【2025年最新版】カラーコンクリートとは?失敗しない作り方・単価・施工例・DIY方法まで徹底解説

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Category:コラム建築

著者:上野 海

建築士の受験資格は、2020年の建築士法改正以降、受験時点で実務経験が不要になり、大学・専門学校・高校などでコンクリートといえば「無機質なグレー」という印象が強いですが、最近は色をつけた「カラーコンクリート」が道路や外構、駐車場で使われるようになってきました。ではカラーコンクリートには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

この記事では、カラーコンクリートの基礎知識からつくり方、費用相場、施工例やDIY方法までわかりやすく解説します。

カラーコンクリートとは?基本の仕組みと特徴

カラーコンクリートとは、言葉のとおり「色を加えたコンクリート」のことです。

景観やデザイン性を高められる建材として普及し、無機顔料を混ぜたり、表面を塗装することで、通常のコンクリートでは出せない色味や質感を実現できます。

またカラーコンクリートは、単なる舗装材ではなく「デザイン性と耐久性を兼ね備えた仕上げ材」として注目されています。近年では、道路に設置されている自転車レーンとしても活用されています。

(参考:国土交通省「道路のデザイン」

通常のコンクリートとの違い

カラーコンクリートは、通常のコンクリートに比べて「見た目・耐久性・費用」において次のような違いがあります。

項目通常のコンクリートカラーコンクリート
グレーのみ赤・茶・黒・ベージュなど多彩
デザイン性単調で無機質景観や建物に合わせた色選びが可能
費用比較的安い単価が高め(1.2〜1.5倍程度が目安)

上表からわかるように、カラーコンクリートは「費用が少し高い」デメリットはありますが、その分デザイン性と景観調和に優れています。外構や駐車場の印象を変えたい場合には、通常コンクリートよりも便利です。

着色の方法(顔料混入・表面塗装)

カラーコンクリートの着色方法は、「顔料を混ぜ込む方法」と「表面を塗装する方法」の2種類があります。以下にそれぞれの違いを整理しました。

項目顔料を混ぜ込む方法
(インテグラルカラー)
表面を塗装する方法
(ステイン・カラークリア)
仕組み生コンクリートに無機顔料を混ぜ込み、材料そのものを着色打設後の表面に塗料を塗布して着色
色の持続性欠けても中まで色付き、色落ちしにくい表層のみのため、退色・剥がれのリスクあり
耐久性高い耐久性を持つ施工条件やメンテナンスで変動
施工難易度専門業者の技術力が必要DIYでも比較的可能
費用通常より高め比較的低コスト

以上より、長期的に色を保ちたいなら顔料混入、コストを抑えて試したいなら表面塗装が向いています。

カラーコンクリートのメリット・デメリット

カラーコンクリートは見た目の美しさと実用性を両立できる一方で、注意すべき点もあります。ここでは代表的なメリット・デメリットを整理しました。

項目メリットデメリット
デザイン性多彩なカラーで外構・駐車場・公共施設などに調和しやすい打設時の環境によって色ムラが出ることがある
耐久性顔料混入タイプは欠けても中まで色が残る表面塗装タイプは経年で退色・剥がれが起こる可能性
メンテナンス性汚れが目立ちにくく、掃除や再塗装で長持ちさせやすい再塗装や保護処理が必要になる場合がある
施工のしやすさ塗装タイプは施工業者も多く、DIYも可能顔料混入は専門業者が限られ、施工難易度が高い
費用外構の印象を大きく変えられるため投資効果が高い通常コンクリートより費用が高くなる(約1.2〜1.5倍が目安)

参考:J-Stage「カラーコンクリートの着色技術の現状と課題」

参考:港湾航空技術研究所「カラーコンクリートの材料特性に関する研究」

以上より、カラーコンクリートはデザイン性や長持ちする色を求めるならメリットが大きい一方で、コストや色ムラリスクを考えるとデメリットがある点に注意が必要です。

施工場所や予算、メンテナンス頻度を考慮し、カラーコンクリートの適用を検討しましょう。

DIYで施工する際の注意点

カラーコンクリートはDIYでも施工できますが、次のように失敗しやすいポイントが多いため注意が必要です。

注意点内容
顔料の混ぜ方均一に混ぜないとムラが出やすい。できれば小分けにして丁寧に撹拌する
水分量の管理水が多いとアクや白華現象が出て色が濁る原因に
打設・仕上げのスピード均一な色を保つには時間をかけすぎないことが重要
養生乾燥を急ぐとひび割れや色むらに直結する。必ずシート養生を行う
使用する塗料DIYで表面塗装する場合は、屋外用・耐候性のあるコンクリートステインを選ぶ
安全対策顔料や塗料は粉塵や飛散があるため、マスク・手袋・ゴーグル必須

DIYで失敗しやすいのは、顔料の混ぜ方や水分量、養生の方法を誤ると「色ムラ」「ひび割れ」「早期の退色」などが起こりやすく、仕上がりに大きな差が出るからです。

DIYでカラーコンクリートを施工するなら「小規模な庭や花壇周り」などに限定すると失敗が少なくなります。また広い面積や駐車場などでは、専門業者に依頼したほうが安心です。

カラーコンクリートの単価・費用相場

カラーコンクリートは、通常のコンクリートより1.2〜1.5倍ほど高くなるのが目安です。

また、カラーコンクリートの費用は「施工方法」「面積」「色」によって変動します。以下より、単価や費用相場について情報を深掘りしていきます。

一般的な施工単価(1㎡あたり)

