国土交通省調査、建築物リフォーム受注額が7.6%増、非住宅分野の設備工事が急成長で4兆円超

国土交通省が実施した建築物リフォーム・リニューアル調査報告によると、令和7年度第1四半期(4月から6月)における受注総額は4兆1,069億円を記録しました。この数値は前年同期と比較して7.6%の増加となっており、建築物の改修市場が順調な拡大傾向にあることが明らかになっています。
今回の調査は建設業許可を持つ5,000社を対象として実施されており、元請工事として受注されたリフォーム・リニューアル工事の実態について詳細な分析が行われています。

住宅分野は微減も2.2%の減少にとどまる
住宅関連工事については1兆1,698億円の受注となり、前年同期比で2.2%の減少となりました。減少幅は比較的小幅にとどまっており、市場の安定性が確認されています。
住宅工事の内訳を見ると、改装・改修工事が8,920億円で住宅分野の受注額の約76%を占めており、これは前年同期比4.3%の減少でした。一方で維持・修理工事は2,307億円で17.3%の大幅な増加を示しており、建物の維持管理に対する需要の高まりが顕著に表れています。
増築工事については85億円(前年同期比47.5%減)、一部改築工事は386億円(同25.4%減)となり、いずれも減少傾向を示しています。これらの結果から、住宅分野では大規模な改築よりも、既存建物の機能維持や小規模な改修に重点が置かれている状況が読み取れます。
非住宅建築物分野が好調な伸びを記録
非住宅建築物に関する工事受注額は2兆9,371億円となり、前年同期比12.0%の大幅な増加を達成しました。この成長は全体の受注増加を牽引する主要因となっています。
非住宅建築物における工事種類別の動向では、改装・改修工事と維持・修理工事を合わせた金額が2兆7,866億円に上り、前年同期比13.1%の増加となりました。これは非住宅分野の受注額(2兆9,371億円)の約95%を占める規模であり、非住宅建築物分野の成長を支える大きな要素となっています。
増築工事については966億円で前年同期比15.7%の減少、一部改築工事は539億円で27.6%の増加という対照的な結果が出ています。
業種別動向に明暗が分かれる結果
住宅関連工事において最大の受注規模を持つ「建築工事業」は6,503億円となり、前年同期比15.3%の減少となりました。これに対して「職別工事業」は2,950億円で0.9%の微増を記録しており、専門性の高い工事への需要が堅調であることが分かります。
非住宅建築物分野の業種別動向
非住宅建築物分野では「建築工事業」が9,822億円で前年同期比11.7%の減少となった一方、「電気・機械器具設置工事業」が7,190億円で62.8%という大幅な増加を記録しました。この結果は、設備工事への需要拡大や技術革新への対応が活発化していることを示しています。
発注者別・工事目的別の特徴的な傾向
発注者別の状況を見ると、住宅分野では個人発注が7,381億円で住宅分野全体の63%を占めており、前年同期比8.7%の減少となりました。注目すべきは管理組合による発注が2,315億円で31.6%の大幅増加を示していることです。
工事目的別では、住宅・非住宅建築物ともに「劣化や壊れた部位の更新・修繕」が最多となっており、既存建物の長寿命化への取り組みが活発であることが確認されています。住宅では169万9,829件(前年同期比29.0%増)、非住宅建築物では75万7,771件(同36.2%増)という大幅な増加を記録しました。
今後の市場展望
今回の調査結果は、建築物リフォーム・リニューアル市場が持続的な成長基調にあることを裏付けています。特に非住宅建築物分野における設備工事の急成長は、デジタル化や省エネルギー対応などの社会的要請に応える形で市場が拡大していることを示唆しています。
住宅分野では新築からストック活用への転換が進む中、維持・修理工事の増加は建物の適切な管理への関心の高まりを反映していると考えられます。
出典情報
国土交通省リリース,建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和7年度第1四半期受注分),https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001909488.pdf