大和ハウス工業、関西DX表彰で金賞獲得、応急仮設住宅の自動配置や現場の遠隔管理を実現

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大和ハウス工業株式会社(本社所在地:大阪市、代表取締役社長:大友浩嗣氏)が、関西経済連合会を事務局とする関西デジタル・マンス実行委員会が実施する「KANSAI DX AWARD 2025」において、大企業部門での金賞に選ばれました。2025年10月27日に表彰式が行われ、執行役員の北真夫氏が出席しました。

建設業界の課題解決に向けたデジタル化の推進

同社は建設業界が抱える様々な課題を解決するため、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の導入や建設分野におけるデジタルトランスフォーメーションを積極的に進めてきました。

2017年4月には、設計段階から施工、そして維持管理に至るまでの建物のライフサイクル全般にわたって情報を統合的に管理できる体制を整えるため、BIMの本格的な活用をスタートさせています。

災害時の迅速な対応を可能にする技術開発

2018年には、大和リース株式会社および熊本大学との三者協力体制のもと、災害発生時における応急仮設住宅を速やかに建設するための「配置計画案自動作成プログラム」の開発に着手しました。

このプログラムは、BIM技術を応用したプレハブ形式の応急仮設住宅向け配置システムです。プレハブ建築協会が定める災害時の団地整備マニュアルをデジタル化したもので、敷地の境界情報を入力するだけで、仮設住宅や駐車スペースなどの配置と必要数量を自動的に算出し、3次元モデルとして可視化することができます。

さらに2020年からは、鉄骨構造の商業施設や事業用施設などの設計業務においてもBIM対応を開始しました。BIM導入によって最適な設計案や施工計画の提案が可能となり、工事期間の短縮と生産性の向上を達成しています。

現場作業の効率化と安全管理の強化

現場で働く技術者や技能者の作業効率を高め、施工時の安全を確保する目的で、2020年9月から施工現場を遠隔で管理する「スマートコントロールセンター」を全国8カ所の事業所に段階的に設置してきました。

このセンターは、複数の施工現場の映像とデータを集約して管理し、離れた場所から品質管理や安全管理を実施できるシステムです。施工現場に配置したカメラやセンサーから得られる情報をセンターのモニターに集約することで、現場監督者は実際に現地へ赴くことなく作業の進捗状況を把握し、必要な指示を出すことが可能になります。また、AI技術による危険の検知や作業の効率化も図っています。

これらの取り組みにより、建設分野におけるデジタル化を支える基盤が整備されています。

審査委員会による高い評価

今回の受賞について、審査委員会からは以下のような評価が寄せられています。

・アナログ作業が依然として多く残る建設現場でのデジタル化は注目度が高く、これまでも多くの試みがなされてきた分野である。具体的な成果につながりつつある取り組みとして評価できる

・BIMのデータ基盤を活用した応急仮設住宅の配置計画案自動作成プログラムの開発などにより、災害発生時の迅速な対応が期待される。業界全体への普及も望まれる

・災害対応の現場における積極的なデジタル化の実現や、設計から維持管理まで一貫したシステム導入による効率化は評価に値する。今後のさらなる発展にも期待したい

KANSAI DX AWARDについて

「KANSAI DX AWARD」は、関西地域におけるデジタルトランスフォーメーション推進の機運を高めることを目的として、2023年度に創設された表彰制度です。デジタル化に先進的に取り組む関西の企業を対象に表彰を行っています。

今後の展望

大和ハウス工業は今後も、デジタルトランスフォーメーションを推進することで建設業界の持続的な発展に貢献していく方針です。同時に、多様な働き方を実現し、職場環境の改善にも継続して取り組んでいくとしています。

建設業界では人手不足や安全性の確保、生産性の向上など、解決すべき課題が数多く存在します。デジタル技術の活用によってこれらの課題に対応する同社の取り組みは、業界全体の発展に向けた先進的なモデルケースとして、今後さらに注目を集めることが予想されます。

出典情報

大和ハウス工業株式会社リリース,「KANSAI DX AWARD 2025」金賞の受賞について,https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/20251028125741.html