大成建設、北海道平取町のGM熱供給実証が資源作物事例集に選定、バイオマス活用事例

大成建設株式会社(社長:相川善郎)が北海道平取町で取り組んできた、燃料用作物「ジャイアントミスカンサス(以下、GM)」を使ったバイオマス熱供給の実証試験が、農林水産省の補助事業における「資源作物事例集」に選定されました。この取り組みは、一般社団法人日本有機資源協会(JORA)が実施する令和7年補助事業「みどりの食料システム戦略推進総合対策 地域資源活用展開支援事業(2)バイオマス活用展開調査型」の一環として評価されたものです。
地域で育てた植物を燃料に変え、その地域で熱エネルギーとして使う。そんな「地産地消型エネルギー」の実現に向けた取り組みとして、今回の選定は大きな注目を集めています。
ジャイアントミスカンサスとはどんな植物か
GMとは、和名を「オギススキ」という多年草の植物です。もともと安全な在来系統に由来しており、一度植えると毎年繰り返し育てて収穫できることが大きな特長です。
この植物が燃料作物として注目される理由は、いくつかあります。
・強い生命力:乾燥や寒さにも比較的強く、農作業にかかる手間や負担を減らすことができます。
・荒廃農地の活用:耕作放棄地や活用されていない農地でも育てられるため、使われていない土地の有効利用につながります。
・高い発熱量:生育期を過ぎると自然に立ち枯れし、含水率が下がります。そのため、燃料として燃やしたときに多くの熱を得られる特性があります。
こうした特性から、GMは「育てやすく、燃料としても優れた作物」として、再生可能エネルギーの分野での活用が期待されています。
実証試験の内容と成果
今回の実証試験では、北海道平取町で栽培したGMを収穫後にペレット状に加工し、既存のペレットストーブやバイオマスボイラーで燃料として使用することで、熱エネルギーを供給できるかどうかを検証しました。
ペレットとは、植物などを細かく砕いて圧縮成型した固形燃料のことです。GMをペレット化することで、エネルギーとしての利用効率が上がり、既存の設備をそのまま活用できるという利点があります。
この取り組みにより、地域内で作った燃料を地域内で使い切る「地産地消型エネルギーサプライチェーン」の構築が期待されます。農地で育てた作物が燃料になり、さまざまな地域課題の解決に貢献できるものと考えています。
長野県でも活用が始まる
今回の実証で得られた知識や技術は、すでに他の地域でも応用が始まっています。
株式会社農業開発(代表取締役:阿部貴典)は、この実証試験の成果をもとに、長野県中野市において自社のぶどうハウスの加温促成栽培にGMを活用する事業をスタートさせました。大成建設は、この取り組みに対して技術的な協力を行っています。
ぶどうハウスの加温には従来、化石燃料が使われることが多くありました。そこにGMペレットを導入することで、コスト削減や二酸化炭素排出量の低減が期待されています。農業とエネルギーを組み合わせた新しいモデルとして、今後の広がりが注目されます。
地域資源を活かしたカーボンニュートラルへ
大成建設は今後、GMをはじめとする地域資源を活かしたエネルギー技術を、さまざまな地域へと広げていく方針を示しています。
カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロにすること)の実現は、日本全体の課題です。一方で、農村部では耕作放棄地の増加や農業従事者の高齢化など、地域固有の課題も山積しています。
GMを活用したバイオマスエネルギーの取り組みは、こうした複数の課題を同時に解決できる可能性を持っています。地域の農地を有効活用しながら、再生可能エネルギーを地元で生産・消費する仕組みは、持続可能な地域社会づくりの一助となるでしょう。
今回の「資源作物事例集」への選定は、そうした取り組みが社会的に認められた一歩といえます。今後の水平展開に向けた動きにも、引き続き注目が集まります。
出典情報
大成建設株式会社リリース,燃料用作物「ジャイアントミスカンサス」を活用した熱供給実証が先進事例に選定-北海道平取町での実証成果が評価、地域資源を活かしたバイオマス活用のモデルに-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260225_10941.html