カラーコンクリートの単価は、1㎡あたり6,000〜10,000円前後が一般的です。

  • 表面塗装:約6,000〜8,000円/㎡
  • 顔料混入:約8,000〜10,000円/㎡

通常のコンクリートが1㎡あたり約4,500〜7,000円なのに比べて、カラー仕様は顔料や仕上げ工程が増えるため割高になるイメージです。

また表面塗装の場合は後施工も可能であるため、費用を抑えられます。ただし、長期的な色持ちを重視する場合は顔料混入を選ぶのが安心です。

駐車場に施工する場合の相場

あくまで目安ですが、駐車場にカラーコンクリートを施工する場合にかかる費用は、30〜60万円程度です。

  • 通常コンクリート:約15〜20万円
  • カラーコンクリート(表面塗装):約20〜30万円
  • カラーコンクリート(顔料混入):約30〜45万円

駐車場は耐荷重や耐久性を考慮するため厚みが必要で、施工面積も広くなるため費用がかさみます。

なお、費用を抑えるため、出入り口のレーン付近だけ塗装して、交通誘導をわかりやすくするといった使い方もされています。

黒や濃色にする場合の追加コスト

カラーコンクリートを黒や濃色に仕上げる場合、追加で1〜2割ほど費用が高くなることがあります。なぜなら、濃い色を出すには顔料の使用量が多いためです。

また、均一な色を出すために試験練りが必要になる場合もあります。黒系は高級感が出ますが、コストアップする点を踏まえて検討するのが良いでしょう。

カラーコンクリートのメンテナンスと耐久性

カラーコンクリートは、正しく施工し定期的にメンテナンスすれば10年以上美観を保てると言われています。

ただし、表面仕上げか顔料混入かで耐久性は変わるため、施工後のケアが重要です。参考として以下に、顔料混入タイプ・表面塗装タイプのメンテナンスの違いを整理しました。

項目顔料混入タイプ表面塗装タイプ
耐久性コンクリート内部まで色がついており、欠けても色が残る表層のみのため、紫外線や摩耗で退色・剥がれの可能性あり
メンテナンス基本は定期清掃+撥水剤の塗布で十分3〜5年ごとの再塗装やトップコート塗布が必要
寿命の目安適切な施工とケアで15年以上色持ち可能再塗装を重ねれば10年以上維持も可能

上表より、長期的な耐久性を求めるなら「顔料混入タイプ」がおすすめです。一方でコストを抑えて導入したいなら「表面塗装タイプ」でも、こまめなメンテナンスで十分対応できます。(手間がかかりやすい点には注意)

カラーコンクリートとよく比較される施工法

カラーコンクリートの導入を検討する際には、合わせてほかの外構仕上げ材と比較することが大切です。以下に、舗装等でよく使われている施工法との違いを整理しました。

施工法特徴メリットデメリット
カラーコンクリート顔料混入または表面塗装で着色デザイン性・強度のバランスが良い通常コンクリートより費用高
スタンプコンクリート表面に型押しで模様をつける石・レンガ風の意匠が安価で再現可能経年で色あせや割れが出やすい
タイル・レンガ敷きブロックやタイルを並べる高級感・部分補修がしやすい材料費・施工費とも高額
カラーアスファルト舗装に顔料を混ぜたアスファルト歩道や公共工事に多く採用・工期が短い耐久性が低く、柔らかい質感
洗い出し仕上げ骨材を見せる施工法和風の意匠・滑りにくい施工できる職人が限られる

以上より、デザイン性とコストのバランスをとるならカラーコンクリート、高級感や意匠性を重視するならタイル・レンガ・スタンプコンクリート、公共スペース・工期優先ならカラーアスファルトがおすすめです。

また、スタンプコンクリートのメリット・デメリットに興味がある方は、以下の記事もチェックしてみてください。

【FAQ】カラーコンクリートでよくある質問

カラーコンクリートとは何ですか?

カラーコンクリートとは、顔料を混ぜ込んだり表面塗装を施すことで、コンクリートを好みの色に仕上げる施工法です。無機顔料を使用することで自然な風合いを出しつつ、外構や駐車場、公園などに調和するデザイン性を実現できます。通常のコンクリートより費用は高いものの、見た目と耐久性の両立が可能です。

カラーコンクリートのデメリットは?

カラーコンクリートは通常のコンクリートより費用が高く、施工時に色ムラが出やすい点がデメリットです。また、表面塗装タイプは紫外線や摩耗で退色しやすく、3〜5年ごとに再塗装や保護処理が必要になる場合もあります。施工範囲が広い場合は専門業者への依頼が安心です。

カラーコンクリートの相場はいくらですか?

一般的な施工単価は1㎡あたり約6,000〜10,000円前後です。駐車場全体に施工すると30〜60万円程度が目安になります。黒や濃色に仕上げる場合は、顔料の使用量が増えるため1〜2割程度費用が上がるケースがあります。施工場所やデザインによって変動するため、事前見積もりが重要です。

カラーアスファルトの耐久性はどのくらいですか?

カラーアスファルトは施工性が良く公共施設や歩道に使われますが、耐久性はカラーコンクリートより劣ります。一般的に5〜10年ほどで色あせや摩耗が目立つことが多く、再舗装や補修が必要です。短期間での施工や工期を優先する場面には適していますが、長期的な耐久性を求める場合はカラーコンクリートの方が有利です。

まとめ

カラーコンクリートは、顔料を混ぜ込む方法と表面塗装という2つの方法があり、デザイン性・コスト・耐久性のバランスを考えながら選ぶことで、失敗を防ぎながら理想の仕上がりを実現できます。

なおカラーコンクリート以外にも複数の施工法があるため、導入検討時に大切なのは「費用と耐久性のバランスを見極めること」です。施工後のメンテナンスまで意識して比較すれば、コストを抑えつつ美観を10年以上維持することも可能です。