竹中工務店、居室向けCLT制振壁KiPLUS WALL DAMPERを開発、シリーズ第3弾

株式会社竹中工務店(社長:丁野成人)は、CLT(直交集成板)を活用した新たな制振壁技術「KiPLUS® WALL DAMPER」を開発したと発表しました。この技術を居室や執務スペースに取り入れることで、地震による揺れを素早く抑えながら、木のぬくもりを感じられる快適な空間づくりが可能になります。

KiPLUS壁シリーズとは

竹中工務店はこれまで、木材を使った付加価値向上に向けた設計技術体系「KiPLUS(キプラス)」シリーズを継続的に開発・展開してきました。このシリーズは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造といった従来の構造体の一部に木材をあらわしで取り入れながら、遮音性や耐震性などを補う技術群として知られています。

今回発表された「KiPLUS WALL DAMPER」は、第1弾の「KiPLUS WALL」、第2弾の「KiPLUS WAVY」に続く、壁ラインナップの第3弾にあたります。

・第1弾「KiPLUS WALL」:耐震壁。地震時に建物の変形そのものを小さく抑える技術

・第2弾「KiPLUS WAVY」:耐震壁。同じく建物変形の抑制を目的とした技術

・第3弾「KiPLUS WALL DAMPER」:制振壁。地震時の揺れを早期に吸収・減衰させ、揺れの継続時間を短くする技術

耐震壁と制振壁は役割が異なります。耐震壁が「変形を小さくする」ことを目的とするのに対し、制振壁は「揺れを早く収める」ことに重点を置いています。「KiPLUS WALL DAMPER」はこの制振性能を木材と組み合わせた点が、これまでにない特徴といえます。

技術の仕組み

「KiPLUS WALL DAMPER」は、建物を支える柱・梁で構成されたフレームに対して、CLTを鋼板およびアルミ溶射プレートを介してボルトで接合する構造になっています。

一般的な鋼板どうしをボルト留めした場合と比べると、アルミ溶射プレートならではのなめらかな摩擦特性を活かすことで、地震の揺れをより素早く吸収できるのが大きな利点です。

また、ボルト孔をあえて大きめに設けることで、接合部分にずれ変形を集中させる設計になっています。これにより、CLT本体への損傷を最小限にとどめることができ、地震後の補修作業の負担を大幅に軽減できます。木材を構造部材として活用しながらも、メンテナンス性にも配慮した設計思想が反映されています。

どんな建物にも採用できる柔軟性

「KiPLUS WALL DAMPER」はこれまでのKiPLUSシリーズと同様、建物の用途や構造の種類を問わず採用できます。CLTをあらわし(仕上げ材なしに木材をそのまま見せる)で使用できるため、居室や廊下、外部から目に触れる建物の外周部などに設置することで、木の質感や温かみを空間に取り込むことができます。

オフィスビルや集合住宅、公共施設など、さまざまな用途の中高層建物への展開が期待されています。

実際のプロジェクトへの採用

本技術は、2025年5月に着工した「(仮称)ちゅうぎん丸の内ビル建設工事」への採用が予定されています。同プロジェクトの概要は以下のとおりです。

所在地:岡山市北区丸の内1丁目10番101

用途:事務所

階数:地上10階

構造種別:鉄骨造 一部木造

工期:2025年5月~2026年8月

建築主:吉備興業株式会社

設計:株式会社竹中工務店

施工:(仮称)ちゅうぎん丸の内ビル建設工事 竹中・大本・アイサワ・藤木共同企業体

木造建築の普及と脱炭素への貢献

竹中工務店は今後も「KiPLUS」シリーズをはじめとする中高層木造技術を活用し、木造・木質建築の普及を進めていく方針です。国産木材の積極的な活用を通じて、建設分野における脱炭素社会の実現にも取り組んでいくとしています。

木造建築はこれまで低層建物が中心でしたが、構造技術の進歩により中高層建物への応用が広がりつつあります。「KiPLUS WALL DAMPER」のような技術の蓄積が、今後の木造建築の可能性をさらに広げることが期待されます。

出典情報

株式会社竹中工務店リリース,CLTを活用した制振壁技術「KiPLUS® WALL DAMPER」を開発 KiPLUS壁シリーズの第3弾が完成,https://www.takenaka.co.jp/news/2026/04/01/