大成建設、CO2排出量最大80%削減の耐火被覆材T-eCon/ロックウールを開発

大成建設株式会社は2026年3月6日、鉄骨造建物の柱・梁に使用できる環境配慮型の耐火被覆材「T-eCon®/ロックウール」を新たに開発したと発表しました。この材料は、材料製造時のCO2排出量を従来品と比べて最大80%削減できるのが大きな特徴です。また、鉄骨造建物に求められる1時間耐火構造として、国土交通大臣の認定も取得しています。

そもそも耐火被覆とは何か

鉄骨造の建物では、火災が発生した際に柱や梁などの構造部材が高温にさらされます。鉄は熱に弱く、一定の温度を超えると強度が大幅に低下してしまうため、耐火性・断熱性に優れた材料で覆う「耐火被覆」という施工が欠かせません。

これまで広く使われてきたのが「吹付ロックウール耐火被覆」と呼ばれる工法です。熱や火に強い人造鉱物繊維(ロックウール)と、硬化材であるセメントを混ぜた材料を専用の機械で現場に吹き付けて施工します。この工法は実績のある確かな方法ですが、材料に使うセメントの製造過程で大量のCO2が発生してしまうという問題がありました。建設業界全体で脱炭素化が急務となる中、セメントの使用量削減や代替材料への切り替えが強く求められていたのです。

セメントの代わりに高炉スラグを活用

この課題を解決するために大成建設が注目したのが、同社が独自開発した環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」です。このコンクリートには複数の種類がありますが、今回の耐火被覆材には「セメント・ゼロ型」が採用されました。

「セメント・ゼロ型」は、鉄を作る際に生じる副産物「高炉スラグ」をセメントの代替材料として主成分に使っています。高炉スラグは製鉄副産物として生じる材料ですが、これを建材として有効利用することで、資源の無駄を省きながら環境負荷の低減にもつなげています。

「T-eCon/ロックウール」の3つのポイント

新しく開発された「T-eCon/ロックウール」には、以下の3つの注目すべき点があります。

CO2排出量を最大80%削減

従来のセメントを高炉スラグ主体の「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」に置き換えることで、材料製造時のCO2排出量を大幅に抑えることに成功しました。同社の試算によると、延床面積70,000㎡・4階建ての鉄骨造建物に適用した場合、約105トンものCO2排出量を削減できるとしています。

既存の設備・機械をそのまま使える

新材料とはいえ、施工に必要な吹付け機械や設備は従来のものをそのまま利用できます。新たな設備投資が不要なため、現場での導入ハードルが低く、追加の設備投資を行うことなく、環境負荷の低減を図ることができます。

産業副産物の有効活用で循環型社会に貢献

製鉄の過程で生じる高炉スラグをセメントの代替として活用することは、産業副産物の削減と資源の循環利用の両面において意義があります。廃棄物を建材として再利用するこの仕組みは、持続可能な社会づくりにも直結しています。

実プロジェクトへの積極的な展開へ

今回、1時間耐火構造の大臣認定を取得したことで、「T-eCon/ロックウール」は建築基準法に適合した材料として、実際の建設プロジェクトで正式に使用できるようになりました。

大成建設は今後、この環境配慮型耐火被覆材を実際の建物に積極的に採用していく方針を示しています。火災に対する安全性を確保しながら、CO2排出量の削減と資源の有効利用を同時に進めることで、脱炭素社会と循環型社会の実現に向けた取り組みを続けていくとしています。

出典情報

大成建設株式会社リリース,CO2排出量を最大80%削減する耐火被覆材「T-eCon®/ロックウール」を開発-鉄骨造建物の柱・梁に適用可能な1時間耐火構造の大臣認定を取得-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260306_10947.html