【2025年最新版】建設局とは何をする部署?道路・河川・公園整備、防災・建設DXまでわかりやすく解説|自治体別まとめ

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Category:コラム建築

著者:上野 海

「建設局」は、都市のインフラ整備や維持管理を担当し、地域の暮らしと産業基盤を支える行政部門です。道路・橋梁・河川・公園・下水道・防災関連施設など、多くの公共資産の整備と管理を担っており、私たちが安全に暮らせる都市環境づくりに欠かせない存在です。

この記事では、建設局の役割・組織構造・自治体ごとの違い・最新政策トレンドなどをわかりやすく解説します。

建設局とは?役割・担当業務を初心者向けに解説

建設局とは、地方自治体に設置される行政部門のひとつです。一般的に、国では国土交通省が同様の機能を持っていますが、地方自治体では都道府県・政令市・中核市などが独自に建設局を置いています。

まずは、建設局の役割や組織図について理解していきましょう。

建設局の役割|何を管理している部署なのか?

建設局の主な役割は、次のように都市インフラの整備・維持管理を通じて市民の安心・安全・利便性を守ることです。

区分主な内容具体例
道路・交通政策道路整備、公園道路、歩道、信号インフラ整備、渋滞対策無電柱化、バリアフリー道路
河川・治水洪水予防、護岸工事、排水施設、調節池整備河川改修、堤防強化
都市環境・景観公園、緑地、動物園、水辺再生、都市景観計画再開発エリアの緑化
防災・危機管理災害時交通確保、避難ルート整備、インフラ復旧防災道路、広域避難拠点
維持管理・長寿命化橋梁点検、舗装更新、予防保全、インフラ維持道路舗装計画、橋梁寿命延伸計画
建設DX推進データ連携、AI点検、BIM/CIM標準化遠隔施工監査、IoTセンサー活用

道路・河川・橋梁・公園・上下水道など、日常では意識しづらい公共インフラを総合的に管理し、地域の暮らしと経済活動を支えています。さらに災害対策・交通政策・環境政策・建設DX(BIM/CIM、GIS、点群データ活用)など、都市づくりの中枢機能を担う行政部署でもあります。

建設局の組織図と構成|部署ごとの役割

建設局の内部組織は自治体ごとに異なりますが、基本的には以下の部門に分類されます。

  • 計画部門
  • 整備部門
  • 維持管理部門
  • 災害・DX推進部門

各部署は独立して機能するのではなく、都市計画・防災・交通政策・維持管理などで横断的に連携してインフラ政策を進めるのが特徴です。

建設局が扱う代表プロジェクト例

建設局が手がける事業は、次のように、道路や橋、公園、川沿いの整備など、「日常の当たり前」を支えるのが仕事です。

  • 道路整備・無電柱化・歩道のバリアフリー化
  • 橋梁・トンネルの点検・補強(長寿命化プロジェクト)
  • 河川整備・浸水対策・調節池整備
  • 公園・緑地・ウォーターフロント再生
  • 建設DX(デジタルトランスフォーメーション)

たとえば、東京建設局では現在、都内の無電柱化(地中化)を継続的に実施しています。道路沿いの電柱をすべて地中に埋めることにより、交通の便の向上、街の景観の改善が目的です。

(出典:東京建設局「東京の無電柱化」

このように、目には見えにくいですが、市民生活に欠かせない重要な行政機関として機能しています。

自治体別|建設局の特徴

建設局は、地域ごとに解決すべき地域課題や取り組んでいる行政政策に違いがあります。

ここでは、代表的な4つの自治体に分けて建設局の特徴を整理しました。

比較項目東京都建設局大阪市建設局京都市建設局神戸市建設局
都市特性人口・経済・交通量が最大規模の首都機能を持つ大都市圏の物流・産業・観光拠点。インフラ老朽化が進行歴史都市で景観・文化財・街並み保全が不可欠海・山・平野が近接し、地形変化が大きい港湾都市
主要課題防災力強化・渋滞緩和・無電柱化・都心インフラ老朽化対応老朽インフラ更新・南海トラフ地震対策・交通機能再構築景観保護と近代化の両立・災害対策・河川整備地震・土砂災害リスク対応・道路・港湾機能維持・宅地防災

東京都建設局

東京都建設局では、首都圏の大規模・複雑な都市インフラを対象に、「災害に強い都市」「快適で利便性の高い都市」を目指した整備を進めています。

特に東京都は人口・経済規模が大きく、交通・物流・観光のハブ都市として重要な役割を担っています。そのため、インフラの量・質・更新頻度ともに他地域より一段と高く、建設局に求められる役割も「高度化・多機能化」しています。

(参考:東京都建設局「東京都建設局のしごと」

大阪市建設局

大阪市建設局は、都市化が進展しインフラストック(道路・橋梁・下水道・公園等)が膨大な中で、維持管理・更新・成長都市づくりを両立する役割が強化されています。

大阪市は長年にわたる都市化・インフラ整備の蓄積があり、老朽化・更新・災害対策のフェーズに入っています。また、関西圏の経済基盤として成長を維持するため「更新と拡張」「魅力ある都市空間づくり」を両立するために施策を広く展開しています。

(参考:大阪市「令和7年度 建設局運営方針」

京都市建設局

京都市建設局では、歴史都市という特性を活かしながら、「景観・文化・自然環境との調和」や「維持管理・老朽化対応」が重要課題となっています。

京都市は国内外から観光・文化的価値が高く、景観保全・歴史資源保護・地域住民の暮らしの質維持が強く求められています。加えて、インフラ老朽化・防災対策との両立も必要であるため、「歴史×近代化」のバランスが、産業基盤を支えるために欠かせない要素となっています。

(参考:京都市情報館「建設局」

神戸市建設局

神戸市建設局では、港湾・山間部・市街地が混在する地域特性を踏まえ、「道路・下水道・緑地・宅地防災」など多様なインフラ整備・維持に取り組んでいます。

特に、神戸市は海・山・市街地が近接し、地形・災害リスク・交通網・景観ニーズが複雑です。そのため、建設局に求められる能力も「複合的」「横断的」なものとなっています。

(参考:神戸市「建設局」

またその他自治体の事例として、北九州市の建設局では現場コミュニケーションを効率化するDXツールの導入なども実施中です。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください▼

建設局に関するよくある質問【FAQ】

大阪市建設局の業務内容は?

大阪市建設局は、市内の道路・橋梁・河川・下水道・公園など公共インフラの整備・維持管理を担っています。特に、老朽化インフラの更新・防災対策・「2025年大阪・関西万博」に向けた都市基盤強化が重要テーマです。

大阪市建設局の局長は誰?

大阪市建設局の局長は「寺川 孝」氏です。土木職出身で、2025年時点において大阪市建設局長を務めています。最新の役職変更については公式サイトをご確認ください。

熊本市都市建設局はどこにある?

熊本市都市建設局の所在地は、「〒860-8601 熊本県熊本市中央区手取本町1番1号(熊本市役所内)」です。代表電話は「096-328-2111」となります。開庁時間や相談窓口についても公式サイトでご確認ください。

まとめ

建設局は単に道路や河川、公園を整備する部署ではなく、「防災」「老朽化対策」「DX推進」「脱炭素」「地域経済」「未来都市開発」に直接関わる行政中枢機関です。

自治体ごとに役割や重点施策は異なるものの、共通して市民の暮らしと都市機能の安全・快適性を守る存在である点は変わりません。

この機会に「目に見えないインフラの守り役」である建設局について、役割を再認識してみてはいかがでしょうか。