【2025年版】建築確認通知書とは?確認済証との違い・見本・紛失時の対処法まで徹底解説

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Category:コラム建築

著者:上野 海

建物を建てるときや中古住宅を売却するときに必要となる書類のひとつが「建築確認通知書」です。しかし、名称が時期によって変わっていたり、「確認済証」「検査済証」と混同しやすかったりするため、専門職以外が理解しづらい領域でもあります。

そこでこの記事では、建築確認通知書の意味・確認済証との違い・どこで手に入るか・紛失時の対処法まで、初めての方でも理解できるように解説します。

建築確認通知書とは?

建築確認通知書とは、建物の建築計画が建築基準法に適合していると行政または指定確認検査機関に認められた証明書です。

現在は名称が変わり、「確認済証」「建築確認済証」と呼ばれています。1999年(平成11年)の建築基準法改正により名称が統一されたため、古い住宅では「通知書」、新しい住宅では「確認済証」という呼び方の違いが残っています。

(参考:e-Gov法令検索「建築基準法」

なお、建築確認自体が不要なケースもあります。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください▼

建築確認通知書・確認済証・検査済証の違い一覧(比較表)

建築関連の書類である「建築確認通知書(旧名)」「確認済証(現行名称)」「検査済証」は法的位置付けが異なるため、役割を誤解すると手続きを進められなくなるケースがあります。

参考として、以下にそれぞれの書類の違いを整理しました。

書類名役割交付時期主な使用場面再発行可否
建築確認通知書建築計画が法令適合している証明着工前住宅ローン審査/増築申請/中古売却原則不可
確認済証通知書と同じ役割(1999年以降はこちらの名称のみ使用)着工前新築/増築/フラット35審査原則不可
検査済証工事完了後に法令適合を証明竣工時(工事完了後)中古売却/完了検査合格の証跡自治体による

結論として、建築確認通知書(=確認済証)は建築工事を始めるための許可証であり、検査済証は工事完了後に適合性が証明された証明書です。特に検査済証は、中古住宅市場のなかで重要視される傾向があります。

なお、建築確認済証について詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください▼

【保存版】建築確認通知書の見本

出典:住信SBIネット銀行「確認済証または建築確認通知書の見本(平成27年4月)」

上記の建築確認通知書(現行名称:確認済証)は、自治体や指定確認検査機関によって書式が異なりますが、記載される情報の枠組みは建築基準法に基づきほぼ共通しています。特に重要なのは、以下の5点です。

  • 建築確認番号
  • 建築主名
  • 建築地
  • 設計者情報
  • 交付日

中古住宅売却や増築手続き、住宅ローン審査では、この内容が確認できれば問題なく書類として機能します。

建築確認通知書はいつ・どこでもらえる?流れと保管場所の目安

建築確認通知書(現行名:確認済証)は、建築確認申請が審査機関に受理され、内容が建築基準法に適合していると判断された時点で交付されます。

一般的には着工前のタイミングで取得されますが、施主(建築主)が直接受け取るケースは少なく、多くの場合は施工会社・設計事務所・ハウスメーカーが保管し、建物の引き渡し時にまとめて渡される流れです。

ただし、自治体や審査機関によって交付方法や形式が異なるため、「届いていない」「紛失した可能性がある」と感じた場合は施工者・設計者・管理会社へ確認するのが最短です。

建築確認通知書が必要になるケース

建築確認通知書(確認済証)は、普段の生活では意識することが少ない書類ですが、次のような特定の手続きでは提出を求められるケースがあります。

  • 中古住宅売却(買主・仲介会社から提出依頼あり)
  • 住宅ローン・フラット35申請時
  • 増築・用途変更・構造変更申請時
  • 耐震補強補助金申請、自治体制度利用時
  • 火災保険の審査・更新時に求められる場合あり

特に中古住宅の売却や住宅ローン審査、増改築の申請では、建物が建築基準法にもとづき適法に建築されたものである証拠として扱われます。

また2025年現在、国土交通省は既存住宅の取引透明性向上を目的として、検査済証確認の推奨を進めています。そのため、以前よりも書類の有無が価格査定・取引速度・融資可否に影響しやすくなっている点に注意してください。

建築確認通知書を紛失した場合の対応手順

建築確認通知書(確認済証)は原則再発行できません。しかし、多くの場合は代替書類で対応できます。

次の3ステップに沿って確認すれば、売却や住宅ローン手続きも滞りなく進められます。

【STEP1】本当にないか確認

紛失したと思っていても、実際には別の書類と混ざって保管されているケースがほとんどです。まずは、引き渡し時にもらった書類が保管されているファイル・収納ボックスから確認しましょう。

