大和ハウス工業とJR貨物が千葉に物流拠点DPL千葉レールゲート竣工、環境配慮と効率性を両立

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大和ハウス工業とJR貨物が共同で進めていた物流施設建設プロジェクトが実を結び、千葉市美浜区に「DPL千葉レールゲート」が完成しました。2025年9月16日に竣工したこの施設は、両社にとって札幌に続く第2弾となります。

首都圏の物流ハブとして期待される立地条件

新しく完成した物流施設は、東京都心部から約30キロメートルの距離に位置しています。地上4階建ての建物は、敷地面積48,539平方メートル、延床面積113,916平方メートルという大規模構造です。

交通アクセスでは、京葉道路の穴川インターチェンジから約3.5キロメートル、東関東自動車道の湾岸千葉インターチェンジから約5キロメートルという好立地にあります。

・首都高速都心環状線へのアクセス良好

・首都高速中央環状線との接続も便利

・東京外かく環状道路(外環道)の利用が可能

これらの道路網に加えて、常磐自動車道や東北自動車道といった幹線道路との連結も良好で、広範囲への配送業務に適した環境が整っています。

陸海空すべての輸送手段に対応

物流施設として重要なのは、様々な輸送手段への対応能力です。この施設は、京葉臨海鉄道臨海線の千葉貨物駅から約9キロメートルの距離にあり、全国規模の貨物鉄道ネットワークを活用できます。

海上輸送については、千葉港の新港地区に位置することで大きな利点があります。千葉港は貨物取扱量で全国第2位を誇り、国際拠点港湾として指定されているため、海外との貿易拠点としても優れた条件を備えています。

航空輸送への対応では、成田国際空港まで車で約40分という距離にあることが挙げられます。このように陸・海・空のすべての輸送インフラが充実した立地は、国内外を問わず幅広い物流ニーズに応えることができます。

最大12社が入居可能な柔軟な施設設計

この物流施設の大きな特徴は、マルチテナント型として設計されていることです。最大12社のテナント企業が同時に入居することができ、それぞれのニーズに応じて区画を選択できる仕組みになっています。

事務所機能を持つ区画の設置や、必要な面積に合わせた区画の選択など、多様な要求に対応できる設計が採用されました。これにより、電子商取引事業者や小売業者など、様々な業種の企業が利用しやすい環境が整備されています。

働く人に優しい環境づくりへの取り組み

現代の物流業界では、働く人々の労働環境改善が重要な課題となっています。この施設では、従業員の働き方改革を支援するため、保育施設が設置されました。最大14名の子どもを受け入れることができ、仕事と子育ての両立を支援します。

さらに、施設内には以下のような共用設備が整備されています。

・JR貨物の12フィートコンテナを活用したカフェテリア

・無人コンビニエンスストア

・トラックドライバー専用の休憩室

これらの設備により、施設で働く全ての人が快適に過ごせる環境が提供されています。

効率的な物流を実現する設備面の工夫

物流施設として重要な機能性の面でも、多くの工夫が凝らされています。最も注目すべきは、各階に直接アクセス可能な螺旋状のランプウェイを2基設置した「ダブルランプウェイ」システムです。

この仕組みにより、上りと下りの動線が分離しているため、トラック同士の交差や渋滞が発生しにくくなり、スムーズな出入庫が可能です。

各フロアには58台分のトラックバースが設けられており、大量の荷物を効率的に処理することができます。また、トラックの入場予約システムやオンラインチェックインシステム(有償サービス)も導入されており、荷物の積み降ろしのための待機時間短縮や入出庫業務の効率化が図られています。

環境負荷軽減への積極的な取り組み

環境問題への対応も、この施設の重要な特徴の一つです。屋上には3,304キロワットの太陽光発電システムが設置される予定で、発電した電力は施設内で自家消費されます。

非化石証書の活用により、建物全体を再生可能エネルギー100パーセントで運用することが計画されています。これにより、入居するテナント企業の脱炭素化への取り組みを支援することができます。

建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)では最高ランクの6つ星を取得し、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスとなる「ZEB」の認定も受けています。

その他の環境配慮策として、敷地内緑化、全館LED照明の採用、節水型設備の導入なども実施されており、総合的な環境負荷低減が図られています。

今後の展望と物流業界への影響

この施設の完成は、首都圏の物流インフラ強化に大きく貢献することが期待されています。大和ハウス工業とJR貨物は今後も、顧客のニーズに合わせた物流施設の展開を進めていく方針を示しています。

入居可能日は2025年9月17日に設定されており、既に物流施設を検討している企業への誘致活動が活発に行われています。この新しい物流拠点が、首都圏の物流効率化と環境負荷軽減の両立に貢献することが期待されています。

出典情報

大和ハウス工業株式会社リリース,大型マルチテナント型物流施設「DPL千葉レールゲート」竣工,https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/20250918140009.html