国土交通省発表、令和7年9月建設工事受注額が11兆9,516億円で前年比9.4%増加

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国土交通省が令和7年11月10日に公表した建設工事受注動態統計調査によると、9月の建設工事受注額は11兆9,516億円となりました。前年同月と比べると9.4%の増加で、3か月ぶりのプラス成長となっています。

建設業界では、元請と下請という2つの受注形態があります。元請受注高は8兆3,713億円で前年同月比16.2%増加し、12か月連続で増加傾向が続いています。一方、下請受注高は3兆5,803億円で同3.8%減少となり、6か月連続の減少となりました。

元請受注の内訳

元請受注の発注者を見ると、公共機関からの受注額は2兆4,302億円で前年同月比6.7%の増加となり、3か月ぶりに増加に転じました。民間等からの受注額は5兆9,411億円で同20.6%増加し、12か月連続の増加を記録しています。

工事種類別では、土木工事が2兆3,584億円で前年同月比13.2%増加し、2か月連続の増加です。建築工事は5兆1,516億円で同16.8%増加となり、こちらも2か月連続の増加となりました。機械装置等工事は8,613億円で同21.0%増加し、5か月連続の増加傾向が続いています。

業種別の動向

業種別に見ると、総合工事業は7兆5,570億円で前年同月比14.7%増加し、2か月連続の増加となりました。設備工事業は3兆333億円で同11.3%増加し、13か月連続という長期的な増加傾向を維持しています。

その一方で、職別工事業は1兆3,612億円で同15.8%減少し、6か月連続の減少となっています。

公共機関からの発注状況

公共機関からの受注工事で500万円以上の案件に限定すると、9月の受注額は2兆4,481億円となり、前年同月比8.7%増加しました。

発注機関別に見ると、国の機関からの受注は7,758億円で前年同月比11.4%増加し、6か月ぶりの増加となりました。このうち国からは4,473億円で同1.4%減少、独立行政法人からは573億円で同44.6%増加、政府関連企業等からは2,711億円で同33.5%増加となっています。

地方の機関からの受注は1兆6,723億円で前年同月比7.5%増加し、3か月ぶりの増加です。都道府県からは6,076億円で同8.9%増加し、5か月連続の増加となりました。市区町村からは8,076億円で同0.1%減少し、3か月連続の減少です。地方公営企業からは1,954億円で同79.3%の大幅増加となりました。

工事分類別では、道路工事が6,438億円、教育・病院関連が3,853億円、その他が3,143億円と、これらが受注額の上位を占めています。

民間部門の動向

民間等からの受注工事について、建築工事・建築設備工事で1件5億円以上の案件を見ると、9月の受注額は2兆1,114億円で前年同月比34.8%増加し、2か月連続の増加となりました。

発注者別では、不動産業からの受注が6,604億円で最も多く、前年同月比7.0%増加しています。サービス業からは3,963億円で同60.7%増加、情報通信業からは1,464億円で同23.5%増加となりました。

工事種類別では、住宅が5,005億円で最多、事務所が4,301億円、工場・発電所が3,269億円と続いています。

土木工事および機械装置等工事で1件500万円以上の案件では、9月の受注額は1兆749億円で前年同月比28.4%増加し、12か月連続の増加となりました。発注者別では、製造業からの受注が2,945億円で前年同月比15.7%増加し、11か月連続の増加です。電気・ガス・熱供給・水道業からは2,755億円で同27.3%増加、運輸業・郵便業からは2,073億円で同23.3%増加となっています。

工事種類別では、機械装置等工事が4,776億円で最も多く、鉄道工事が1,619億円、その他の土木工事が1,540億円となっています。

今後の展望

建設工事の受注動向は、公共・民間ともに堅調な推移を示しています。特に民間部門での伸びが顕著で、経済活動の活発化を反映した結果となっています。今後も建設需要は持続する見込みですが、下請受注の減少傾向については注意が必要です。

出典情報

国土交通省リリース,建設工事受注動態統計調査報告(令和 7 年 9 月分)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kakuho2509.pdf