【2023竣工】虎ノ門ヒルズ ステーションタワー|ゼネコン鹿島建設が挑んだ難工事の評価とは

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トレンドワード:虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、東京メトロ日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」と一体的に開発された超高層タワーです。数分に一度は電車が行きかう既存路線での工事に加え、工期の短縮を求められるなど、注目を集める難工事となりましたが、その結果はどのように評価されたのでしょうか。
この記事では、ゼネコン・鹿島建設による「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の事業概要と、難工事となった経緯、供用後の評価までわかりやすく解説します。
「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」とは|駅まち一体開発の事業概要

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/tokyoken/tokyotoshisaisei/dai12/shiryou14.pdf,参照日2026.3.16
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、「都市再生特別地区(虎ノ門一・二丁目地区) 都市計画」として始まった再開発事業です。同エリアでは、2014年開業の森タワーをはじめとする4街区と新駅が建設されました。
各プロジェクトは国家戦略特区事業にも指定され、約9年という圧倒的な短期間で竣工しています。ここからは、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの事業概要についてご紹介します。
所在地・アクセス・最寄り駅
所在地・アクセス・最寄り駅は、以下をご参照ください。
- 所在地:東京都港区虎ノ門二丁目6番1号
- アクセス:東京メトロ千代田線・丸ノ内線・日比谷線「霞ヶ関駅」A13出口より徒歩8分、東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」B2出口より地下通路で徒歩約6分
- 最寄り駅:東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」直結
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、「虎ノ門ヒルズ駅」の地上に位置しています。駅からは周辺施設と地下通路で回遊できるほか、地上では羽田空港とリムジンバスで接続されます。
これまでは、一旦地上に出なければ各施設へアクセスできないという利便性の課題がありましたが、地上・地下・デッキと複層的に接続されたことにより、エリア全体の回遊性が大きく向上する計画となっています。
構造・規模

虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、地下鉄の新駅と直結した、高さ約266mの多用途複合高層タワーです。建物の構造と規模は、以下をご確認ください。
- 構造:S造(一部SRC造、RC造)
- 階数:地上49階、地下4階 高さ約266m
- 敷地面積:約9,900㎡
- 延べ床面積:約237,000㎡
多面体の特徴的な外観は、YKK APのユニタイズドカーテンウォールが使われています。ひとつひとつのカーテンウォールを階段状に配置する高度な意匠で、印象的な外観を作り出し、建物の高断熱化も実現しています。
さらに角度を変えて見ると、建物全体がねじれたような構造になっています。先細りの台形が中心部で反転し、上下につながっているような形状です。これは、建物の両外側をオフィスバンド、中央をアクティビティバンドとすることで、利用者の交流を自然に促し、街を活性化させる狙いがあります。
建物構成としては、最上階に情報発信施設「TOKYO NODE」が配置されています。中層部はオフィスエリアとなり、日本IBM本社などの大手企業が入居しています。同じく中層部には東京発進出のホテル「アンバウンド コレクション by Hyatt」が開業する計画です。
竣工日・オープン予定日
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーと虎ノ門ヒルズ駅の竣工日・開業日は、以下をご確認ください。
- 竣工日:2023年7月
- 駅開業日:2020年6月
ゼネコン|鹿島建設
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの施工は、鹿島建設が担当しました。設計は、森ビル、OMA、久米設計となっています。鹿島建設は同タワー地下の虎ノ門ヒルズ駅の施工も行うなど、虎ノ門ヒルズエリアにおいて一体的な開発を担っています。
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーはなぜ難工事となったのか
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、約9年の短期間で竣工した大規模プロジェクトです。短い工期からは順調に進められたような印象がありますが、なぜ難工事と呼ばれたのでしょうか。ここからは、その理由を見ていきましょう。
既存地下鉄への新駅設置
虎ノ門ヒルズ駅は、約56年ぶりに日比谷線に新設された新駅です。数分に一度は電車が走る線路内で、工事を行えるのは終電から始発までの数時間と、交通量の少ない週末に限定されます。こうした状況もあり、限られた作業時間で工事を進める必要がありました。
さらに、地上は交通量の非常に多い国道1号線の交差点部分にあたります。こういった状況を踏まえ、周囲の交通と環境への負荷を最小限に抑えた土木工事が計画されました。
地盤の課題
土木工事の課題としては、地盤への対応策が必要な3つの課題がありました。
縦断方向に変化した地層構成
虎ノ門ヒルズ駅の土木工事では、地層構造が段階的に変化している場所での掘削になります。そこで、それぞれの地層に応じた掘削駅の配合変更が必要でした。また、地上交通への影響を最小限に抑えるために、排泥を減らす課題がありました。
場所によって異なる地盤改良
虎ノ門ヒルズ駅の地下鉄躯体設置の際、補強のために地盤改良が必要とされました。しかし、区間の場所ごとに必要な改良強度が異なるため、地盤改良をするとコストと納期が増大してしまうという課題がありました。
地下水の制御
虎ノ門ヒルズ駅の工事区間では、地下水による季節構造物の浮き上がりがあり、底版の地盤改良が必要とされました。しかし、底版の地盤改良には高いコストや長期の工期が必要となるため、その対応が課題となりました。
短縮された工期
当初の計画では竣工予定を2022年としていましたが、「2020東京オリンピック・パラリンピック」までに供用を開始する計画に変更されています。そのため、大幅に短縮された工期に対応する必要がありました。
難工事を見事クリアした鹿島建設への高い評価
虎の門ヒルズ ステーションタワーは、限られた作業時間、地盤の課題、工期短縮といった、3つの大きな壁が立ちふさがる難工事となりました。
しかし鹿島建設は、これらの課題をすべてクリアするだけでなく、高い評価を獲得するに至りました。
工法の工夫で工期短縮を実現

