大成建設、ドローンと3Dスキャン活用の点検手法が第9回インフラメンテナンス大賞優秀賞

大成建設株式会社は、複数の協力企業とともに開発・運用している『ドローンと3Dスキャンカメラを活用したデジタル点検手法』と、それを補助する『点検実務チームのパッケージ化』が、国土交通省が主催する「第9回インフラメンテナンス大賞」において優秀賞を受賞したことを明らかにしました。この受賞は2026年2月6日に発表されました。

受賞したデジタル点検手法とは

今回表彰されたのは、ドローンと3Dスキャンカメラという最新技術を組み合わせた点検手法です。このシステムでは、ドローンと高性能なスキャン装置を使って構造物のデータを収集します。さらに、収集したデータを実際に分析・活用する専門チームも一緒にパッケージ化されている点が特徴です。

この取り組みには、NADI株式会社、スリー株式会社、株式会社ネクスト、株式会社E-THOS21という4つの協力企業が参画しています。各社の技術と専門知識を持ち寄ることで、より実用的で効果的なシステムの構築を実現しました。

なぜ優秀賞に選ばれたのか

国土交通省の評価では、このシステムには大きく2つの優れた点があるとされました。

1つ目は、点検業務や費用計算などを担当する実務チームの体制をきちんと整備している点です。先進的な技術を導入するだけでなく、それを実際の業務で使いこなせる人材や組織を用意したことが画期的だと認められました。

2つ目は、技術面での性能の高さです。多数の施設を一度に効率良く計測できることに加えて、人が入りにくい狭い場所でも正確にデータを取得できる能力が評価されました。

インフラメンテナンス大賞について

インフラメンテナンス大賞は、国土交通省が運営する表彰制度です。日本の社会基盤が老朽化していく問題に対応するため、維持管理の技術を向上させたり、作業を効率化したりする優れた取り組みを表彰しています。

この制度は、技術開発を促進し、インフラの安全性を高めることを目的としています。今回の表彰式は、2026年1月21日に東京の中央合同庁舎3号館で開催されました。

システムがもたらす具体的なメリット

このデジタル点検手法を使うことで、いくつかの重要な改善が期待できます。

まず、作業員の安全性が大幅に向上します。従来は、高所や危険な場所での作業に多くの人手が必要でした。また、足場を組む必要もあり、転落などのリスクがありました。ドローンや3Dスキャナーを使えば、人が危険な場所に近づかなくても正確なデータが取得できます。

次に、作業の省力化と効率化が実現します。必要な人員が減り、作業時間も短縮されるため、コスト削減にもつながります。

さらに、取得した3次元データを活用することで、客観的で再現性の高い点検・診断ができるようになります。担当者が変わっても同じ基準で評価できるため、より信頼性の高い判断が可能です。

どのような施設に活用できるのか

このシステムは、橋やトンネルといった道路インフラの点検に特に有効です。これらの構造物は定期的な点検が法律で義務付けられており、安全な状態を保つために欠かせない作業です。

従来の点検方法では、目視で確認することが基本でしたが、高所や狭い空間では作業が困難でした。デジタル技術を使えば、こうした場所でも詳細なデータを集められます。

また、収集したデータは将来の補修計画や更新計画を立てる際にも役立ちます。劣化の進行状況を継続的に記録することで、適切なタイミングで修繕を行うことができます。

大成建設のDXへの取り組み

大成建設は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を経営における重要課題の1つとして位置づけています。建設プロジェクトの設計段階から施工、そして完成後の維持管理に至るまで、あらゆる場面でデジタル技術を取り入れ、新しい価値を生み出す努力を続けています。

今回受賞したシステムも、そうした取り組みの成果の一つです。ドローンや3次元データ、デジタルツインといった先進技術を、現場で培われた経験や知識と組み合わせることで、実用的なソリューションを開発しています。

今後の展望

同社は今後も、インフラメンテナンスの高度化と省力化をさらに推し進めていく方針です。新しい技術の開発だけでなく、それを実際の現場で使いこなせる体制づくりにも力を入れていきます。

日本では多くのインフラ施設が建設されてから数十年が経過しており、老朽化が深刻な課題となっています。限られた予算と人材で効率的に点検や補修を行うためには、こうしたデジタル技術の活用が不可欠です。

大成建設は、先進技術と現場の実践力を融合させることで、安全で安心な社会基盤の構築を支えていくとしています。今回の受賞は、そうした姿勢が社会的に評価された証といえるでしょう。

出典情報

大成建設株式会社リリース,「ドローンと 3D スキャンカメラを活用したデジタル点検手法とそれを補助する点検実務チームのパッケージ化」が「第 9 回インフラメンテナンス大賞」優秀賞を受賞,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/assets_cms/pdf/10915.pdf