【2025年】建築金物とは?種類・読み方・おすすめメーカーカタログまで徹底まとめ

建築金物(けんちくかなもの)とは、建物の骨組みや扉・窓の可動部、そして外観の美しさを支える「縁の下の力持ち」と言える存在です。柱や梁を固定する接合金物や、地震に強い建物をつくる耐震金物、そして空間デザインを引き立てる装飾金物など、用途は多岐にわたります。
そこでこの記事では、建築金物の種類やカタログでの探し方、製品の失敗しない選び方を徹底解説します。
目次
建築金物とは?
建築金物とは、建物の構造部材や建具(ドア・窓など)を固定・補強・装飾するために使われる金属部品の総称です。「けんちくかなもの」と読みます。
住宅や商業施設、公共建築など、あらゆる建物に欠かせないパーツであり、選定する建築金物によって、安全性・耐震性・耐久性・デザイン性が左右されます。
たとえば、木造住宅の柱と土台の接合部に「ホールダウン金物」という補強金物を使用すると、地震時の「引き抜き力」に耐え、倒壊リスクを大幅に低減できます。また近年は、ただ強度を求めるだけではなく、装飾性も重視され、真鍮やアイアン素材を使ったデザイン金物も人気です。
建築金物が建築・構造に果たす4つの役割
建築金物の役割は、以下の4つに分類されます。
- 構造を強化する
- 安全性を高める
- 機能を支える
- デザインを演出する
つまり建築金物は、地震や風などの外力から建物を守り、快適な居住環境を維持するために欠かせない材料です。建築金物のなかでも、構造金物は建築物の“骨格の安全”を、建具金物や装飾金物は“日常の快適性とデザイン性”を支えます。どれか一つが欠けても建物の品質は維持できません。
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建築金物の種類(一覧表付き)
建築金物は大きく分けて、以下に示す3系統に分類されます。
| 区分 | 主な金物例 | 主な使用場所 | 主な目的 |
| 構造用金物 | かすがい・ホールダウン金物・アンカーボルト | 柱・梁・土台 | 接合・補強・耐震 |
| 建具用金物 | 蝶番・戸車・ドアクローザー | ドア・窓・引き戸 | 可動・機能維持 |
| 装飾金物 | 釘隠し・飾り金具・真鍮プレート | 外観・内装 | 意匠・装飾 |
それぞれが異なる目的で使われ、強度・安全性・デザイン性を補完し合うことで建物の品質を支えています。ここでは、代表的な金物の種類と用途を一覧で整理します。
構造用金物(接合金物・耐震金物)
構造用金物は、建物の骨格部分に使われる「強度を高める金物」です。以下の2つのカテゴリに分けられます。
| 分類 | 主な金物例 | 用途 | 効果 |
| 接合金物 | かすがい・短冊金物・かど金物 | 柱や梁の接合 | 構造体の強度維持 |
| 耐震金物 | ホールダウン金物・アンカーボルト | 地震・風圧時の補強 | 倒壊防止・引き抜け防止 |
木造・鉄骨造いずれの建築物でも、建物の耐震・耐風・耐荷重性能を確保するうえで不可欠です。
たとえば木造建築の場合、国土交通省「建設省告示第1460号」では、柱と土台・梁の接合部にZマーク金物または同等認定金物の使用が義務づけられています。そのため、構造用金物を使用して、引抜き力・せん断力・曲げ応力への耐性を確保しなければなりません。
また鉄骨造では、高力ボルトや座金金物が主要な構造金物として機能します。
(参考:国土交通省「建設省告示第1460号(木造の継手及び仕口の構造方法を定める件)」)
建具用金物・機能金物(ドア・窓・引戸用)
建具用金物は、日常生活で最も目に触れる金物です。開閉のスムーズさ・防音・防犯・気密性など、暮らしの快適性に直結します。
以下に、主な金物を整理しました。
| 金物 | 用途 | 特徴 |
| 蝶番(ちょうつがい) | 開き戸 | 耐荷重・開閉角度が調整可能 |
| 戸車 | 引戸 | 滑走抵抗を抑え静音性UP |
