建築用語「涙目(なみだめ)」とは?正式名称・納まり・仕様選定まで建築関係者向けに解説

建築現場で用いられるケースも多い「涙目」について、具体的に何を指すのか知りたい、設計での取り扱いがわからないとお悩みの方も多いでしょう。またDIYとしても利用されることから、設計段階で必要なのか把握したい方もいるはずです。
そこでこの記事では、涙目の正式名称や使用箇所、選定基準までを実務視点でわかりやすく解説します。
目次
結論|涙目は壁・建具保護のための簡易クッション材
建築における「涙目」は、建具や家具の当たりによる壁・仕上げ材の損傷を防ぐための透明樹脂製クッション材です。直径8~12mm程度の半球状で、シール貼付型が一般的です。
たとえば、備え付けのドアや扉が開く位置に、衝撃緩和を目的として、ゴム状の小さな円形素材が取り付けてあるのを見たことがある人も多いでしょう。このように、涙目はドアノブ跡・吊戸棚の当たり・造作家具の接触防止などに活用されます。
固定金物と違い、目立たず、後付け可能で、施工が容易という利点があります。
正式名称とメーカー呼称の違い
涙目は、あくまで現場の共通用語として使われている言葉です。実際にはメーカーなどによって正式名称が異なります。以下に一例をまとめました。
| 呼称 | 備考 |
| クリアーバンパー | 透明タイプの一般名称 |
| ソフトクッション | ホームセンター系で多い |
| ゴムクッション | 素材表現型 |
| バンポン(Bump-on) | 海外由来の呼称 |
そのため、図面や特記仕様書には「涙目」と明記されないことがほとんどです。設計・施工時には正式名称で記載する必要があります。
涙目の主な使用箇所
涙目は、納まり・美観・クレーム防止につながる小さな補助材です。
設計図に明記されないことも多いものの、現場判断で使用されるケースが少なくありません。ここでは、実務で特に使用頻度の高い箇所を整理します。
吊戸棚の戸当たり
涙目は、吊戸棚の開閉時、壁や隣接家具に接触する位置に貼付するケースが一般的です。
半球形状のクッションが衝撃音を緩和し、クロスや化粧板の損傷を防ぎます。特に、床付け戸当たりを設置できない場面での簡易的な納まりとして活用されます。
ドアノブ・レバーハンドル跡防止
室内ドアのレバーハンドルが壁面に当たる場合、涙目を壁側へ設置します。
金物の戸当たりよりも目立ちにくく、後付け施工が容易な点がメリットです。軽微な接触防止用途であれば、十分に緩衝効果を発揮します。
造作家具・収納建具
備え付けの造作収納や可動棚など、建具同士が接触する箇所にも涙目が用いられます。
たとえば、化粧面の打痕や塗装欠けを防止でき、引き渡し後の補修リスク軽減につながります。新築時はもちろんリフォームでも施工性の高い部材として活用されています。
設備機器の緩衝・滑り止め用途
涙目は、換気扇カバーや小型設備機器の振動緩和、仮置き部材の滑り止めにも使用されます。
重量物の場合、対応できないケースもありますが、軽量設備の振動吸収や異音防止の補助材として役立ちます(用途に応じて厚み選定が必要)。
戸当たりとの違いと使い分け
涙目と戸当たりは、どちらも「接触防止部材」です。しかし、以下のように用途・耐久性・設置方法が異なります。
| 項目 | 涙目 | 戸当たり |
| 目的 | 軽微な衝撃緩和 | 扉停止位置の固定 |
| 設置方法 | シール貼付 | 床・壁にビス固定 |
| 耐久性 | 消耗品(中〜低) | 半永久的(高) |
| 施工性 | 後付け容易 | 下地確認必要 |
| 適用荷重 | 小 | 中〜大 |
| 視認性 | 目立ちにくい | 見える場合あり |
このように、軽微な接触には涙目、強い衝撃や固定位置制御が必要な場合は戸当たりが適しています。納まりを誤ると、剥がれ・騒音・仕上げ損傷の原因になるので注意しましょう。
涙目で済むケース/済まないケース
軽量建具や吊戸棚の軽接触程度なら涙目で十分対応可能です。
一方、ドア開放位置を固定する用途や重量扉では戸当たりが必要です。衝撃荷重・開閉頻度・下地条件を基準に選定しなければなりません。
サイズ・厚みの選定基準(8mm/10mm/12mm)
涙目の性能は、サイズと厚みによって左右されます。
結論として、涙目は接触距離・扉クリアランス・衝撃荷重を基準に選定することが重要です。過小サイズでは緩衝効果が不足し、過大サイズでは納まり不良や意匠低下につながります。
たとえば、市販品の規格は直径8mm・10mm・12mmが主流です。厚みは約2~4mmが一般的であるため、軽接触なら8mm、壁保護重視なら10mm以上を選定しましょう(選定の目安は以下を参照)。
| 接触状況 | 推奨サイズ | 備考 |
| 吊戸棚の軽接触 | φ8mm | 意匠優先 |
| レバーハンドル接触 | φ10mm | 標準的 |
| やや強い接触 | φ12mm | 厚み3〜4mm推奨 |
小さな部材でも選定を誤ると再施工の原因になります。現場条件に応じて規格の選定が必要です。
材質の違いと耐久性
涙目は、材質によって耐久性・黄変・接着性能が異なります。
材質については、使用環境(温度・湿度・紫外線)と接触頻度を基準に選ぶことが重要です。適材適所で選定しないと、剥がれ・硬化・変色の原因になるため、以下より各素材の特徴を紹介します。
シリコン系
シリコン系は柔軟性が高く、緩衝性能に優れます。温度変化にも比較的強く、室内用途で安定しやすい材質です。ただし接着力はやや弱めで、貼付面の脱脂処理が不十分だと剥離のリスクがあります。
ポリウレタン系
ポリウレタン系は透明度が高く、耐摩耗性に優れます。比較的長期間使用に向き、標準仕様として採用されることが多い材質です。紫外線環境では経年で黄変する場合があります。
ゴム系
ゴム系は弾性は高いものの、経年により硬化しやすい傾向があります。コストは抑えやすいですが、耐久性重視の新築案件では慎重な選定が必要です。軽用途や仮設的な使用に向きます。
建築用語の涙目についてよくある質問【FAQ】
涙目の正式名称は?
「涙目」は建築現場で用いられる俗称であり、正式名称はメーカーごとに異なります。一般的には「クリアーバンパー」「ソフトクッション」「ゴムクッション」「バンポン(Bump-on)」などと呼ばれます。
涙目は図面に記載する必要はありますか?
軽微な補助材のため図面明記は必須ではありません。ただし、数量が多い場合や意匠・性能に影響する場合は特記仕様書へ記載することが望ましいです。発注トラブル防止の観点から事前明文化することが安全です。
まとめ
建築における「涙目(なみだめ)」は、小さな部材でありながら、納まりや美観維持に寄与する重要な補助材です。
軽微な接触には涙目、扉位置制御や強い衝撃には戸当たりといった使い分けが基本であり、サイズ・厚み・材質を使用環境に合わせて選定する必要があります。再施工や剥離トラブルを防止するためにも、本記事やメーカー基準などをもとに設置位置や材質などを選定しましょう。