国土交通省発表、令和7年8月の建築着工統計は5か月連続減少で前年比11.4%のマイナス

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国土交通省が令和7年9月30日に公表した建築着工統計調査報告によると、令和7年8月における全国の建築物着工床面積は735万平方メートルとなり、前年同月比で11.4%減少しました。これで5か月連続の減少となっています。

公共・民間ともに減少傾向が続く

建築主別に見ると、公共建築物は24万平方メートルで前年同月比35.1%減となり、7か月連続の減少を記録しました。一方、民間建築物は711万平方メートルで同10.3%減となり、こちらも5か月連続で減少しています。

民間建築物をさらに細かく見ると、居住用は476万平方メートルで前年同月比8.5%減、非居住用は234万平方メートルで同13.6%減となり、いずれも減少傾向を示しています。

民間非居住建築物の動向

民間非居住建築物について、主な用途別の動きを見ていきます。

増加した用途

・情報通信業用:10万平方メートル(前年同月比219.2%増)

・金融業・保険業用:4万平方メートル(同139.3%増)

・不動産業用:6万平方メートル(同35.3%増)

減少した用途

・卸売業・小売業用:29万平方メートル(前年同月比41.1%減)

・その他のサービス業用:19万平方メートル(同44.3%減)

・鉱業、採石業、砂利採取業、建設業用:5万平方メートル(同34.5%減)

・製造業用:63万平方メートル(同11.1%減)

・宿泊業、飲食サービス業用:15万平方メートル(同22.8%減)

・医療・福祉用:23万平方メートル(同9.3%減)

使途別では明暗が分かれる結果に

民間非居住用建築物を使途別に分析すると、次のような結果となりました。

事務所は28万平方メートルで前年同月比27.6%増となり、10か月ぶりに増加に転じました。また、倉庫も60万平方メートルで同8.6%増となり、3か月ぶりの増加となっています。

その一方で、店舗は27万平方メートルで前年同月比21.4%減となり、2か月連続の減少です。工場は51万平方メートルで同35.0%減となり、3か月連続で減少しています。

新設住宅の状況

令和7年8月の新設住宅着工戸数は60,275戸で、前年同月比9.8%減となりました。建築主別では、公共が132戸(前年同月比69.2%減)、民間が60,143戸(同9.4%減)でした。

利用関係別に見ると、以下の通りです。

・持家:17,532戸(前年同月比10.6%減)

・貸家:26,585戸(同8.1%減)

・給与住宅:339戸(同67.5%減)

・分譲住宅:15,819戸(同8.2%減)

資金別では、民間資金による住宅が55,545戸(前年同月比10.8%減)、公的資金による住宅が4,730戸(同3.3%増)となっています。

構造別の傾向

構造別に見ると、木造建築物は3,510千平方メートルで前年同月比7.7%減、非木造建築物は3,842千平方メートルで同14.5%減となりました。

非木造建築物の内訳は次の通りです。

・鉄骨鉄筋コンクリート造:33千平方メートル(前年同月比83.9%減)

・鉄筋コンクリート造:1,111千平方メートル(同25.1%減)

・鉄骨造:2,637千平方メートル(同3.5%減)

地域別の動向

地域別に新設住宅の着工戸数を見ると、関東地域が25,448戸と最も多く、次いで近畿地域が10,701戸、中部地域が7,395戸となっています。

都道府県別では、東京都が8,542戸で最多でした。前年同月比では、埼玉県が28.4%増と大きく伸びた一方、長崎県が42.2%減、熊本県が41.9%減など、地域によって大きなばらつきが見られます。

今後の見通し

令和7年9月分の建築着工統計調査報告は、10月31日(金)に公表される予定です。建築業界の動向を把握する上で重要な指標として、引き続き注目が集まります。

なお、詳細な統計データは国土交通省のホームページ及び政府統計の総合窓口「e-Stat」で確認できます。

出典情報

国土交通省リリース,建築着工統計調査報告(令和 7 年 8 月分)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha708.pdf