大和ハウス工業、食堂棟・万博バス停・間伐材外壁の3作品がウッドデザイン賞2025を受賞

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大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市、代表取締役社長:大友浩嗣)は、複数の建築プロジェクトおよび建材開発において、「ウッドデザイン賞2025」を受賞したことを発表しました。同社にとって6回目の受賞となり、これまでの累計受賞作品数は9つに達しています。この賞は、一般社団法人日本ウッドデザイン協会が主催し、林野庁の補助事業として実施されています。

今回受賞した3作品は、それぞれ異なる部門での評価を受けました。

ハートフルデザイン部門では「河村電器産業株式会社つくば工場食堂棟」が、ライフスタイルデザイン部門では「万博バス停建築プロジェクト 東ゲート南停留所(通称:wavy)」と「間伐材耐火外壁『カンタイパネル』」がそれぞれ選ばれています。

つくば工場食堂棟の特徴

河村電器産業とのプロジェクトでは、同社のつくば工場に新しい食堂棟が建設されました。河村電器産業は1990年からつくば工場を操業しており、長年にわたって工場を守り続けてきた防風林の近くに、2025年4月、大和ハウス工業の設計・施工によってこの建物が完成しました。

建物のコンセプトは「FOREST DINING」です。従業員が心からリラックスでき、仕事への活力を取り戻せる場所を目指して設計されています。そのために、建物の内側と外側の両方に豊富な木材が使われました。

構造面では、可能な限り制約を減らす工夫が施されています。その結果、広々とした開放的な空間が実現し、利用者の視界が大きく広がるようになりました。まるで周囲の森林と一体化するような雰囲気を持つ空間となっています。

万博会場のバス停留所

2025年日本国際博覧会の会場内に設置されたトラムバス停留所も、受賞作品の一つです。東ゲート南停留所は「wavy」という通称で呼ばれ、大和ハウス工業が設計と施工を担当しました。このプロジェクトには、株式会社アーティストリーと関西電力株式会社も参画しています。

このバス停は、未来のエネルギーを発信する拠点という位置づけで企画されました。デザインには「ボロノイ」という手法が採用されています。これは、複数の点から最も近い領域ごとに空間を分割することで、自然界に見られるような有機的で不規則な模様を作り出す技術です。

立地条件も設計に活かされています。大阪湾に近く、細長い敷地という特性を利用して、海の水面や自然から感じられるエネルギーを表現した空間が作られました。シェル構造の部分には国産の杉材が使用され、木の持つ温かみと日本の素材が持つ魅力が引き出されています。

屋外に設置される施設であるため、耐久性への配慮も重要でした。接着剤の選定や塗装の方法にも細かな工夫が加えられています。

間伐材外壁カンタイパネル

大和ハウス工業が大和ハウスグループの株式会社フジタ(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:奥村洋治)および株式会社芳賀沼製作(本社:福島県南会津郡、代表取締役社長:芳賀沼克紀)と開発した間伐材耐火外壁です。

この製品は、中高層建築物に使用する木質系カーテンウォールとして設計されています。カーテンウォールとは、建物の荷重を支えない非耐力壁のことを指します。カンタイパネルは、木質系カーテンウォールとしては日本で初めて60分の耐火大臣認定を取得しました(2025年10月31日時点、同社調べ)。

間伐材は、樹種によって強度にばらつきがあるため、建材としての活用が困難でした。しかし、「タテログ構法」という技術を採用することで、外壁パネルの強度を向上させることに成功しています。

この構法により、地域の製材所でも加工が可能な構造材として間伐材を再利用できるようになりました。環境への負担を軽減しながら、地域で得られる資源に新しい価値を生み出すことにつながっています。

今後の展望

大和ハウス工業は、今回の受賞を今後の励みとして、高品質な木造建築物や木質建築物の提供を続けていく方針です。また、技術開発にも引き続き力を入れることで、人々が心豊かに暮らせる社会の実現を目指すとしています。

木材を活用した建築は、環境保全と快適性の両立という観点から注目を集めています。今回受賞した3つの作品は、それぞれ異なるアプローチで木材の可能性を示しており、今後の建築業界における木材活用の方向性を示すものとなっています。

出典情報

大和ハウス工業株式会社リリース,3作品が「ウッドデザイン賞2025」を受賞しました,https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/20251111134345.html