竹中工務店が国連の環境技術プラットフォームに登録、独自開発技術を世界へ発信

株式会社竹中工務店は2025年9月に、国連の専門機関である世界知的所有権機関が管理・運営する環境技術の国際的なマッチングプラットフォーム「WIPO GREEN」のパートナーとして正式に登録されました。この登録により、同社が持つ環境分野の先端技術を世界規模で展開する道が開かれることになります。

世界知的所有権機関とは

世界知的所有権機関(WIPO)は、知的財産の国際的な保護と活用、さらには知的財産に関する制度の発展を推進する国連の専門組織です。この機関が運営する「WIPO GREEN」は、環境に配慮した技術や特許情報を集約したデータベースとして機能しており、革新的な技術を有する企業や組織が情報を公開し、それを必要とする世界中の企業や団体とのマッチングを実現する仕組みとなっています。

WIPO GREENの役割と意義

WIPO GREENは、地球環境が直面する様々な課題に対応できる技術や知的財産を、グローバルなニーズと効果的に結びつけることを主要な目的としています。このプラットフォームを通じて、持続可能な社会づくりに必要な環境配慮型のイノベーションを推進し、先進的な技術の国際的な移転を加速させる役割を担っています。

竹中工務店は、長年にわたって蓄積してきた建設分野における環境技術と知的財産の活用により、日本国内はもちろん、海外における環境問題の解決にも積極的に関わっていく方針を示しています。

データベースに登録される主要技術

今回のパートナー登録に伴い、同社は以下の技術をWIPO GREENのデータベースへ掲載する予定です。掲載によりマッチングの機会が増えることが期待されます。

燃エンウッド®について

燃エンウッド®は、木造建築物の大規模化や高層化を可能にする画期的な耐火性能を持つ集成材です。従来、木材は火災時の安全性の観点から大型建築物への使用が制限されてきましたが、この技術により木造建築の適用範囲が大幅に拡大されました。

木材は製造時のエネルギー消費が少なく、炭素を固定する性質を持つため、建築資材として使用することで脱炭素化に大きく貢献します。燃エンウッド®の開発により、環境負荷の低い木造建築を、これまで難しかった規模や高さの建物にも採用できるようになりました。

メタファーム®について

メタファーム®は、建物や敷地内において生ごみを資源として活用し、バイオガスを生成するリサイクルシステムです。このシステムを導入することで、従来は廃棄物として処理されていた生ごみから有用なエネルギーを取り出すことができ、施設外への廃棄物搬出量を大幅に削減することが可能となります。

このシステムは循環型社会の実現に向けた具体的なソリューションとして注目されており、廃棄物の削減とエネルギーの有効活用という2つの環境効果を同時に実現する技術として評価されています。

環境戦略2050との関連性

竹中工務店が今回登録した技術は、同社が策定した長期的な環境方針である「環境戦略2050」に基づいた取り組みの重要な構成要素となっています。この戦略は、脱炭素社会の実現と資源を循環させる社会システムの構築を主要な目標として掲げており、今回の技術登録はその実現に向けた具体的なアクションの一つとして位置づけられています。

燃エンウッド®は脱炭素社会の実現に、メタファーム®は資源循環型社会の構築に、それぞれ直接的に貢献する技術です。これらの技術をグローバルプラットフォームに登録することで、国際的な普及と環境課題解決への貢献度を高めることが期待されています。

今後の方針

竹中工務店は今後も、環境問題の解決に貢献できる技術の研究開発を継続的に進めていく姿勢を明確にしています。また、開発した技術に関する知的財産を戦略的に活用することで、持続可能な社会の実現に向けた活動を一層強化していく方針です。

WIPO GREENへの参画により、同社の環境技術が世界中の企業や組織に知られる機会が増え、国際的な技術協力やライセンス契約などの可能性も広がります。これにより、地球規模での環境課題の解決に、より大きな影響を与えることができると期待されています。

竹中工務店は建設業界において環境技術の開発と実用化を先導してきた企業の一つであり、今回の国際的なプラットフォームへの参画は、その取り組みをさらに発展させる重要なステップとなるでしょう。

出典情報

株式会社竹中工務店リリース,国連の環境技術プラットフォーム「WIPO GREEN」パートナーに登録~環境技術の知的財産活用を通じて「環境戦略2050」の実現を加速~,https://www.takenaka.co.jp/news/2025/10/01/