国土交通省調査、8月の建設業界は増加傾向で民間土木が19.2%の大幅増、堅調に推移

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国土交通省総合政策局建設経済統計調査室が令和7年10月20日に発表した建設総合統計によると、令和7年8月における建設業の出来高総計は4兆8,510億円となり、前年同月と比較して2.4%の増加を記録しました。この結果は、建設業界全体が堅調な推移を見せていることを示しています。

全体的な市場動向

今回の統計では、建設業界全体の活動が活発化していることが明らかになりました。総出来高の内訳を見ると、民間セクターと公共セクターの両方で増加が見られており、業界全体として底堅い動きを見せています。

8月という時期は、通常、建設工事が本格化する時期でもあり、各プロジェクトの進捗が反映された結果となっています。前年同月比でプラス成長を維持したことは、建設需要の持続性を裏付けるものといえるでしょう。

民間部門の実績と内訳

民間セクターにおける出来高総計は2兆9,463億円で、前年同月比2.1%の増加となりました。この数字は、民間企業による建設投資が継続していることを表しています。

■建築分野の状況

民間建築の出来高は2兆2,836億円で、前年同月と比べて2.0%の減少となりました。この中でも、居住用建築物は1兆3,439億円で3.4%の減少、非居住用建築物は9,397億円で横ばいの状況となっています。

住宅関連の建設が減少している背景には、様々な要因が考えられます。一方、非居住用の建築物については、前年並みの水準を保っています。

■土木分野の好調な伸び

民間土木工事の出来高は6,627億円で、前年同月比19.2%という大幅な増加を記録しました。この顕著な伸びは、民間セクター全体の成長を支える大きな要因となっています。

インフラ整備や産業関連の土木工事が活発に行われていることが、この増加の背景にあると考えられます。民間企業による設備投資や開発プロジェクトが、土木分野の需要を押し上げているものと見られます。

公共部門の推移

公共セクターの出来高総計は1兆9,047億円となり、前年同月比2.8%の増加を示しました。公共投資は安定的に推移しており、地域のインフラ整備や公共施設の建設が着実に進められていることがわかります。

■公共建築の動き

公共建築分野では、出来高が4,980億円で前年同月比2.5%の増加となりました。居住用の公共建築は584億円で7.7%増、非居住用の公共建築は4,395億円で1.8%増と、いずれも前年を上回る結果となっています。

公営住宅や教育施設、医療施設などの整備が進められており、特に居住用建築物の伸びが目立ちます。地域住民の生活基盤を支える施設の建設が、積極的に行われていることを示しています。

■公共土木の安定成長

公共土木工事の出来高は1兆4,067億円で、前年同月比2.9%の増加となりました。道路、橋梁、河川、港湾などの社会基盤整備が継続的に実施されていることが、この数字に表れています。

防災対策や老朽化したインフラの更新工事なども含め、国や地方自治体による公共事業が計画的に進められている様子がうかがえます。

今後の展望

令和7年8月の建設統計からは、建設業界が安定した成長軌道にあることが読み取れます。特に土木分野での伸びが顕著であり、民間・公共ともにインフラ整備への投資が活発化していることが特徴的です。

建築分野では、民間の居住用建築に減少傾向が見られるものの、全体としては前年水準を維持しています。今後も、社会インフラの整備需要や老朽化対応、さらには新たな開発プロジェクトなどが、建設業界の活動を下支えしていくものと予想されます。

建設業界全体としては、人手不足や資材価格の動向など、様々な課題に直面していますが、8月の統計結果は、業界が着実に前進していることを示す内容となりました。

出典情報

国土交通省リリース,建設総合統計 【令和7年(2025年)8月分】,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001964821.pdf