国土交通省、建設業の受注動向を発表、公共工事減少も民間好調で9兆円台を維持

国土交通省が10月10日に公表した「建設工事受注動態統計調査(令和7年8月分)」によると、全国の建設業者による8月の建設工事受注額(元請・下請合計)は9兆1,691億円となり、前年同月比2.0%減と2か月連続で減少しました。

目次
元請は11か月連続で増加、下請は大幅減少
元請業者の受注高は6兆2,851億円で、前年同月比9.4%増となり、11か月連続の増加となりました。一方、下請業者の受注高は2兆8,841億円で、20.1%減と大幅に落ち込み、5か月連続の減少となっています。
公共機関からの受注は減少、民間からは堅調
発注者別にみると、公共機関からの元請受注は1兆7,463億円で、前年同月比1.2%減と2か月連続で減少しました。一方、民間などからの受注は4兆5,388億円で、14.1%増と好調が続き、11か月連続で増加しています。
建築工事が再び増加に転じる
工事の種類別では、土木工事が1兆6,031億円(前年同月比1.0%増)と小幅に上昇。建築工事は3兆8,956億円(同9.6%増)と、前月の減少から再び増加に転じました。さらに、機械装置などの工事も7,863億円(同30.1%増)と好調を維持し、4か月連続での増加となりました。
業種別では設備工事が堅調
業種別に見ると、総合工事業は4兆6,614億円(同9.7%増)、職別工事業は3,122億円(同15.9%増)で、いずれも前月の減少から回復しました。設備工事業は1兆3,115億円(同7.1%増)で、9か月連続の増加となっています。
公共機関の発注額は6.1%減、国・地方ともに減少傾向
公共機関からの8月の受注額(1件500万円以上)は1兆6,022億円で、前年同月比6.1%減となり、2か月連続の減少となりました。
発注機関別では、国の機関からの受注が4,050億円(同3.8%減)で5か月連続の減少。内訳は、国の本省等が2,051億円(同23.6%減)、独立行政法人が260億円(同5.2%増)、政府関連企業等が1,739億円(同35.7%増)でした。
また、地方の機関からの受注額は1兆1,973億円(同6.8%減)と2か月連続で減少。都道府県からの受注は4,420億円(同5.0%増)と4か月連続の増加となった一方、市区町村からの受注は5,070億円(同25.6%減)と減少が目立ちました。
道路や教育関連の工事が中心
工事の分類別では、「道路工事」が5,040億円で最も多く、「治山・治水」が1,752億円、「教育・病院関連」が1,729億円と続きました。
発注機関別にみると、政府関連企業等による「道路工事」1,493億円、都道府県による「道路工事」1,468億円、地方公営企業等による「廃棄物処理施設工事」1,218億円が主な受注案件となりました。
民間工事は力強い回復 特に不動産と製造業が牽引
民間などからの建築工事・建築設備工事(1件5億円以上)の受注額は1兆7,199億円で、前年同月比50.3%増と大幅に伸びました。前月の減少から再び増加に転じ、堅調な回復がみられます。
発注者別では、不動産業が7,770億円(同104.2%増)、サービス業が3,023億円(同101.8%増)と大きく伸長。製造業も2,518億円(同22.4%増)と好調でした。
工事種類別では、「事務所」5,045億円、「住宅」3,029億円、「工場・発電所」2,414億円が上位を占めています。
土木・機械装置工事も堅調に推移
一方、民間による土木工事および機械装置等工事(1件500万円以上)の受注額は8,092億円で、前年同月比30.2%増と11か月連続の増加となりました。
発注者別では、製造業が2,910億円(同27.6%増)、電気・ガス・水道業が2,084億円(同40.5%増)、運輸・郵便業が1,023億円(同14.0%増)。
工事の種類別では、「機械装置工事」4,152億円が最も多く、「その他の土木工事」1,077億円、「電線路工事」977億円と続きました。
今後の見通し
全体としては、公共工事の減少が全体の受注額を押し下げた一方、民間工事は堅調に推移しています。国土交通省は引き続き、公共・民間双方の動向を詳細に分析し、建設業の受注環境を注視するとしています。
出典情報
国土交通省リリース,建設工事受注動態統計調査報告(令和 7 年 8 月分)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kakuho2508.pdf