探すべき書類の優先順位は次の通りです。

  • 売買契約書と一緒に保管された書類一式
  • 火災保険・長期修繕保証・瑕疵保険書類ファイル
  • 住宅ローン関係(銀行提出書類)
  • 工務店・ハウスメーカーから受け取ったA4封筒・バインダー

もし迷ったら、施工会社や設計事務所に保管状況の履歴確認を依頼するのが近道です。

【STEP2】代替書類で対応できるケース

建築確認通知書が見つからない場合でも、多くの自治体や金融機関は次の「代替書類」で対応できます。

書類名取得先用途
建築計画概要書自治体(建築指導課など)中古売却・融資・増築手続き
台帳記載事項証明書自治体建築確認済証の内容証明
図面一式(設計図書)施工会社|住宅履歴情報補完用

なお、自治体の場合、代替資料を取得する際に手数料が発生します。提出先により求められる書類が異なるため、どれを取得すべきか確認しましょう。

【STEP3】自治体への問い合わせ方法

書類がまったく見つからず、自治体へ代替書類を請求する場合、建築当時の情報が必要です。スムーズに手続きを進めるためにも、事前に次の内容を控えておきましょう。

  • 建物所在地(※旧住所表記でも可)
  • 建築当時の建築主名
  • 建築確認番号または建築年
  • 請求者本人確認書類

たとえば、次のような文言で資料請求の問い合わせをすることで、すぐに手続きを進めてもらえます。

【例文】

建築確認通知書の代替書類(台帳記載事項証明書または建築計画概要書)の発行可否について確認したいです。

建物情報:〇〇県〇〇市〇丁目/建築年:平成〇年頃/建築主:〇〇

建築確認通知書が再発行できない理由と例外

建築確認通知書(確認済証)は、「建築着工前の法適合を証明する一次情報」であり、発行時点の原本性が強く求められるため、法的に再発行できません。特に、設計者・建築主・工務店に交付された書類のみが正式版とされます。

ただし例外として、次のような救済策が用意されています。

  • 代替書類で原本と同等の証明が認められる
  • 建築台帳等に記録が残っている場合は内容証明が可能になる

建築確認通知書を紛失してしまった場合には、上記の方法で対処するのがおすすめです。

マンションと戸建てにおける建築確認通知書の違い

建築確認通知書(確認済証)は、次のように戸建てとマンションで取り扱いや管理体制が大きく異なります。

項目戸建てマンション(共同住宅)
原本の保管者建築主本人 or 施工会社建築主(開発会社)→管理組合または設計事務所
探す難易度比較的低い高い
代替書類取得比較的スムーズ自治体での検索に時間がかかる場合あり
必要になるシーン住宅ローン・建築確認変更手続き・売買等リノベーション・管理規約変更・増改築確認等

特にマンション(共同住宅)の場合は、建築主・管理組合・施工会社・設計事務所など複数主体が関わるため、取得先がわかりにくいです。一方、戸建て住宅は、建築主(購入者)本人が受け取っているケースが多いため、保管場所の特定が比較的容易です。

なお近年は、ハウスメーカー施工の戸建てでも電子保管や建築履歴クラウド化(住宅履歴情報管理サービス)に移行しています。取得方法や確認先が年々変化している点に注意してください。

建築確認通知書についてよくある質問【FAQ】

建築確認通知書は住宅ローン審査に必要?

建築確認通知書が必須になるかどうかは金融機関や物件状況によって異なります。新築時や増築がある場合は求められる可能性が高く、代替として「建築計画概要書」「検査済証」で対応できるケースもあります。

建築確認通知書は再発行できる?

建築確認通知書は原則再発行できません。理由は「原本であること自体に法的価値がある」ためです。ただし、自治体で取得できる「台帳記載事項証明書」「建築計画概要書」で代替可能なことが多いです。

建築確認通知書を紛失したら物件を売却できない?

建築確認通知書がなくても売却は可能です。ただし買主や金融機関から建築経緯の証明を求められるため、代替書類を取得しておきましょう。増改築の有無や住宅ローン利用予定によって必要書類が変わります。

まとめ

建築確認通知書(現:確認済証)は、建築計画が法令に適合していることを証明する重要な書類です。

なお住宅ローン審査や売却時に必要となる場合がありますが、紛失時には原本の再発行ができません。もし紛失した場合には、自治体で「建築計画概要書」や「台帳記載事項証明書」を取得することで代替できます。

今後、物件取引等の予定がある方は、早めに保管場所を把握しておくと安心です。