大成建設、タマサート大学技術と融合した低炭素コンクリートをタイ工事で初適用開始へ

大成建設株式会社(社長:相川善郎氏)は、タイにおいて環境負荷を抑えたコンクリート技術の導入を開始しました。同社の現地法人である大成タイランドが手がける建設現場で、タマサート大学が開発した技術を活用し、当社の「T-eConcrete®」と融合して開発・実用化した低炭素コンクリート(「タイ版T-eConcrete」)を採用したことを明らかにしました。
目次
東南アジアで高まる環境配慮型建材へのニーズ
東南アジア諸国では、脱炭素社会を目指す動きが建設業界でも活発化しています。コンクリートは製造時に多量の二酸化炭素を排出するため、環境への影響を減らす技術開発が求められてきました。
しかし、タイでは高炉スラグ微粉末といった従来の低炭素材料の確保が困難であり、これまで環境配慮型コンクリートの普及が進みにくい状況にありました。そのため、タイ国内で入手できる材料を使いながら、品質面や経済性、安定供給の面でも優れた製品の開発が課題となっていました。
タマサート大学との産学連携で実現した「タイ版T-eConcrete」
大成建設は、タマサート大学のSomnuk Tangtermsirikul教授が開発した技術と、同社が日本国内で実績を重ねてきた環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」を組み合わせることで、タイに適した製品の実用化に成功しました。
タマサート大学は東南アジアにおける研究開発の中心的な役割を担っており、コンクリート分野での低炭素化研究では先進的な取り組みを進めています。同大学との協力関係を深めることで、タイ国内で調達可能な産業副産物や廃棄物を原料として活用する技術が確立されました。
二酸化炭素排出量を最大85%削減
開発された「タイ版T-eConcrete」では、配合条件を工夫することで、従来のコンクリートと比較して二酸化炭素排出量を最大約85%まで減らすことができます。タイ国内で入手できる材料のみを使用するため、輸入材料の価格変動や供給不安定といったリスクからも解放されます。
大成建設は2025年7月から、研究開発部門の技術者をタイに配置し、現地での技術開発と実用化を継続的に推進する体制を整えました。これにより、現地の状況に合わせた柔軟な対応が可能になっています。
実用化された技術の主な特徴
この技術には、以下のような利点があります。
まず、現地で調達できる副産物を主な原料とすることで、輸入材料に頼らない安定した供給体制を構築できます。材料の価格変動や調達面での不確実性を抑えられるため、安定した施工が実現します。
次に、材料の選定と配合の最適化により、高い二酸化炭素削減効果を達成しています。従来と比べて最大約85%の排出量削減が可能となりました。
また、タマサート大学の技術とT-eConcreteの設計・管理に関する知見を組み合わせることで、強度や耐久性、施工のしやすさといった品質面でも高い水準を保っています。
さらに、タイに技術開発と実装のための拠点を設けたことで、大学や産業界、大成建設の三者による協力体制が強化されました。この拠点は、将来的に東南アジア各国への技術展開を見据えた中心的な役割を果たすことが期待されています。
そして、産業副産物などを高付加価値な用途に活用することで、資源の循環と環境負荷の低減を同時に実現しています。
東南アジア全域への展開を視野に
大成建設は今後、タイでの実績をもとに東南アジア全域で低炭素コンクリートの普及を進める方針です。現地拠点を中心として、各国の材料事情や規格、施工方法に適した配合設計の標準化を推進し、公共事業や民間プロジェクトへの適用拡大を目指します。
さらに、ライフサイクルアセスメント(LCA)による環境評価や品質保証の仕組みづくり、共同研究の充実を通じて、国際的な技術協力を強化していく計画です。これらの取り組みを通じて、持続可能な建設技術の発展に貢献していくとしています。
東南アジアは大成建設の中長期事業戦略において重要な成長市場のひとつと位置づけられており、環境負荷を低減する技術の導入が加速する中、現地材料を活用した低炭素化の推進は、持続可能な社会の実現に直結する取り組みとなります。
今後の展開と技術適用の見通し
大成建設によるタイでの低炭素コンクリート導入は、現地の資源を活用しながら環境への配慮と経済性を両立させた好例といえます。産学連携による技術開発と、現地拠点の設置による継続的な改善体制の構築により、東南アジア地域における脱炭素建設技術の普及に弾みがつくことが期待されます。
出典情報
大成建設株式会社リリース,タイでの建設工事に低炭素コンクリートを当社で初適用-タマサート大学との連携を強化し、東南アジアでの低炭素建設技術の社会実装を推進-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260202_10913.html