国土交通省、令和7年建築着工統計を公表、着工床面積9,585万㎡で前年比6.7%減

令和7年における建築物の着工床面積が9,585万平方メートルとなり、前年と比べて6.7%の減少を記録しました。これで4年連続の減少となり、建築需要の弱さが示唆されます。

目次
公共・民間ともに減少傾向が顕著に
建築主別に見ると、公共建築物は407万平方メートルで前年比13.2%減となり、3年ぶりの減少に転じました。一方、民間建築物は9,179万平方メートルで同6.4%減となり、こちらは4年連続の減少となっています。
民間建築物をさらに細かく分類すると、居住用は5,871万平方メートル(前年比6.8%減)で4年連続の減少、非居住用は3,308万平方メートル(同5.7%減)で同じく4年連続の減少となりました。
民間非居住建築物の用途別動向
民間の非居住建築物について、主な用途別の動向を見ていきます。
■大幅に減少した業種
以下の業種では、着工床面積が大きく落ち込みました。
・鉱業・採石業・砂利採取業・建設業用:63万平方メートル(前年比25.9%減)
・製造業用:717万平方メートル(同14.2%減)
・不動産業用:114万平方メートル(同33.8%減)
特に不動産業用の落ち込みが目立ち、3分の1近い減少率となっています。
■増加を記録した業種
減少傾向が目立つ中、以下の業種では増加が見られました。
・情報通信業用:40万平方メートル(前年比9.2%増)
・金融業・保険業用:44万平方メートル(同89.9%増)
特に金融業・保険業用は前年の約2倍近い伸びを示し、この分野への投資が活発化していることがうかがえます。
■その他の業種
・卸売業・小売業用:425万平方メートル(前年比3.1%減)
・宿泊業・飲食サービス業用:249万平方メートル(同5.7%減)
・医療・福祉用:279万平方メートル(同5.7%減)
・その他のサービス業用:268万平方メートル(同10.1%減)
使途別の傾向──事務所と工場が大幅減
民間非居住建築物を使途別に分析すると、明暗が分かれる結果となりました。
■減少した使途
・事務所:418万平方メートル(前年比20.7%減、3年ぶりの減少)
・工場:583万平方メートル(同18.5%減、3年連続の減少)
事務所と工場がともに2割近い減少となり、企業の設備投資に対する慎重な姿勢が反映されています。
■増加した使途
一方で、以下の使途では増加が確認されました。
・店舗:381万平方メートル(前年比4.6%増、4年ぶりの増加)
・倉庫:960万平方メートル(同0.7%増、3年ぶりの増加)
倉庫の着工床面積は微増ながら、物流施設への需要が底堅いことを示しています。また、店舗は4年ぶりに増加に転じ、小売業の新規出店や改装の動きが見られます。
新設住宅は6.5%減、74万戸に
住宅建設の動向も厳しい状況が続いています。新設住宅の戸数は74万667戸となり、前年比6.5%の減少となりました。
利用関係別に見ると、以下のような結果です。
・持家:20万1,285戸(前年比7.7%減)
・貸家:32万4,991戸(同5.0%減)
・給与住宅:6,222戸(同5.9%減)
・分譲住宅:20万8,169戸(同7.6%減)
すべての区分で減少しており、住宅需要の低迷が全般的に続いていることが分かります。
マンション供給は12.2%減
分譲住宅の中でもマンションの供給戸数は8万9,888戸となり、前年比12.2%の大幅な減少となりました。床面積では649万7,000平方メートルで、同10.0%の減少です。
マンション市場では価格高騰による需要の減退や、建設コストの上昇による供給の抑制が影響していると考えられます。
統計結果から見える用途別・住宅市場の動向
令和7年の建築着工統計は、全体として厳しい結果となりました。4年連続の減少という数字が示すように、建築業界は長期的な調整局面にあると言えます。
ただし、金融業・保険業用の建築や店舗、倉庫など、一部では増加している分野もあり、業種や用途によって状況は異なっています。今後の経済動向や政策次第では、建築需要が回復に向かう可能性もあるでしょう。
今回の統計データは、日本の建築市場の現状を把握する上で重要な指標となっています。
出典情報
国土交通省リリース,建築着工統計調査報告(令和 7 年計)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha25.pdf