【2025年最新版】建設業法第2条第1項とは?建設工事の定義・修繕工事の扱い・関連条文まで完全解説

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Category:コラム建築

著者:上野 海

建設業に関わる実務で、必ず登場するのが「建設業法第2条第1項」です。しかし、「どこまでが建設工事に当たるのか」「修繕工事は対象なのか」「許可が必要かどうかの判断基準が曖昧」と感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、第2条第1項は「建設業法すべての判断の起点」となる重要な定義です。「この工事、建設業許可が必要なのか?」と一度でも悩んだことがある方は、特に注意が必要かもしれません。

そこでこの記事では、条文の意味をわかりやすく整理し、実務で迷いやすい修繕工事や別表第一との関係まで解説します。

建設業法第2条第1項とは?建設工事の定義

建設業法第2条第1項は、建設業法全体の前提となる「建設工事」の定義を定めた条文です。

この定義に該当するかどうかで、建設業許可の要否、技術者配置義務、契約上の責任範囲まで変わるため、実務では最初に確認すべきポイントになります。

建設業法第2条第1項の原文

まずは、建設業法第2条第1項の条文を確認しましょう。

この法律において「建設工事」とは、土木建築に関する工事で別表第一の上欄に掲げるものをいう。

引用:e-Gov 法令検索「建設業法」

条文自体は短いものの、後続条文や別表と組み合わせて解釈することが前提となっています。

条文をかみ砕いて解説

結論から言うと、第2条第1項は「工事の範囲を無制限に広げないための線引き」です。条文を要素ごとに分解すると、次の3点がポイントになります。

条文の要素意味
土木建築に関する工事単なる作業や役務提供ではなく、構造物の築造・改変に関わる工事を指す
別表第一の上欄に掲げるもの建設業法独自の工事分類(業種区分)に該当するかが判断基準となる

つまり、「工事と名が付いている=建設工事」ではありません。別表第一に該当しない作業は、原則として建設業法上の建設工事には当たらない点が重要です。

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建設業法第2条第1項に関連する「別表第一」とは?

建設業法第2条第1項を正しく理解するうえで欠かせないのが「別表第一」の存在です。

別表第一は「建設工事の具体的な中身」を示す実務用の一覧表であり、次の29項目が主な対象工事となります。

土木一式工事土木工事業
建築一式工事建築工事業
大工工事大工工事業
左官工事左官工事業
とび・土工・コンクリート工事とび・土工工事業
石工事石工事業
屋根工事屋根工事業
電気工事電気工事業
管工事管工事業
タイル・れんが・ブロツク工事タイル・れんが・ブロツク工事業
鋼構造物工事鋼構造物工事業
鉄筋工事鉄筋工事業
舗装工事舗装工事業
しゆんせつ工事しゆんせつ工事業
板金工事板金工事業
ガラス工事ガラス工事業
塗装工事塗装工事業
防水工事防水工事業
内装仕上工事内装仕上工事業
機械器具設置工事機械器具設置工事業
熱絶縁工事熱絶縁工事業
電気通信工事電気通信工事業
造園工事造園工事業
さく井工事さく井工事業
建具工事建具工事業
水道施設工事水道施設工事業
消防施設工事消防施設工事業
清掃施設工事清掃施設工事業
解体工事解体工事業

引用:e-Gov 法令検索「建設業法」

実務では、まず工事内容を整理し、別表第一のどの工事に当たるかを確認する。その後に、建設工事に該当しているかを判断していく順番が基本です。発注されている工事内容がどの項目に該当するのかをチェックしてみてください。

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建設業法第2条第1項で定義される「建設工事」とは

建設業法第2条第1項で定義される「建設工事」は、一般的にイメージされる「工事全般」とは一致しません。

結論として、建設業法上の建設工事は、前述した別表第一に記載されている工事が対象であり、「法律で限定された工事」のみを指します。なぜなら、建設業法はすべての作業や業務を規制する法律ではなく、社会的影響が大きい工事のみを対象に、許可・監督を行う法律だからです。