結果として、虎ノ門ヒルズ駅は着工から4年半で開業しています。鹿島建設は、終電から始発までの限られた時間と交通量が少ない週末で集中的に工事を進め、平日はできる限り規制時間を短縮して、効率的に工事を進めました。
具体的には、既存設備を支えながら地下工事を進めるアンダーピニング工法を採用し、既設構造物への影響を最小限に抑えることに成功しました。さらに、縦断方向の地層変化に対応するためにTRD工法を採用し、2.5か月の工期短縮につながっています。
地下水対策としては、地盤改良をディープウェル工法に変更することで、13か月の工期短縮を実現しました。また、既存地下鉄躯体の補強はジェットクリート工法で地盤改良を行い、必要な強度を確保しながら工事を進めました。
技術力が高く評価され、土木賞、全建賞を受賞

虎ノ門ヒルズ ステーションタワーのプロジェクトは高く評価され、さまざまな賞を受賞しています。日建連が表彰する「土木賞」では、厳しい工期の遵守と交通への影響を最小限に抑えたことに加え、清掃や地域祭への参加による地域貢献が評価されました。
また、一般社団法人 全日本建設技能協会が主催する全建賞にも表彰されています。厳しい条件の中でも、段階的な施工で、駅とまちとの融合を実現した点が高く評価されました。
環境への取り組みにも高い評価

土木工事だけでなく、ステーションタワーの緑化技術も表彰されています。公益財団法人 都市緑化機構が主催する第24回緑化技術コンクールでは、「日本経済新聞社賞」を受賞しました。ステーションタワーのデッキ、壁面、上層階などの大規模な緑化で、都心における緑のネットワークを構築していることが評価されています。
また、環境対策では米国グリーンビルディング協会による国際環境性能認証制度「LEED」において、エリア開発を対象とした「ND」でプラチナ本認証を獲得しています。このプラチナ本認証は、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーが日本初の事例となっています。
まとめ
虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、地下鉄新駅「虎ノ門ヒルズ駅」と一体的に開発された大規模再開発プロジェクトです。既存地下鉄での新設工事に加え、地盤の課題や工期短縮とさまざまな課題のある難工事でしたが、鹿島建設は見事に成功させ、高く評価される結果となりました。
本プロジェクトのように、適切な工法や技術の採用は、工期短縮の実現につながります。都市部での地下工事の成功事例として、参考にしたいプロジェクトのひとつです。