虎ノ門ヒルズ T-デッキとは|写真でわかる接続構造と防災設計

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トレンドワード:虎ノ門ヒルズ T-デッキ
「T-デッキ」とは、虎ノ門ヒルズの超高層タワー「ステーションタワー」と、低層棟「グラスロック」をつなぐ歩行者デッキです。
この二棟は、桜田通りを挟んだ位置にあります。両棟を立体的に接続することで、歩行者の回遊性と安全性を高めるとともに、憩いの場としても活用できる「ブリッジパーク」として整備されました。
本記事では、虎ノ門ヒルズ T-デッキの構造やステーションタワーとの接続方法、さらに防災設計との関係についてわかりやすく解説します。
「虎ノ門ヒルズ T-デッキ」とは|事業概要

虎ノ門ヒルズの再開発では、地区内の回遊性向上を目的として、4つの歩行者デッキが整備されています。その中でもT-デッキは、桜田通りをまたいで主要施設を接続する中心的な歩行者デッキです。
ここからは、T-デッキの事業概要について見ていきましょう。
所在地・構造・規模・竣工日
虎ノ門ヒルズ T-デッキの事業概要は、以下の通りです。
- 所在地:東京都港区虎ノ門二丁目6番1号(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー)・東京都港区虎ノ門1丁目22−1(グラスロック)
- 橋長:35.4m
- 主径間:34.4m
- 幅員:18.0~20.0m
- 着工日:2021年3月
- 竣工日:2023年7月
T-デッキは、虎ノ門ヒルズのステーションタワー地上2階部分を貫通する形で整備された歩行者デッキです。
最大幅員20m、全長約35mの大規模デッキで、回遊性の向上に加え、ブリッジパークとしての活用で地域イベントの開催も想定されています。こうした活用により、施設全体の集客性や滞留性の向上も期待されています。
設計・ゼネコン
虎ノ門ヒルズ T-デッキの設計・施工は、以下の通りです。
- 設計:NEY & PARTNERS JAPAN
- 施工:鹿島建設
T-デッキの設計は、NEY & PARTNERS JAPAN(ネイ&パートナーズジャパン)が担当しました。同社は虎ノ門ヒルズ地区に整備された4つの歩行者デッキすべての設計を手がけています。
施工は鹿島建設が担当し、ほか3つのデッキや地下通路の整備もあわせて進められました。
T-デッキの写真から読み解く外観デザインと構造設計
T-デッキの特徴的な外観デザインは、造形的な美しさだけでなく、構造体そのものが強度を担う合理的な設計となっています。ここからは、T-デッキの接続位置や、写真から読み取れる外観と構造の特徴について見ていきましょう。
虎の門ヒルズの回遊性向上

T-デッキが接続するのは、ステーションタワー内部からグラスロックまでの間で、両棟を2階部分で接続しています。ステーションタワー内部では、ビル内を貫通するようにデッキが整備されています。
ステーションタワーを通り抜けると、次に隣接する森タワーにつながる歩行者デッキが接続されています。このように、T-デッキを使ってステーションタワーから森タワーまで、回遊できる歩行者通路として整備されています。
美観と強度が両立する外観デザイン

T-デッキは、橋梁底部に板を連続して折り曲げたような「折板箱桁構造」を採用しています。折板箱桁構造とは、内部に大きな骨組みを作らず、外側の鋼板そのもので強度を出し建築物を支える、モノコック構造の一種です。
折板箱桁構造では、鋼板を現場溶接によって一体化させ、一つ一つ手作業で仕上げて完成させます。非常に手間がかかる工法ですが、ボルトを使用せずに接合できるため、橋梁部の部品点数を抑えることができます。T-デッキは折板箱桁構造を採用することによって、ライフサイクルコストの削減と、歩行者デッキとしての高い強度を両立しています。
こうした特徴的な構造に加え、連続した折り目による陰影が印象的な外観を作り上げ、虎ノ門ヒルズ地区のブランドコンセプトに調和した造形美も実現しています。
部材と構造による地震対策
T-デッキは、仕上げ材を使わない構造も特徴的です。折り曲げられた構造部分の鋼材を仕上げとすることで、仕上げ材を一切使わない構成となっています。仕上げ材は地震の際にはがれ落ちる可能性があるため、通行車両や歩行者の安全性を向上させるとともに、日々のメンテナンス性の向上にもつながっています。
デッキ自体の地震対策としては、片側の支柱がヒンジで動き、揺れを吸収する構造となっています。今後は、虎の門病院から隣接するホテル「The Okura Tokyo」、さらに霞ヶ関コモンゲート方面への歩行者デッキの接続も構想中となっています。
T-デッキを都市インフラとして考える虎ノ門ヒルズの防災設計
T-デッキは単なる歩行者通路ではなく、虎ノ門ヒルズ全体の防災計画とも連動した都市インフラの一部として整備されています。
ここからは、立体的な歩行者ネットワークの形成が、虎ノ門ヒルズの防災設計にどのような効果をもたらしているのかを見ていきましょう。
フロアマップでわかる効率的な利用者動線

ステーションタワーは、1階に車寄せ、2階に商業フロアを配置し、2階レベルでT-デッキと接続する構成となっています。これにより、施設利用者は地上の車道を横断することなく、虎ノ門ヒルズ各棟へ移動することが可能です。
さらに、2階の歩行者ネットワークは、隣接する江戸見坂テラスを経由し、虎の門病院方面へも接続しています。車両動線と分離された立体的な歩行者空間を確保することで、災害時においても安全性の高い移動ルートを形成しています。
帰宅困難者避難の対応力向上も
虎ノ門ヒルズはオフィスワーカーが集積するエリアであり、災害時には多数の帰宅困難者の発生が想定されています。ステーションタワー、グラスロック、森タワー、ビジネスタワーの4棟では、合計約5,200人を受け入れ可能な帰宅困難者滞在施設が整備されています。
これらの施設は、各棟の竣工時に段階的に整備されてきたものです。T-デッキを含む4基の歩行者デッキによって、各棟が立体的に接続されたことで、災害時でも建物間を安全に移動できる環境が整えられています。
まとめ
虎ノ門ヒルズ T-デッキは、高層棟「ステーションタワー」と低層棟「グラスロック」を2階レベルで接続する歩行者デッキです。虎ノ門ヒルズ地域の回遊性向上だけでなく、ブリッジパークとしての集客性や滞留性を高める空間としても機能しています。
また、構造や部材の選定においても、防災対応やライフサイクルコストを考慮した設計となっています。都心の再開発が進む中、本プロジェクトのように平常時と災害時の両方を見据えた整備計画が、今後ますます重要になりそうです。