たとえば、前述した別表第一に該当しない工事であったり、規模が小さい工事などは、建設工事に該当しないケースもあります。

この違いを理解せずに業務を進めると、「許可が不要だと思っていた工事が、実は建設業法の対象だった」という事態につながります。

建設業法第2条第1項と「修繕工事」の関係

「修繕工事は建設業法の対象外」と誤解されがちですが、修繕工事でも内容次第で建設工事に該当します。参考として以下より、該当しやすいケース・該当しにくいケースを整理しました。

該当しやすい修繕工事

  • 建物や設備の機能・性能を回復・向上させる工事
  • 構造体や主要設備に手を加える工事
  • 継続的・反復的に請け負う修繕業務

該当しにくい修繕工事

  • 消耗品の交換のみ
  • 清掃・点検・保守にとどまる作業
  • 工事性がほとんどない軽微な対応

つまり、「修繕=対象外」ではなく、「その修繕が、別表第一に掲げる工事内容に当たるか」が判断になります。このポイントを誤ると、無許可営業や行政指導、指名停止を受けるリスクもあるため、正しい判断をする必要があります。

建設業法第2条第1項が実務で重要な理由

建設業法第2条第1項は、許可の要否、契約の適法性、当事者の責任範囲といった実務の核心部分につながる条文であるため、理解が浅いまま業務を進めると大きなリスクを抱えることになります。

ここでは、建設業法第2条第1項について、実務で確実にチェックすべき理由を紹介します。

許可が必要かどうかの判断基準になる

建設業者が取得する「建設業許可」が必要かどうかは、第2条第1項に該当しているかで判断をします。

たとえば、建設業法第3条第1項には、「建設業を営もうとする者は許可を受けなければならない」と定められています。しかし、その前提として、そもそも請け負っている内容が「建設業法上の建設工事に該当するか」を判断しなければなりません。

ここで基準になるのが、第2条第1項+別表第一です。許可の取得は法律で定められているため、トラブル防止のためにも確実に取得が必要なのかをチェックしましょう。

なお、建設業許可の条件や費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください▼

契約トラブル・無許可営業リスクを防ぐ

第2条第1項について誤解をすると、契約トラブルの火種になります。

もし建設工事に該当するにもかかわらず、次のような対応をした場合、行政指導や営業停止を受ける可能性があるほか、元請けからの契約解除、代金の未払いトラブルに巻き込まれるかもしれません。

  • 無許可で請け負った
  • 許可業種と異なる工事を契約した

契約書を交わした後では修正が難しいため、契約前の段階で第2条第1項について整理をしておくことが、最大のリスクヘッジになります。

建設業法第2条第1項についてよくある質問【FAQ】

修繕工事は必ず建設業法の対象になりますか?

修繕工事だからといって、必ず建設業法の対象になるわけではありません。判断基準は工事名ではなく内容です。構造や設備に手を加え、別表第一に該当する場合は「建設工事」と判断され、許可が必要になることがあります。消耗品交換や軽微な作業のみであれば、対象外となるケースもあります。

別表第一に載っていない工事はどう扱われますか?

別表第一に掲げられていない工事は、原則として建設業法上の「建設工事」には該当しません。ただし、名称が異なっていても実質的に別表第一の工事内容と同等であれば、対象と判断される可能性があります。実務では工事内容を具体的に整理したうえで判断することが重要です。

建設業法第2条第1項と第3条第1項は何が違いますか?

第2条第1項は「何が建設工事か」を定義する条文で、第3条第1項は「建設業を営むには許可が必要」と定めた条文です。つまり、第2条で対象工事を確定し、そのうえで第3条により許可の要否を判断する関係にあります。実務では必ずセットで確認します。

まとめ

建設業法第2条第1項は、どの工事が建設業法の対象になるかを決める条文です。

工事名や金額ではなく、「工事内容が別表第一に該当するか」という視点で判断することが重要で、修繕工事や改修工事であっても内容次第では建設工事に該当します。

この定義を誤って理解すると、無許可営業や契約トラブルにつながるリスクがあります。建設業に従事する場合には、受注する工事が建設業許可に該当するか否かの判断として、建設業法第2条第1項の内容チェックを怠らないように注意しましょう。