建築模型の材料はこれで揃う|初心者〜設計課題まで失敗しない選び方

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Category:コラム建築
Tag:建築

著者:上野 海

建築模型を作りたいけれど「どの材料を選べばいいのかわからない」「見た目は良いのに評価が伸びない」とお悩みではないでしょうか。

実は、建築模型の完成度は材料選びの段階で、その品質が決まると言われています。用途に合わない材料を選ぶと、仕上がりの精度・耐久性・制作効率に悪い影響が出てしまいます。

そこで本記事では、建築模型の材料選びにお悩みの学生・初心者・設計課題に取り組む人に向けて、失敗しない材料選びの考え方を解説します。

建築模型に使われる材料とは?

建築模型の材料は、「形をつくる」「構成を伝える」「スケール感を表現する」という目的に合わせて選ぶ、加工性・再現性・コストのバランスが取れた素材のことです。

特に建築模型は、完成品の見栄えだけでなく、設計意図が正確に伝わるかが評価されます。そのため、材料には次の条件が求められます。

  • 加工しやすさ(切る・貼る・削るが容易)
  • 寸法精度の保ちやすさ(反り・歪みが出にくい)
  • スケールの表現しやすさ(厚み・質感が過剰でない)

なお、建築模型の材料に関する公的な統一規格や全国統計は存在しません。そのため本記事では、大学の設計課題要項・建築学科の制作指導で一般的に推奨される素材を基準に解説します。

目的別|建築模型の材料はこれだけあれば十分【早見表】

建築模型の材料は、すべてを揃える必要はありません。模型の目的ごとに必要な材料はほぼ決まっています。すぐに模型作成に取り掛かりたいなら、最低でも以下の材料を準備しましょう。

  • 検討用・ラフ模型

スチレンボード/ケント紙

  • 設計課題の提出模型

スチレンボード/紙系素材/透明素材(窓部分のみ)

  • プレゼン・講評用模型

上記+木材系素材/外構素材(一部)

迷ったら「今作る模型は、誰に何を伝えるのか」を基準に、必要最小限から揃えるのが失敗しない方法です。

なお、建築コンペのために模型を作成する予定の方は、以下のガイド記事もチェックしてみてください▼

建築模型の代表的な材料一覧【用途別】

建築模型の材料は、表現したい情報(形・構造・透明感・環境)ごとに最適素材が異なるため、用途別に選ぶことが重要です。

以下より、課題制作で使用頻度が高い素材を用途別に整理します。

主な素材建築模型で使われる場所形状調整に必要な道具
スチレンボード
スチレンペーパー
外壁、床、屋根、建物ボリューム全体カッター(替刃)金属定規カッターマット
ケント紙
ボール紙
段ボール
間仕切り、屋根形状、検討用模型カッターハサミスプレーのり
バルサ材
ヒノキ棒
柱、梁、階段、ルーバー、フレームカッター小型ノコギリ紙やすり
アクリル板
塩ビ板
窓、トップライト、ガラス壁、水盤アクリルカッターヤスリ専用接着剤
樹木素材
スポンジ
ジェッソ
植栽、地面、舗装、外構全般ピンセット木工用ボンド筆

スチレンボード・スチレンペーパー(最重要素材)

スチレンボードは軽量で反りにくく、直線を正確に切り出せるのが特徴です。外壁や床、屋根など建物全体のボリューム表現に多用され、建築模型の基礎となります。

なお、加工にはカッターと金属定規、カッターマットが必須で、刃の切れ味が仕上がりを大きく左右します。

紙・ボード系材料(ケント紙・ボール紙・段ボール)

紙・ボード系材料は安価で入手しやすく、軽快な加工性が魅力です。間仕切りや屋根形状、検討用の試作模型など、スピード重視の場面で使われます。

カッターやハサミ、スプレーのりがあれば加工でき、薄物は刃をこまめに替えることが重要です。

木材系材料(バルサ材・ヒノキ棒)

木材系材料は立体感と素材感を表現しやすく、構造の理解を伝えるのに適しています。柱や梁、階段、ルーバーなどの表現に使われ、模型に情報量を与えます。

加工にはカッターや小型ノコギリ、紙やすりが必要で、微調整の丁寧さが精度を高めます。

樹脂・透明素材(アクリル板・塩ビ板)

アクリル板や塩ビ板は高い透明性を持ち、窓やトップライトなどの開口部表現に適しています。プレゼン模型で空間の抜けを示したい場合に効果的です。

アクリルカッターやヤスリ、専用接着剤を使い、割れやすさに注意して加工します。

ジオラマ・外構用素材(樹木・スポンジ・ジェッソ)

ジオラマ素材は建物周辺の環境を補足し、スケール感を直感的に伝える役割を持ちます。植栽や地面、外構部分に使われ、模型全体の完成度を高めます。

ピンセットや木工用ボンド、筆を使った細かな作業が中心になります。

建築別の模型材料まとめ

建築模型は、作成する建物の種類によって必要な材料が異なります。以下より、家・マンション・施設別にあると便利な材料を紹介します。

家(戸建住宅)の模型を作るときの材料例

  • スチレンボード(外壁・床・屋根)
  • ケント紙(庇・屋根形状)
  • 透明塩ビ板(窓)
  • 簡易外構素材(植栽・地面)

戸建住宅の模型は、建物の形と暮らしのスケールが伝われば十分です。基本はスチレンボードで建物全体をつくり、屋根や細部は紙素材で軽く表現します。

マンションの模型を作るときの材料例

  • スチレンボード(躯体・階構成)
  • ケント紙(バルコニー)
  • 厚紙・ボード(敷地・台座)