| ドアクローザー | ドア上部 | 自動閉鎖機能で安全性確保 |
たとえばドアや窓の開閉部分は、摩耗やズレが生じやすいため、精度の高い蝶番・戸車・ドアクローザーが必要です。特に近年は静音ヒンジやソフトクローズ機能など、快適性を重視した金物が普及しています。
なお、住宅リフォームや新築の際は、見た目よりも開閉性能+耐久性+安全性を重視して選ぶことが重要です。
装飾金物・意匠金物(仕上げ金具・装飾釘隠し等)
装飾金物は「建築の表情・外観・見た目」をつくるパーツです。真鍮・ステンレス・アイアンなどさまざまな素材が用意されており、選定する金物によって印象が大きく変わります。
- 和風建築:銅製釘隠し・唐草模様金具など
- 洋風建築:アイアンフック・デザインノブ
- 公共建築:真鍮プレート・銘板・サイン金物
建築の完成度を高める「仕上げ」に欠かせない金物です。単なる飾りではなく、意匠と構造の融合を実現するために設置します。
建築金物はカタログベースでの選定が重要(サイズ・材質・用途)
建築金物を正確に選定したいなら、メーカー公式カタログのスペック表を比較することが最も確実です。
金物は見た目が似ていても、引張強度・厚み・耐食性などが異なります。たとえば「ホールダウン金物」ひとつ取っても、メーカーによって設計荷重や対応柱サイズが変わるため、施工現場では「カタログ値=安全設計の根拠」として扱われます。
また、Zマーク・Nマークなどの国交省認定マークを確認することで、品質や規格への適合性を確認できます。
加えて、金物は「見た目より性能」を意識することが重要です。必ずカタログで材質・強度・対応部材を確認し、現場条件に合う製品を選びましょう。
建築金物メーカー・ブランド紹介
国内には、住宅・商業施設・公共建築など用途別に強みをもつ金物メーカーが多数存在します。参考として以下に、評価の高い主要メーカー・ブランドをまとめました。
| メーカー名 | 特徴(例) | 主な製品カテゴリ |
| BXカネシン株式会社 | ・Zマーク金物の国内シェアNo.1・木造住宅向け | 構造金物全般 |
| 株式会社タナカ | ・リフォーム、公共建築向け・ステンレス系豊富 | 接合・耐震金物 |
| 若井産業株式会社 | ・DIY〜建築用まで幅広い・ネジ、アンカー類も強い | 建具金物・ボルト |
| YKK AP株式会社 | ・建具、外装金物に強み・住宅向け総合ブランド | ドア金具・窓金物 |
| 美和ロック株式会社 | ・高セキュリティ金物で有名・防犯金具特化 | シリンダー・錠前金物 |
信頼できるメーカーを選ぶことは、金物の品質と施工後の耐久性を保証する最短ルートです。なお、メーカーごとに得意分野が異なるため、「構造金物はカネシン」「建具金物はYKK AP」のように目的別に選ぶと失敗しません。
金物製品の探し方
金物製品は、メーカーへの直接発注だけでなく次のような方法で入手が可能です。
| 購入ルート | メリット | 注意点 |
| 専門金物店 | プロ向け規格多数・相談可 | 数量単位販売が多い |
| メーカー公式通販 | 最新型番が揃う・保証付き | 価格がやや高い |
| オンラインモール(モノタロウ等) | 手軽・レビュー豊富 | 型番違いに注意 |
| ホームセンター | 手軽・緊急時にも入手しやすい | 専門的な金物を置いていない場合がある |
施工精度を求めるなら、専門金物店または公式通販を利用すべきです。
また、ホームセンターの商品は一般DIY向けで、Zマーク認定や建築基準法対応の記載がないものもあります。一方、建築専門店では規格・材質・強度証明を含めた製品選定が可能です。
建築金物の選び方と注意点
建築金物を選ぶ際に大切なのが「用途」「材質」「認定規格」という3つの視点です。
同じ形状でも強度や防錆性能が異なるため、誤った選定は建物の寿命を縮めるおそれがあります。ここでは、失敗しない金物選びの基本ポイントを解説します。
用途別に適した金物を選ぶポイント
