国土交通省発表、令和7年8月の新設住宅着工が前年比9.8%減、持家・貸家・分譲すべて減少

国土交通省は9月30日、令和7年8月分の建築着工統計調査報告を発表しました。この調査は、日本全国における建築物の着工状況を把握し、建築や住宅分野の基礎データを収集することを目的としています。
全体の着工戸数は5ヶ月連続の減少
8月の新設住宅着工戸数は60,275戸となり、前年同月と比べて9.8%減少しました。これで5ヶ月連続の減少となっています。着工床面積についても4,601千平方メートルで、前年同月比8.7%減と、こちらも5ヶ月連続で減少しています。
季節による変動を調整した年率換算値では711千戸となり、前月と比較すると0.1%の減少で、3ヶ月ぶりのマイナスとなりました。
住宅タイプ別の動向
持家の着工戸数は17,532戸で、前年同月比10.6%の減少となりました。5ヶ月連続のマイナスです。資金調達方法別に見ると、民間資金による持家は15,912戸で同11.9%減となり、5ヶ月連続で減っています。
一方、公的資金による持家は1,620戸で同4.7%増加し、5ヶ月ぶりに増加に転じました。ただし、公的資金が増えても民間資金の減少幅が大きかったため、持家全体としては減少という結果になっています。
貸家の動き
貸家については26,585戸の着工があり、前年同月比で8.1%減少しました。こちらも5ヶ月連続の減少です。民間資金による貸家は24,796戸で同9.2%減となり、5ヶ月連続のマイナスとなっています。
公的資金による貸家は1,789戸で同10.2%増加し、3ヶ月連続で増えています。持家と同様に、公的資金は増加傾向にあるものの、民間資金の落ち込みによって貸家全体では減少となりました。
分譲住宅の推移
分譲住宅の着工は15,819戸で、前年同月比8.2%の減少でした。5ヶ月連続で減っています。内訳を見ると、マンションは6,148戸で同18.0%減となり、5ヶ月連続の減少です。
一戸建住宅は9,476戸で同1.1%減となり、こちらも5ヶ月連続で減少しています。マンションの減少率が大きく、一戸建ても微減となったことで、分譲住宅全体が減少する形となりました。
地域ごとの詳細データ
首都圏の総戸数は前年同月比9.5%減となりました。持家は同12.3%減、貸家は同12.6%減、分譲住宅は同3.7%減といずれも減少しています。
分譲住宅の内訳では、マンションが同14.9%減と大きく落ち込んだ一方、一戸建住宅は同4.7%増と増加しました。
中部圏の動向
中部圏では総戸数が前年同月比8.0%減でした。持家は同5.6%減、分譲住宅は同9.7%減と減少した一方、貸家は同12.1%増と増加しています。
分譲住宅では、マンションが同27.6%減と大幅に減少しましたが、一戸建住宅は同5.3%増と伸びています。
近畿圏の傾向
近畿圏の総戸数は前年同月比0.6%減とわずかな減少でした。持家は同8.7%減、分譲住宅は同10.8%減となった一方、貸家は同10.8%増と増えています。
分譲住宅では、マンションが同13.7%減、一戸建住宅も同7.8%減といずれも減少しました。
その他地域の状況
その他地域では総戸数が前年同月比14.8%減と、最も大きな減少率となりました。持家は同11.8%減、貸家は同17.0%減、分譲住宅は同13.5%減と、すべての項目で二桁に近い減少率を記録しています。
分譲住宅では、マンションが同24.3%減、一戸建住宅が同8.4%減となっています。
建築工法別の分析
プレハブ工法による住宅は7,328戸で、前年同月比13.3%減となり、5ヶ月連続の減少です。
ツーバイフォー工法による住宅は7,792戸で、前年同月比6.3%減となり、こちらも5ヶ月連続で減少しています。
全体を通して見える傾向
令和7年8月の新設住宅着工統計では、持家、貸家、分譲住宅のすべてにおいて前年同月比で減少が見られました。特に民間資金による建設が大きく落ち込んでいる一方、公的資金による持家や貸家は増加傾向にあります。
地域別では、その他地域の減少幅が最も大きく、首都圏や中部圏でも減少が続いています。近畿圏は比較的減少幅が小さく抑えられています。
建築工法別では、プレハブとツーバイフォーのいずれも減少が続いており、住宅建設市場全体が停滞している状況がうかがえます。今後の動向に注目が集まります。
出典情報
国土交通省リリース,建築着工統計調査報告(令和 7 年 8 月分)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha708.pdf