VRはモニター操作より高ストレス|周囲の状況把握が難しく負担に

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熊谷組、立命館大学、東京工業大学や東京工業高等専門学校らの研究グループは、スマートデバイスを用いて、建設機械の遠隔操作者の心理的負荷や操作技能を定量的に測定できる計測モデルを開発しました。研究成果では、VRによる重機遠隔操作は、モニター映像による操作よりも心理的ストレスが高いことが示唆されている点が大きな成果といえます。

自然災害が多い日本では、台風などの復旧作業や、建設機械の遠隔操作システムの開発が進められているが、この研究はその動向に一石を投じた形になります。VR技術を用いて運転席から見た映像と機械の振動を同期させて遠隔操作する工法が注目されていますが、作業環境における周囲の状況把握が難しいため操作時の心理負担が大きく、操作者に配慮した操作システムの開発が不可欠になっています。

研究グループでは、スマートデバイスを用いて、操作者の心拍変動(HRV)やマルチスケール・エントロピー(MSE)などを測定した。これらの指標は自律神経調節を定量的に示すものであり、業務においての操作者のストレスを評価する有益な手法です。

今回は、搭乗操作、VRと振動する座席で操作したとき、通常モニター画面での操作した3つのケースで比較実験を行い、モニターとVRを比較しました。

なおこの研究成果では、操作ストレスを考慮し、身体振動を許容範囲内に抑えることで、適切な運転時間を算出する手法も開発しました。これまで未解明であった心理的負荷と身体振動の関係に着目し、これらを対象とした建設機械の走行時間との関係も明らかにしています。

論文情報は次の通りです。

論文名Psychological Effects of Heart Rate and Physical Vibration on the Operation of Construction Machines: Experimental Study
著 者児玉耕太氏(立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科・准教授) 
橋口伸樹氏(立命館大学OIC総合研究機構) 
曹剣飛氏(立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科博士後期課程) 
林永周氏(立命館大学経営学部・准教授) 
北原成郎氏(熊谷組) 
宮崎康弘氏(熊谷組) 
黒石真一氏(熊谷組) 
仙石慎太郎氏(東京工業大学環境・社会理工学院・教授) 
松林勝志氏(国立東京工業高等専門学校)