国土交通省発表:令和7年10月建築着工統計、7か月連続減少も店舗・工場は増加傾向

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令和7年10月における建築物の着工床面積は877万平方メートルとなり、前年同月と比べて3.5%の減少となりました。これで7か月連続の減少です。公共部門と民間部門の両方で前年を下回る結果となっています。

公共・民間ともに減少

公共の建築主による着工は40万平方メートルで、前年同月比5.7%の減少でした。先月は増加していましたが、再び減少に転じています。一方、民間の建築主による着工は837万平方メートルとなり、前年同月比3.4%減となりました。こちらは7か月連続の減少が続いています。

民間建築の内訳

民間建築主の内訳を見ると、居住用が563万平方メートルで前年同月比0.5%の減少となり、7か月連続で前年を下回りました。非居住用は274万平方メートルで、前年同月比8.9%減となり、5か月連続の減少です。

用途別の動向

民間非居住用建築物を用途別に見ると、増加したものと減少したものが混在しています。

増加した主な用途は以下の通りです。

・卸売業・小売業用:45万平方メートル(前年同月比57.2%増)

・金融業・保険業用:3万平方メートル(同244.4%増)

・不動産業用:16万平方メートル(同62.2%増)

・医療・福祉用:28万平方メートル(同20.9%増)

一方で、減少した主な用途は次のようになっています。

・情報通信業用:1万平方メートル(前年同月比74.6%減)

・宿泊業・飲食サービス業用:22万平方メートル(同42.3%減)

・鉱業、採石業、砂利採取業、建設業用:6万平方メートル(同17.5%減)

・その他のサービス業用:20万平方メートル(同8.4%減)

・製造業用は71万平方メートルで、ほぼ横ばいの0.3%減となりました。

使途別では店舗と工場が増加

民間非居住用建築物を使途別で見ると、店舗と工場が増加した一方、事務所と倉庫が減少しました。

具体的には、店舗が44万平方メートルで前年同月比85.8%増と大きく伸びました。これで2か月連続の増加です。工場は59万平方メートルで同1.1%増となり、5か月ぶりに前年を上回りました。

反対に、事務所は38万平方メートルで前年同月比23.7%減となり、3か月ぶりの減少です。倉庫は49万平方メートルで同43.3%減と大幅に減少し、2か月連続で前年を下回りました。

新設住宅は微増

新設住宅の戸数は71,871戸となり、前年同月比3.2%の増加でした。床面積の合計は5,444千平方メートルで、前年同月比0.8%増となっています。

利用関係別の状況

利用関係別に見ると、持家は18,081戸で前年同月比8.2%の減少となりました。貸家は30,771戸で同4.2%増、給与住宅は539戸で同36.3%減でした。分譲住宅は22,480戸で同14.8%増と好調です。

分譲住宅の内訳では、マンションが11,650戸で前年同月比31.8%増、一戸建が10,564戸で同0.5%増となっています。

資金別・構造別の内訳

資金別では、民間資金による住宅が65,256戸で前年同月比2.1%増、公的資金による住宅が6,615戸で同15.0%増でした。

構造別では、木造が40,597戸で前年同月比2.8%の減少、非木造が31,274戸で同12.0%の増加となっています。

工事費予定額は増加

建築物全体の工事費予定額は2兆8,897億5,900万円となり、前年同月比9.0%増加しました。これは床面積が減少する中での増加となっており、建築コストの上昇が影響していると考えられます。

地域別の動き

地域別に見ると、増加した地域と減少した地域が分かれています。

床面積で大きく増加したのは、福島県(116.6%増)、熊本県(129.8%増)、沖縄県(64.3%増)などです。一方、千葉県(38.1%減)、京都府(35.9%減)、富山県(35.0%減)などで大きく減少しました。

新設住宅戸数では、大阪府が前年同月比42.7%増と好調でした。近畿圏全体でも24.3%増と堅調な伸びを示しています。

まとめ

令和7年10月の建築着工統計は、全体として減少傾向が継続する結果となりました。特に民間非居住用建築物の減少が目立ちます。ただし、店舗や工場など一部の用途では増加が見られ、業種による差が顕著です。新設住宅は微増となり、特に分譲マンションが好調でした。建築市場は用途や地域によって明暗が分かれる状況が続いています。

出典情報

国土交通省リリース,建築着工統計調査報告(令和 7 年 10 月分)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha710.pdf