マンション模型では、階数とボリューム感を正確に示すことが重要です。装飾は省き、繰り返し構成が分かる材料選びをします。

施設(公共施設・商業施設)の模型を作るときの材料例

  • スチレンボード(外壁・床)
  • アクリル板(ガラス面)
  • 木材系素材(柱・梁)
  • 外構・ジオラマ素材

施設模型は、空間の広がりや開放性を伝えることが目的になります。透明素材や構造表現を部分的に使うと効果的です。

建築模型の材料はどこで買う?購入先別の特徴

建築模型の材料は、購入先によって価格・品質・揃いやすさが大きく異なります。すべてを一か所で揃えようとすると無駄が出やすいため、模型の目的や完成度に応じて買い分けることが失敗しないコツです。

【購入先ごとの特徴】

  • 100円ショップ → 試作・ラフ模型用の材料や道具を安く揃えやすい
  • ホームセンター → 木材系材料や工具をまとめて購入しやすい
  • 専門店・オンラインショップ → 提出・プレゼン向けの高精度素材を選びやすい

100円ショップで買う

100円ショップは、建築模型の補助的な材料や道具を安く揃えたい場合に向いています。

発泡ボード、厚紙、カッター、接着剤、ピンセットなどは十分実用的で、試作模型やラフ検討に便利です。一方で、スチレンボードの精度や厚みの安定性は低いことが多く、提出用模型には不向きな点に注意が必要です。

ホームセンターで揃える

ホームセンターは、木材系材料や工具類をまとめて購入できるのが強みです。

バルサ材、角材、ヒノキ棒、ノコギリ、ヤスリなどは種類も多く、構造表現を重視する模型に適しています。ただし、建築模型専用ではないため、材料サイズが大きすぎる場合があり、加工前提で選ぶ意識が重要になります。

専門店・オンラインショップで買う

模型専門店やオンラインショップは、精度・品質・選択肢の面で安心できる購入先です。

スチレンボードの厚み違い、透明素材、スケール対応素材などが揃い、設計課題やプレゼン模型に最適です。価格はやや高めですが、作り直しを減らせるため、結果的にコスト削減につながるケースも少なくありません。

建築模型材料を安く揃えるコツ【学生・初心者向け】

建築模型の材料費を抑えるコツは、最初に「模型の目的」と「完成度」を明確にすることです。

すべてを高品質素材で揃える必要はなく、

  • 検討用は100円ショップ
  • 構造表現はホームセンター
  • 提出用の要所のみ専門店

というように使い分けることで、無駄な出費を防げます。

また、余りやすいスチレンボードや木材は共同購入や先輩からの譲渡を活用すると効果的です。買い足しを防ぐためにも、事前に簡単な材料リストを作成してから購入しましょう。

建築模型に必須の道具・工具一覧

建築模型の完成度は、材料だけでなく道具選びで左右されます。

たとえば、切断精度が低いと寸法ズレが生じ、接着が甘いと仕上がりが一気に崩れます。初心者ほど「最低限そろえるべき道具」を押さえ、作業効率と精度を安定させることが重要です。参考として以下に、必要な道具や工具を整理しました。

道具・工具主な用途ポイント
カッター(替刃含む)スチレン・紙・木材の切断刃はこまめに交換する
金属定規直線カット・寸法出し滑り止め付きが安全
カッターマット下敷き・作業面保護A3以上が使いやすい
接着剤(木工用・瞬間)部材固定素材ごとに使い分け
ピンセット細部・外構素材の配置先端精度が重要
紙やすり木材・断面調整#240〜400が基本
鉛筆・シャーペン罫書き・下書き消しやすさ重視

これらは一度そろえれば長く使える基本装備です。無理に高級品を選ぶ必要はなく、まずは扱いやすさを優先しましょう。

建築模型の材料でよくある失敗と注意点

建築模型で多い失敗は、材料の特性を理解しないまま制作を進めてしまうことです。以下に、よくある失敗例をまとめました。

  • すべてを同じ材料で作り、情報の強弱が伝わらない
  • 厚みやスケールを無視し、模型が重く見える
  • 切れ味の悪い刃を使い、断面が荒れる
  • 接着剤を付けすぎて汚れが目立つ
  • 購入先を絞らず、無駄な材料を買ってしまう

仕上がりや評価を下げないためには、事前に注意点を押さえておく必要があります。材料は「表現目的ごとに使い分ける」ことが重要であるため、本記事を参考に「作りたいもの」と「必要なもの」を整理することから始めましょう。

購入前チェック|建築模型の材料選びで失敗しない3つの確認ポイント

材料を買いに行く前に、次の3点を確認するだけで無駄な出費と作り直しを防げます。

  • 模型の目的は明確か(検討用/提出用/プレゼン用)
  • スケールに対して厚すぎないか
  • 一部だけ強調すべき箇所はどこか

この3点が整理できていない場合、材料選びはほぼ確実に迷走します。事前に簡単な材料リストを作るか、第三者に確認してもらうのが有効です。

まとめ

建築模型は、作り方以前に材料選びで完成度の大半が決まります。

用途やスケールを整理し、必要な素材だけを適切な購入先で揃えることが、無駄や失敗を防ぐ近道です。初心者ほど失敗しやすいため、無理に「完璧」を目指すのではなく、まずは要点を押さえることからスタートしましょう。