め、部材の選定が完了した施工段階から、製品の持つ性能情報などを詳細にオブジェクトに付与していく流れが取られています。

前述したように、BIM objectはプロジェクトの段階ごとに付与される情報の詳細度が異なっており、形状詳細度と情報詳細度を割り当てて「ジェネリックオブジェクト」と「メーカーオブジェクト」の2つに分類することができます。

https://www.mlit.go.jp/common/001224373.pdf

ジェネリックオブジェクト

ジェネリックオブジェクトとは、企画、基本・実施設計、契約などの施工前に使用されるオブジェクトのことです。部材の形状、サイズや性能がここに含まれます。

企画の段階では、大体の形を表現するだけですが、基本・実施設計の段階ではより詳細に形状を表現し、建築物のモデリングを進めていきます。

メーカーオブジェクト

メーカーオブジェクトとは、施工、完成・引渡し、運用・維持管理の段階で使用されるオブジェクトです。ここにはメーカーが持つ製品の機能やスペックなどの情報が含まれます。

主に、部材の選定が完了する施工段階から情報の詳細度が上がっていき、運用・維持管理の際にも活用されます。

まとめ

BIMモデルを作成する上で欠かせないBIM objectですが、メーカー製品などは作成が進んでいないものも多く、今後、国産の各メーカーの建材の登録が進んでいけば、BIMモデルを作成する際により効率がよくなっていくと予想されています。