大成建設が工事現場の三角コーン回収システム拡大、使用済み製品を再生し資源循環を実現

大成建設株式会社は、工事現場で使い終わった三角コーンを再び製品として生まれ変わらせる仕組みを、日本全国に広げていく方針を明らかにしました。この取り組みは、株式会社八木熊および日本通運株式会社との共同プロジェクトとして進められています。

プラスチック廃棄物削減への取り組み

このプロジェクトは、大成建設が推進する環境配慮活動「TAISEI Sustainable Action®」の重要な施策として位置づけられています。工事現場から出るプラスチック製品の廃棄量を減らし、資源を有効に活用する循環型の経済システムづくりに寄与することが狙いです。

同社では2023年に八木熊との協力により、工事現場で回収した使い終わった三角コーンを材料にして、新しい三角コーンを作る技術の検証を行いました。

実証実験で得られた成果

検証実験では、次のような結果が確認されています。

・再利用して作られた三角コーンは、新品として販売されている製品と変わらない品質を持っています

・使い始めてから1年半が経過した後でも、再利用品の品質に目立った劣化は見られませんでした

・工事現場での継続的な使用が可能で、さらに何度でも材料として再利用できることが分かりました

段階的な拡大計画

これらの検証結果を受けて、大成建設は2024年7月から3年間の計画で、使い終わった三角コーンの回収エリアを段階的に広げています。

初年度の実施内容

2024年度は、東京都内にある同社の工事現場10カ所から、合計752本の使用済み三角コーンを回収しました。これらは再生加工され、回収した現場とは異なる同社の別の工事現場で再び使われています。

2年目以降の展開予定

2025年度には、7月から8月にかけて東京都内と神奈川県内で回収作業を実施します。さらに10月には千葉県内まで回収範囲を拡大する計画です。

2026年度は関東地方以外の地域にも対象を広げ、日本全国での実施規模を目指しています。

効率的な回収システムの構築

今回の取り組みでは、環境省が定める規則に従い、使い終わった三角コーンを「有価物」として直接回収できる体制を整えました。

従来の方法では、廃棄物を処理する専門業者を経由して回収する必要がありましたが、この新しい仕組みにより、回収作業の流れが簡略化されました。結果として、使用済み三角コーンをより効率良く、確実に再利用できるようになっています。

今後の展望

大成建設では、三角コーンの再利用システムをさらに拡大していくとともに、他の種類のプラスチック廃棄物についても資源化に向けた取り組みを進めていく方針です。

建設会社、製造を担う企業、運送会社が協力し合うこのモデルは、プラスチック廃棄物の発生を抑えるだけでなく、再利用技術の向上にもつながります。こうした活動を通じて、プラスチック資源が無駄なく循環する社会づくりを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。

製造工程について

回収された三角コーンは、洗浄、粗い破砕、ペレット化、洗浄後の状態で、射出成形により新しい製品として生まれ変わります。この一連の工程により、品質を保ちながら資源を循環させることが可能になっています。

大成建設のこの取り組みは、建設業界における環境負荷低減の具体的な事例として、今後の業界全体への波及が期待されています。工事現場から出る廃棄物の削減は、環境保護の観点から重要な課題となっており、同社の先進的な取り組みは他の建設会社にとっても参考となるでしょう。

出典情報

大成建設株式会社リリース,建設現場における使用済み三角コーンのリサイクルループを拡大-廃プラスチックの発生抑制と資源循環の促進により、サーキュラーエコノミーに貢献-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/assets_cms/pdf/10759.pdf