建築金物は「どこで・どのような力が加わるのか」など、用途を基準に選ぶことが重要です。
たとえば、柱や梁の接合部に使う金物と、開口部(ドア・窓)に使う金物では求められる性能がまったく異なります。そのなかでも構造部では、引張力・せん断力への耐性、建具部では開閉耐久性・安全性が重視されます。
| 用途 | 適した金物 | 主な特徴 |
| 構造体の補強 | ホールダウン金物・アンカーボルト | 地震時の引抜き防止・耐震性向上 |
| 柱と梁の接合 | かど金物・短冊金物 | ねじれ・歪み防止 |
| 建具部の開閉 | 蝶番・戸車・ドアクローザー | 開閉性能・静音性 |
| 意匠仕上げ | 飾り金具・釘隠し | デザイン性・高級感演出 |
誤った建築金物を使用しないためにも、まずは使用箇所と荷重方向を理解し、特定の用途に求められる性能で、金物を選定しましょう。
材質・耐久性・価格のバランス
金物の素材は、「耐久性」「防錆性能」「コスト」の3要素をバランスよく見ることが重要です。
例として、屋外や湿気の多い環境では「錆び」を回避しやすいステンレスや溶融亜鉛メッキ鋼が推奨されます。一方、屋内構造や一時仮設にはスチール(鉄製)でも十分対応可能です。価格差はあるものの、長期的なメンテナンスコストを考慮すれば耐食性素材の方が結果的に経済的です。
長く利用する建物をつくるために、短期コストよりも30年先の耐久コストを意識した選定を行いましょう。
認定・規格(Zマーク等)・施工注意事項
建築金物は、認定規格(Zマーク・Nマーク・JIS規格など)を確認し、正しい施工を行うことが必須です。
| 規格・認定 | 管理団体 | 主な対象金物 | 特徴 |
| Zマーク | 日本住宅・木材技術センター | 木造構造金物 | 引張試験・耐力保証あり |
| Nマーク | 日本建築構造技術者協会 | 金属部品全般 | 耐食性・製造品質認定 |
| JIS規格 | 日本産業標準調査会 | 各種建築金物 | 国家規格による統一寸法・性能 |
もし規格外の金物を使用すると、建築確認申請が通らない場合があります。また、施工時にボルトやビスの締付トルクを誤ると、金物が持つ本来の性能を発揮できません。
特に、建築現場では「認定+施工精度」の両立が不可欠です。施工マニュアルを確認し、締結具・取付方向・ビス径を厳守することが安全施工の基本となります。
建築金物についてよくある質問【FAQ】
建築金物とは何ですか?
建築金物とは、建物の構造部や建具、装飾部分に使われる金属製の部品です。柱や梁をつなぐ「構造金物」から、ドアや窓の「建具金物」、外観を飾る「装飾金物」まで幅広く存在し、建物の安全性と美観を支える重要な役割を果たします。
建築金物の例を教えてください
代表的な建築金物には、かすがい・ホールダウン金物・アンカーボルト・蝶番・ドアクローザー・釘隠しなどがあります。構造を補強するものから、開閉を助けるもの、装飾に使うものまで種類が多く、用途によって素材や形状が異なります。
建築金物に使われる素材は何がありますか?
建築金物の素材には、ステンレス・スチール・溶融亜鉛メッキ鋼・アルミ・真鍮などがあります。屋外や湿気の多い環境では耐食性に優れたステンレス、室内や仮設部ではコストを抑えた鉄製金物がよく使用されます。
建築金物の読み方は何ですか?
「建築金物(けんちくかなもの)」と読みます。金物(かなもの)とは金属製の器具や部品の総称で、建築業界では構造・建具・装飾など建物を構成するパーツ全般を指します。現場では「かなもの」と略されることもあります。
まとめ
建築金物は、建物の安全・快適・美観を支える欠かせない部材であり、構造を強化する接合金物・ホールダウン金物から、使いやすさを高める建具金物、デザインを演出する装飾金物まで、多様な種類が存在します。
なお、金物を選ぶ際は、用途・材質・認定規格(Zマークなど)を確認し、メーカー公式カタログを参考にしましょう。施工精度が性能を左右するため、プロのアドバイスを受けることも重要です。