国土交通省発表、7月新設住宅着工戸数9.7%減、4か月連続マイナスで住宅市場低迷続く

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国土交通省が8月29日に発表した建築着工統計調査によると、令和7年7月の新設住宅着工戸数は61,409戸となり、前年同月と比べて9.7%減少しました。減少は4か月連続となり、住宅建設の低迷が続いていることが明らかになりました。

新設住宅着工戸数、4か月連続で前年割れ

新設住宅着工戸数は61,409戸で、前年同月比9.7%の減少となりました。また、新設住宅着工床面積も4,733千平方メートルと、前年同月比で9.1%減少し、こちらも4か月連続の減少を記録しています。

一方で、季節調整済年率換算値では712千戸となり、前月比で9.9%増加しました。これは2か月連続の増加となっています。

住宅タイプ別の詳細分析

持家の着工戸数は17,665戸で、前年同月比11.1%減少し、4か月連続での減少となりました。資金別に見ると、民間資金による持家は16,075戸(前年同月比11.9%減)、公的資金による持家は1,590戸(同1.3%減)となっており、いずれも前年実績を下回りました。

賃貸住宅の動向

貸家の着工戸数は27,412戸で、前年同月比13.1%の大幅減少となり、4か月連続の減少を示しました。民間資金による貸家は24,809戸(前年同月比15.6%減)と大幅に落ち込んだ一方、公的資金による貸家は2,603戸(同20.7%増)と2か月連続で増加しています。

分譲住宅市場の現状

分譲住宅は15,886戸で前年同月比1.7%減少し、4か月連続の減少となりました。内訳を見ると、マンションは5,971戸(前年同月比1.6%減)、一戸建住宅は9,709戸(同2.7%減)となっており、どちらも前年実績を下回りました。

地域別の着工状況

首都圏では総戸数が前年同月比5.8%減少しました。特に持家が15.5%の大幅減となったほか、貸家が1.9%減、分譲住宅が6.7%減となりました。分譲住宅では、マンションが14.9%減少した一方、一戸建住宅は2.1%の減少にとどまりました。

中部圏では総戸数が前年同月比2.7%減少しました。持家は7.7%減、貸家は15.2%減となった一方で、分譲住宅は18.9%の大幅増となりました。特にマンションは44.4%増と好調な結果を示しています。

近畿圏では総戸数が前年同月比8.9%減少しました。持家が8.4%減、貸家が11.3%減、分譲住宅が2.0%減となりました。分譲住宅では、マンションが10.0%増加した一方、一戸建住宅は10.8%減少しました。

地方部の状況

その他地域では総戸数が前年同月比15.8%の大幅減少となりました。持家が10.9%減、貸家が24.5%の大幅減、分譲住宅が2.6%減となり、全国で最も厳しい状況を示しています。

建築工法別の動向

建築工法別では、プレハブ工法による着工が8,515戸(前年同月比7.0%減)となり、4か月連続の減少を記録しました。また、ツーバイフォー工法は8,433戸(同2.6%減)で、こちらも4か月連続の減少となっています。

今後の見通し

新設住宅着工の減少傾向が4か月連続で続いていることから、住宅市場の回復には時間がかかることが予想されます。特に持家と貸家の減少幅が大きく、個人の住宅需要や投資用不動産への需要が低迷していることがうかがえます。

一方で、季節調整済年率換算値が2か月連続で増加していることから、月次のばらつきを除いた中長期的な傾向では改善の兆しも見られます。

国土交通省では、次回の令和7年8月分統計を9月30日に公表予定としており、住宅市場の動向が注目されます。

出典情報

国土交通省リリース,建築着工統計調査報告(令和 7 年 7 月分)について,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/kencha707.pdf